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過去の誹謗中傷ツイート暴かれ炎上したSNS啓発団体「この指とめよう」の小竹海広代表が謝罪。問題点は?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
謝罪文が掲載された小竹代表のTwitterアカウント。筆者キャプチャ

 過去に「死ね」や童貞いじりとみられる誹謗中傷ツイートを行っていたことがわかり炎上したSNS啓発団体「この指とめよう」の小竹海広代表が、5月30日にTwitterで謝罪文を発表しました。

SNS誹謗中傷をなくす社団法人の代表が過去に誹謗中傷ツイート

 5月25日、SNS誹謗中傷をなくすために持続的な活動を行うことを目的として、一般社団法人「この指とめよう」が設立されました。

 素晴らしい理念ですが、団体のメンバーには過去に童貞いじりをしたことで炎上し、謝罪文を発表するもその後撤回するなどしてさらに物議をかもすことになったブロガーのはあちゅう氏が名を連ねており、童貞いじりを批判してきた人たちから「まず誰が指を止めるべきなのか」と滑り出しから暗雲が立ち込め始めます。

 まあこれだけなら団体ではなく個人間のトラブルの話でしかありませんが、5月26日、社団法人の代表理事である小竹氏が過去に有名子役に対して「死ね」とツイートしていたキャプチャ画像が拡散したことから、炎上をなくすための団体である「この指とめよう」が逆に炎上する事態に。

 その後も童貞いじりなどの過去の暴言ツイートが暴かれ、渦中の小竹氏はTwitterのアカウントに鍵をかけたり、批判者をブロックしたりとSNS誹謗中傷をなくすための社団法人の代表としてはあまりよろしくない行為をしたため、さらに炎が燃え広がりました。

謝罪を発表するも画像。社団法人のサイトにも掲載なし

 そして5月30日、小竹氏はTwitterアカウントを公開状態に戻したのちに謝罪文を画像で発表します。

 画像での謝罪文の掲載は140文字という文字数制限があるTwitterでは仕方がないと思われる人もいるかもしれませんが、その謝罪方法では検索エンジンの検索結果に表示されないため一般には“謝罪隠し”とみられており、あまり褒められない謝罪行為です。

 また、SNS誹謗中傷をなくすための団体の代表理事が過去に誹謗中傷していたという団体の今後の活動にかかわるほどの問題であるにもかかわらず、団体のホームページには発表や謝罪文へのリンクはない状態です(5月31日0時6分記事執筆現在)。

 はたしてSNS啓発団体がこのような謝罪方法で良いのかと筆者は疑問に思います。

 過去に誹謗中傷ツイートをしていたことは若い頃の過ちとして片付けられなくもありません(たとえば過去の行為を悔やんで啓発団体を立ち上げたのかもしれません)。

 ただ、啓発団体の代表が批判者をブロックしたり、画像で謝罪したり、返信を自分がフォローしている人限定にしたりでは(擁護するツイートだけが返信されがち)、誰がその教えに導かれるのでしょうか?

 まあ問題とされているツイートを見るかぎりでは、ネットのミーム(流行り)に乗っかってバズってフォロワー増やそうとしていたようですので、「なぜあのようなツイートをしたのか?」の説明から始まり改善策や処分も含んだ適切な謝罪文を「この指とめよう」のサイトにテキストで掲載すれば、誹謗中傷をしてしまった人の謝罪時の参考になるのではないかと思います。

 いまはどっちかって言うと反面教師です。

小竹代表の謝罪文全文

過去の私の不適切なツイートについてお詫び

私が過去に、SNSで傷つけてしまった方や、

そのご家族、関係者様、支援企業・運営関係者の皆さま、

全ての方に心からお詫びを申し上げます。

本当に申し訳ございませんでした。

今回の件で、過去のツイートが再拡散してしまったことにより、

さらに傷を深めてしまった当事者の方・ご関係者様につきましては、

何とお詫びを申し上げていいか分かりません。

この度は多大なる心傷とご迷惑をおかけしてしまい、

心の底から申し訳なく、幾重にもお詫び申し上げます。

自分の未熟さを後悔し、反省しております。

皆様に頂いた多くのご批判を真摯に受け止める所存です。

投稿を削除し、アカウントに鍵をかけ、

謝罪が遅れた事も誠に申し訳ありませんでした。

今後の活動につきましては、猛省を深め、

「SNSでの誹謗中傷を減らす」という理念のもと、

方向性の見直しを含めて、関係各所との熟議を重ねて参ります。

今回の事案に関しまして、重ねてお詫び申し上げます。

2021年05月29日 小竹海広

5月31日10時37分修正

 小竹代表の名字を一部の文章で誤って表示しておりました。お詫びして訂正いたします。

5月31日11時49分追記

 小竹代表の謝罪文の書き起こしを追加しました。

2022年1月5日17時追記

 Yahoo!ニュース個人編集部を通じて「批判者をブロックしていることや返信をフォロワーのみに限定していることに対して事実無根である」旨のご主張をいただきました。

 本件に関しては筆者は情報を確認したうえで記事を執筆しております。

 「批判者をブロックしている」ことについては、Twitter上でいくつか報告を確認したため書きました(参考ツイート123)。

 また、「返信をフォロワーのみに限定している」ことについては、5月31日に投稿された謝罪文のツイートが制限状態となっていたためです。

 しかし、現在は当該ツイートが削除されてしまっているため証拠を提示できません。代わりに、web魚拓の方で当時の返信制限の状態を確認できますので、こちらを証拠とさせて頂きます。

 なお、「返信をフォロワーのみに限定している」はTwitterの機能の正しい説明とになっておらず、正しくは「自分がフォローしている人限定にしている」のため、この点はより正確に伝わるよう本文を修正しました。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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