Yahoo!ニュース

Twitterで相次ぐ発言ミス。安倍首相の中の人判明、香山リカ氏乗っ取られる?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
(写真:ロイター/アフロ)

先週、『Twitter』で発言ミスによる炎上が相次ぎました。一体なぜ起きたのか? そしてどうすれば防げるのか? 事例とともに紹介していきます。

安倍首相の中の人は山本一太?

4月30日、安倍晋三首相の公式Twitterアカウント(@AbeShinzo)から、次のようなツイートが行われました。

ワシントンDCからサンフランシスコ行きの飛行機に乗り込んだ。政府専用機より一足先に到着する予定。空港で総理を出迎える。昨晩はほとんど寝ていない。機内で爆睡する。

出典:安倍晋三(@AbeShinzo)さん | Twitter

“誤爆”された発言。現在は削除されている。
“誤爆”された発言。現在は削除されている。

首相のアカウントなのに「総理を出迎える」? ツイートは山本一太議員の写真付きだったため、Twitterユーザーからは即座に山本議員による誤爆と判断されました。

問題のツイートはすぐに削除されましたが、それだけで終わるはずもなく「普段のツイートも山本議員が書いており、首相はTwitterをやっていないのではないか?」との疑いの声も出始めました。

これを受け、山本議員は以下の釈明ツイートを行いました。

本日、総理より一足先にDCからSFに入った。飛行機が出発する前の機内で「これからSFに向う」とツイートした。が、誤って総理のパーソナルアカウントに投稿してしまった。すぐに気がついて消したが、「一太が総理になりすましている」という情報が飛び交っているらしい。でも、これは事実と違う。

出典:山本一太さんはTwitterを使っています

総理のパーソナルアカウントのツイートは「総理自身の言葉」だ。本人がツイートする時間がなかなか取れないので、総理の要請でネット戦略アドバイザーの自分が代わりに総理の言葉を投稿している。総理にも直接、お詫びしたが、誤操作で混乱を招いたことを重ねてお詫びします。以後十分に気をつけます。

出典:山本一太さんはTwitterを使っています

山本議員が、誤爆についてごまかすことなくきちんと答えたことにより、現在では事態は沈静化に向かっています。

香山リカ氏、暴言をツイート。乗っ取られたと釈明

そして同4月30日。香山リカ氏のTwitterアカウント(@rkayama)から、青山繁晴氏や自身が出演している番組のスポンサーであるDHCに対して暴言ととれるツイートが行われました。

ツイートの内容は、4月22日に放送されたスカパーの番組『虎ノ門ニュース 8時入り!』にて、香山氏やMCのサンキュータツオ氏が不適切な発言を行ったと批判されたことを受けてのものです。

ツイートされた内容(現在は削除済み)

最初の何度かは経済ジャーナリストの須田慎一郎さんと一緒に楽しくやってました。そして先週雑談で「青山繁晴さんはすごい人気、九州からスタジオ見学にやって来る人もいる」とスタッフからきき、須田さんと「まさに信者だね」「宗教(的)だね」とニュートラルに驚いた、というそれだけです。

「信者」「(まさに)宗教」というやり取りが間違っていたとも思えないくらい、単なる“驚嘆”でした。私も須田さんも青山さんとは正反対ですが、まさかそこで青山さんを批判するほどアホではありません。それなのに一部のまさに“信者”が鬼の首を取ったように騒ぎ始めました。

驚いたのは、青山繁晴さんの対応とスポンサーのDHCの対応です。青山さんはブログにそれをチクって来た人に「あの人たちは賞賛の意味で言ったのだから」といさめることもなく、逆に「たいへんな問題だ」と局にねじこんできたのです。もとから「扇動」を得意(?)とする方のようです。

そしてDHCとそのスカパーチャンネル。青山さんの言うなりに大騒ぎを始め、私も須田さんもタツオさんも呼び出されました。もちろん私たちは「いやいや、見てもらえればわかる通り、青山さんはすごいんだねというくらいの意味で」と言いましたが、「傷ついた人がいるのです」の一点張り。

昨日、今朝のおわび放送の台本を見せてもらいました。そこには「不本意な思いをされた方」という表現が2回出てきました。それが今朝の放送では、「卑怯、卑劣な誹謗中傷」「人として許されない事実に反する誹謗中傷」に置き換えられていたのです!局もあれが「誹謗中傷」だったと認めたということです

私も須田さんもタツオさんもびっくり。とくにタツオさんが熱く怒ってます。彼は「学者芸人(笑)」というだけあって表現の問題にこだわりがあるので。でもここでやめては「完全勝利」などと言われるので、つまんない仕事だけど6月までは続けようかと相談してます。青山繁晴、池田信夫、ホント下劣です。

出典:香山リカ(@rkayama)さん

この一連のツイートについて、香山氏は翌5月1日の同番組内にて「なぜこのようなことが起きたのか乗っ取りも含めてソースを調査中」、「私自身が正確にツイートしたものではない」、「一連のツイートが違います(自分が書いたものではない)」と釈明しました。

ただ、この件については番組の山田プロデューサーが「一連のやり取り、スタッフ間とのやり取りを把握してないと書けないようなこともある」、「香山さんが書かれたものでなければ、誰か内部の者が書いたものだと断定せざるを得ません」、「今回の番組には関係ないんですが、池田信夫さんにも言及して、誹謗中傷が繰り返されております。これはちょっと放置できない事態であります」と発言しており、重大な問題に発展しています。

香山氏の釈明、および山田プロデューサーの発言は以下の番組ページより観ることができます。

虎ノ門ニュース 8時入り!金曜日~須田慎一郎・香山リカ・サンキュータツオ~ - 2015/05/01 08:00開始 - ニコニコ生放送

(6分40秒あたり。視聴にはニコニコ動画のプレミアムアカウントが必要です)

放送後、香山氏は「アカウント乗っ取りなどに対応できなくなり、いったんこのアカウントを閉じさせていただき、再スタートを検討します」と自身のTwitterにてアナウンスし、現在アカウントを非公開にしています。

この一連のツイートについて正確なことはまだ分かっていませんが、内部犯しか書けない内容を香山氏が「乗っ取られた」と釈明したことから、Twitterユーザーからは「アカウントを乗っ取られたのであればなぜ非公開状態にできるのか」、「文章の癖が同じ」などと、「ごまかしているのではないか」とみる声があがっています。

正直なところ、私もこの件については「ついやってしまった」可能性が高いのではないかとみています。もし乗っ取られていたのであれば、不正アクセス行為により同番組に関わる誰かが後日、逮捕されることになるでしょうから、そのときは続報をお届けします。

香山リカ氏のTwitterアカウントが乗っ取られたとされる件のまとめ

ツイートする前に「しても良い内容か?」を考えよう

このような誤爆(またはうっかりミス)を防ぐには、ツイートしたい内容を書き込んだあと一呼吸おき、「その内容をツイートしても大丈夫かどうか」を考えるクセをつけることがオススメです。

何かを思いついたとき、吐き出したくなったときに文章を入力したら、そのまま流れるようにツイートボタンを押すのではなく、「これはツイートしても良い内容か?」を考えるようにしてみてください。

そうすると、「公開してはまずい文章」を書いたときは、だいたいが「書いた時点で満足」し、それをツイートすることなく平和に暮らせます。

使用しているクライアントにもよりますが、公式クライアントであれば安部首相の件はツイート前に自分のアカウントではないと気づけますし、香山氏の乗っ取り犯は自分がとんでもない暴言をなりすましてツイートしようとしていると気づけたことでしょう。

Twitterでは考えたことをそのまま垂れ流すのではなく、一呼吸置くことが大事です。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

篠原修司の最近の記事