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窓ガラスに養生テープ・ガムテープは破片が大きくなることで大怪我のリスクも

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
窓ガラスにテープはあくまでも破片が落ちにくくなるだけ

 台風19号による窓割れ対策として、「窓ガラスに“米”の字に養生テープやガムテープを貼る方法」がおすすめされています。

 しかし、この方法は窓ガラスの強度対策としては意味がないこと、割れた窓ガラスの破片が大きくなるため深刻なケガをする可能性があることをアメリカの政府機関などが警告しています。

「窓にテープは時間と労力のムダ」

 大災害への危機管理対応を行うアメリカ合衆国の『連邦緊急事態管理庁(FEMA)』は、「窓へのテーピングは時間と労力のムダであり、飛び散る破片に対しての保護能力もない」ことを2006年7月に発表しています。

Taping your windows is a waste of time and energy. It provides little strength to the glass and no protection against flying debris. Once a Hurricane Warning has been issued you should shutter your doors and windows for protection.

窓をテーピングすることは時間と労力のムダです。ガラスにはほとんど強度がなく、飛び散る破片への保護もありません。ハリケーン(台風)の警告が出たら、ドアと窓を保護するためにシャッターを下ろす必要があります。

出典:Fact Sheet Hurricanes(筆者訳)

「大きな破片は深刻なケガを呼ぶリスクも」

 また、自然災害や人災から家族を守るための方法を指南するアメリカの非営利団体『Federal Alliance for Safe Homes(FLASH)』は、窓ガラスの破片が大きくなることで重症を負う可能性があると2014年に警告しています。

MYTH: Taping windows with masking or duct tape helps prevent hurricane damage.

FINDING: 54% incorrectly believe taping helps prevent hurricane damage.

FACT: Taping windows wastes preparation time, does not stop windows from breaking in a hurricane, and

does not make cleanup easier. In fact, taping windows may create larger shards of glass that can cause serious

injuries. Masking tape, duct tape, window film and specially marketed “hurricane tape” are insufficient and

potentially dangerous.

ACTION: Go Tapeless! Protect glass doors and windows with tested and approved hurricane shutters or

properly installed emergency plywood shutters.

神話:窓を養生テープやダクトテープでテーピングするとハリケーンによる被害を防ぐことができる

調査結果:54%の人々はテーピングがハリケーンの被害を防ぐのに役立つと誤って信じています。

事実:窓をテーピングすると準備時間がムダになるうえ、ハリケーンによる窓の被害を止められず、掃除が難しくなります。

実際、窓をテーピングするとガラスの破片が大きくなり、重症を負う可能性があります。マスキングテープ、ダクトテープ、ウィンドウフィルム、および特別に販売されている「ハリケーンテープ」は不十分であり、潜在的リスクがあります。

実行:テープレス化しましょう!テスト済みや承認されたハリケーン用シャッターか、緊急的に作った合板シャッターでドアや窓のガラスを保護しましょう。

出典:2014 NATIONAL SURVEY IDENTIFIES TOP HURRICANE MYTHS(筆者訳)

破片が大きくなるリスクを知ろう

 ここで私が言いたいことは「窓ガラスにテープを貼るな」ではありません。

 今回調べてわかった窓ガラスにテープを貼ったときの効果は以下のとおりです。

  • 窓ガラスの強度は高くならない
  • 破片が落ちにくくなる(参考
  • 破片が大きくなるため、大怪我を負う可能性がある

 つまり言いたいことは「破片が大きくなり、それが原因で大怪我になる可能性があるから注意しましょう」です。

 一番良いのはシャッターや雨戸を下ろすことですが、ないのであれば合板を貼り付ける。それもなければ内側に段ボールを貼る、カーテンを下ろすなどして、大きな破片が室内に勢いよく飛び込んでこないようにした方が良いと思います。

 また、窓に近づかないことも重要です。飛び込んできたものが当たる可能性もありますし、窓に近いほど(大きな)破片を避ける時間が少なくなります。

 このほかネットでは「テープを貼ることでガラスの強度が低くなる」という話もありましたが、こちらは信頼できる資料を見つけることができませんでした。力不足で申し訳ありません。

 台風19号にそなえ、大怪我を負わないよう注意してください。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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