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「慰安婦の子なのに年齢がおかしい」Twitterでデマ広がる。遺族に代わり手紙を朗読した女優を勘違い

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
慰安婦像(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 「彼女は32歳なので、慰安婦の子供なら母親が59歳のときの子だそうです。計算がおかしい」。慰安婦にまつわるニュースで、こんなデマがTwitterで拡散されています。

「慰安婦の子なのに年齢がおかしい」

 問題のツイートはこちらです。

 ツイートは記事で取り上げられている女優のハン・ジミンさんの年齢が32歳であることを踏まえ、「彼女が現在32歳なら慰安婦の女性は59歳で子供を産んだことになる。おかしいのではないか」と指摘。

 さらに「ね?こいつら計算苦手でしょ?」と慰安婦の女性や遺族らを中傷しています。

 しかし、これは投稿者の勘違いです。

遺族証言から作られた手紙を代わりに朗読

 ハン・ジミンさんは「慰安婦だった私の愛する母へ」という手紙を朗読しましたが、この手紙は慰安婦被害者のおばあさんの痛みを伝えようと、遺族の話をもとに作られたものです。

 つまりハン・ジミンさんは手紙を書いたのではなく、遺族証言をもとに作られた手紙を読んだだけにすぎません。

 そのためハン・ジミンさんの年齢が32歳であることと、亡くなられている慰安婦の女性の年齢に差があることは何もおかしなことではないのです。

問題の投稿は約2万いいねされる

 問題はこのような勘違いからされたツイートが記事執筆時点で約9,000RT、約20,000いいねもされている点です。

 後に投稿者は勘違いに気づいたのか訂正するツイートを投稿しています。

 しかし、その訂正ツイートでも「「作り話の手紙」を泣きながら読むか普通。当て擦りも甚だしい」、「李容洙は、発言の度にコロコロ年齢が変わったことで知られています。やはり計算は苦手」と慰安婦の女性を中傷する内容を書いており、反省の色は見えません。

 自身の勘違いから「年齢がおかしい」、「計算が苦手だ」などというデマと中傷を行ったわけですから、慰安婦問題へのスタンスはどうあれデマのツイートを削除して謝罪するのがあるべき姿ではないでしょうか。

 勘違いによるデマは、いまも拡散され続けている状況です。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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