「マスクで隠さず唇を見せて」聴覚障害者の願い、ネットで拡散

(写真:アフロ)

「聴覚障害者と話すときはマスクをずらして唇を見せて欲しい」。そんな願いが、Twitterで37,000リツイート以上され話題になっています。

この願いを投稿したのは聴覚障害4級の極楽寺坂みどりさん(@masami5681)。Twitterでマスクについての悩みを投稿し、それをまとめた内容を新聞に投書したところ掲載されたとのことです。

風邪やインフルエンザの予防、花粉症対策などからマスクをつけるのはもちろん、2014年に行われた調査では10・20代女性の4割が「伊達マスク」をつけた経験があるなど、マスクの装着率は年々増加傾向にあります。

聴覚障害者の方がマスクに対してどう困っているのか? ツイートを投稿された極楽寺坂みどりさん本人に話を伺いました。

「5~6年前からマスク姿の人が増えた」

――投書を拝見致しました。寒くなるとマスクをつける人は多くなるのでしょうか?

「マスクをつける人が増えてきたなぁと感じるようになったのは、5~6年前です。季節と関係なく、マスク姿の人が増えたなと。今のマスクは大きいので、顔を隠す面積が広いですよね。聞こえとは関係なく、帽子&マスクで誰だかわからない人が増えてイヤだなと思ったものです」

――唇の動きを読むことで意味を理解されているということですが、実際どれくらい分かるものなのでしょうか?

「私は“読唇術”のような技術をならったことはありません。でも私のつぶやきに、多くの難聴者の方が『その通り!』、『よく言ってくれた!』というリプライをくれていますので、同じ思いをしている人が多いんだなと思いました。

“どれくらい唇が読めるのか”という質問への回答は難しいですが、マスクをされると困るという人がこれだけ多いわけですから、唇からの視覚情報は相当に重要なのだと思います。

試しに、音声を消してテレビをご覧になってみてください。声が聞こえなくても、案外、話の内容がわかる(想像できる)ことに気づかれるのではないでしょうか」

――例えばどういったときに聞き取れなくて困られましたか?

「聞き取れなくて困ったエピソードはいくらでもありますが……マスクの件とは別に“名前を呼ばれるのを待つ”というシチュエーションでは、難聴者は常にかなりの緊張にさらされます。病院の待合室、区役所の窓口、携帯電話ショップ、コーヒーチェーン店などは苦手です。

だから銀行のように番号札を渡されて、番号がディスプレイに表示されるシステムなどはとてもありがたいです」

「相手の耳にちょっとだけ意識を向けて欲しい」

――補聴器についてですが、医師や看護師の方は気づかれることが多いですか?

「医師や医療従事者のあいだでは、補聴器をつけている人やお年寄りにはマスクをはずす……というのは、必ずしも広まっているようでもないみたいです」

――補聴器に気づくにはどういった点に注意すると良いでしょうか?

「補聴器をつけていることをどうやって確認するか。これが難しいのは仕方ないです。見せたくない、知られたくないと思う人も多いし、髪で隠れてしまうし、耳の穴にスッポリ入るタイプも多いです。

“耳穴タイプ”は、軽度~中程度の難聴の人向けです。耳たぶにかける“耳かけタイプ”は、重度の人向けです。なので、耳かけタイプの補聴器を使っている人は『重い難聴なんだなぁ』と思って間違いありません。

接客を仕事にしている人は、まず相手をさっと観察するのが常だと思いますが、そのときに相手の耳にもちょっとだけ意識を向けてもらえればと思います」

追記(2月27日5時43分)

補聴器について販売に携わっている方から「“耳穴タイプ”、“耳かけタイプ”は症状ではなく人によって異なっている」との指摘を頂いたため、コメントをそのまま掲載します。誤った情報を掲載して申し訳ありません。

「耳あな型は軽中度向け、耳掛け型は重度向けというのは間違っています。耳あな型でもハイパワーが必要な重度難聴者もいますし、耳掛け型でも軽度難聴者はいます。それぞれの方で手先の器用さや耳の状態など使いこなせるものを話し合って形状を決めていくものですので、耳掛け型=高度重度難聴者というわけではありません」

また、この記事は聴覚障害者の方が「マスクをしたまま話しかけられると理解しにくい」ということを広めることが目的であり、決して「だから外では絶対にマスクを外せ」というものではありません。ご理解頂けると幸いです。