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立憲民主党の枝野代表「デジタル化は後ろ向き」批判、本当は何を言ったのか? 発言部分書き起こし

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
自然エネルギー立国を訴える枝野代表。動画より筆者キャプチャ

 立憲民主党の枝野幸男代表が、「デジタル化は後ろ向き」、「前向きの自然エネルギーで食っていこう」と与党を批判したとの共同通信の記事が「意味がわからない」とネット上で物議をかもしています。

立民は次期衆院選で「自然エネルギー立国」を政策の柱に据えるとして「首相は取って付けたようにデジタル化なんて言いだした。この国は後ろ向きのデジタルではなく、前向きの自然エネルギーで食っていこう」と訴えた。

出典:デジタル化は「後ろ向き」と批判 枝野氏、政権との違いアピール | 共同通信

 筆者も「???」となったので、街頭演説の発言部分を書き起こしてみました。

枝野代表「デジタル化は後ろ向き」発言部分の書き起こし

 枝野代表の街頭演説は、立憲民主党の公式チャンネルで公開されている動画から見ることができます(26分47秒あたりから)。

そして3つ目。これからの日本の未来。どうやってこの国は食っていくのか?

菅(スガ)さんはとって付けたようにデジタル化なんて言い出しました。

これやったらいいんです。なぜかと言ったら 日本はまだ昭和なんだから。日本のデジタルは。もう世界から取り残されたすっごい後ろの方なんです。デジタル化は。

これは早く追いつかせなきゃいけない。これはどうぞやってください。

でもこれは追いつくだけだから。遅れてる分。これからの日本の未来を輝かせることはできないんです。

だから私は、自然エネルギー立国!

日本を作っていこう。皆さんに提案したいと思います。

日本にはここ(自然エネルギーの)技術あるんですよ。

太陽光。それから、風。それから水力。それから、波。地熱。バイオマス。もう本当に日本はありとあらゆる自然エネルギー。この技術がある。

しかも日本中、津々浦々に、それが素晴らしい適性もった土地を持ってるじゃないですか。

まず日本を、自然エネルギーで回っていく国にしましょう。21世紀は、世界の国々が自然エネルギーを求めています。

もう「温暖化対策だ」なんだかんだと言って、いままでのエネルギーは変えていかなきゃならない。世界が思っています。

日本は、ここでは世界をリードできるんですよ。

国として明確に、世界の自然エネルギーをリードしていく。後ろ向きのデジタルじゃなくて、前向きの自然エネルギーでこの国は食って行こうじゃありませんか。

これみんなを幸せにするんじゃないですか? この目の前の3つの、短期的な組み合わせと、ベーシックサービスと、そして自然エネルギー立国で、日本の経済を、未来に向けても足場からも元気にしていく。私たちには具体的なビジョンがあります。

次の総選挙で、この国の政治の流れを変えていきたいと思っています。競争によって強いものが強くなるけれども、なんとなく社会全体が、暗く、不安が募っていく社会はもう切り替えましょう。

昭和の名残のような古い発想から切り替えましょう。未来に向けた新しい政治を、進めていきましょう。

出典:9月19日 16:00- 枝野幸男街頭演説 @マルエツ北柏店前ひろば #枝野千葉へ行く0919 - YouTube

立憲民主党はデジタル化にプラスして自然エネルギーを推進するの意味

 発言部分を文字にすると、なんとか理解できます。

 つまり立憲民主党は「デジタル化には賛成」。そのうえで党として「自然エネルギー立国を打ち出していく」ということです。

 これは枝野代表もあとからツイートで補足していますが、たぶん記事を読むだけでは理解できない話だと思います。

 なぜなら、デジタル化と自然エネルギー立国は比べるようなものではないからです。多くの人が「どっちもやればいい」と思ったことでしょう。

 それに、結局は立憲民主党もデジタル化に賛成と言っています。なのに枝野代表の演説を言葉通りに受け取ると、「後ろ向きのデジタル化をやりながら自然エネルギーを推進する」という意味のわからない話になります。

 「デジタル化は遅れを取り戻すためにやらなければいけないこと。そのうえで我々は自然エネルギー立国を目指す!」と言えば、混乱を呼ぶこともなかったと思います。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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