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「YouTubeはなぜへずまりゅう対策をしないの?」の誤解。もはやユーチューバーとは呼べない状態

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
書類送検される原因となった布団寝そべり行為。問題の動画より筆者キャプチャ

 迷惑行為を行っていることで知られる「へずまりゅう」として活動する男性が、渋谷のスクランブル交差点で布団を敷いて寝そべり、通行の妨害をしたとして書類送検されたと10月26日に報じられました。

 この書類送検のニュースが流れたことで「懲りない男だ」や「YouTubeはなぜ対策しないのか」といった批判が広がっていますが、これは誤解です。

へずまりゅうは過去の迷惑行為でいま逮捕されている

 まず、今回へずまりゅうが書類送検された迷惑行為は、今年7月ごろに行われたものです。

 批判している人はへずまりゅうが先週に保釈されたため「また迷惑行為をしたのか」と思ったのでしょうが、過去の迷惑行為でいましょっぴかれているだけです。

 同じような誤解は、Tシャツを偽物だと決めつけて返品を迫った威力業務妨害容疑が10月16日に報じられたときも広がりました。

 当時のへずまりゅうは拘置所にいる状態であり、迷惑行為はできません。なお、翌日には初公判が控えていました(裁判自体はなんらかの理由により延期されました)。

 時系列にするとこうです。

これまでのへずまりゅう逮捕の流れ

  • 2020年5月ごろ:スーパーで会計前の刺し身を食べる迷惑行為
  • 2020年5月ごろ:アパレル店に対して「Tシャツが偽物だ」と迫る迷惑行為
  • 2020年7月ごろ:渋谷のスクランブル交差点で布団に寝そべる迷惑行為
  • 2020年7月11日:刺し身の迷惑行為により窃盗容疑で逮捕される
  • 2020年10月16日:Tシャツの迷惑行為により威力業務妨害容疑で逮捕される
  • 2020年10月22日:保釈されてTwitterを更新。後にツイートを削除
  • 2020年10月26日:布団の迷惑行為により通行妨害容疑で書類送検される

 へずまりゅうが新たに何かをしたわけではなく、過去の迷惑行為が原因で逮捕や書類送検がされているのが事実です。

「YouTubeはなぜ対策しないのか?」の誤解

 もうひとつの誤解は「YouTubeはなぜ対策しないのか?」という、YouTubeに対する批判です。

 「迷惑系ユーチューバー」として報じられているためこのような批判が起きているのだと思われますが、YouTubeはへずまりゅう対策をしています。

 へずまりゅうは現在、YouTubeチャンネルを作成してもすぐにBAN(アカウント停止)されてしまう状況です。

 へずまりゅうは本人の証言によるとこれまでに9回チャンネルがBANされており、そのうち6回目以降はチャンネルを作成してもすぐにBANされています。

へずまりゅうのこれまでのチャンネルBANの流れ

  • 2020年5月15日:1回目のチャンネルBAN
  • 2020年5月29日:2回目のチャンネルBAN(サブチャンネル)
  • 2020年6月2日:3回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月2日:4回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月9日:5回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月15日:6回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月17日:チャンネル作成(7回目)
  • 2020年6月18日:7回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月18日:チャンネル作成(8回目)
  • 2020年6月20日:8回目のチャンネルBAN
  • 2020年6月20日:チャンネル作成(9回目)
  • 2020年6月22日:9回目のチャンネルBAN
  • 2020年7月11日:逮捕

 YouTubeは発見次第、へずまりゅうのアカウントをBANしていると言っても過言ではありません。

 もはやユーチューバーとしての活動は絶望的です。

逆張り系ユーチューバーとして炎上した男性も即BAN状態

 同様の事例は、「○○は悪くないっすね」と逆張りの意見をする逆張り系ユーチューバーとして知られる遠藤チャンネルでも起きています。

 遠藤チャンネルは京都アニメーション放火殺人事件の放火犯について、「京都アニメーションを燃やした男は悪くない!」との動画をアップして炎上したことで知られています。

 この炎上から通報が相次ぎ、現在ではへずまりゅうと同じくチャンネルを作成してもすぐにBANされる状態となり、現在はべつの動画投稿サイトで活動を続けています。

 このようにYouTubeで迷惑行為や攻撃を行う人間に対して、YouTubeは対策を取っています。

 「アカウントを作らせるな」という批判もありますが、アカウント作成前からそのアカウントの持ち主が迷惑行為を行っている人間であると断定するのはかなり難しいです。

 誤って異なる人のアカウントを停止してしまう可能性があるため、本人と確認できた段階でBANする後手の対応になっているものと考えられます。

迷惑行為では儲からない

 へずまりゅうや遠藤チャンネルの事例でわかるように、「迷惑行為でYouTubeで儲けよう!」というのは一時的には成功するかもしれません。しかし、その後の永久BANによって失敗におわります。

 残るのは「迷惑行為をする人間だ」という認識と、それとともにネットに拡散された自分の顔です。

 彼らの名前で検索するとこれまでの迷惑行為とともに顔写真まで出てくるため、これはもう取り返しがつかないデジタルタトゥーとなります。

 「YouTubeで儲けよう!」という考えは否定しません(もうレッドオーシャンのため、あまりおすすめはしませんが)。ただ、その方法が悪いと今後の人生に大きな影響を及ぼします。

 これからYouTubeを始める人は失敗しても復活できる方法で、そして他人に迷惑をかけず人に好かれるコンテンツを作成するようにしましょう。

 企業は人に好かれている人に広告を出します。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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