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懲役13年の性犯罪者が体験を語った刑務所の治療プログラム

篠田博之月刊『創』編集長
性犯罪再犯防止に取り組んでいる法務省(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 2018年4月26日に謝罪会見が行われたTOKIOの山口達也さんの強制わいせつ事件の報道で、性犯罪をめぐって2017年に刑法が改正されたことがたびたび言及されている。「親告罪」規定がなくなったので、被害者の告訴がなくても起訴はできる。性犯罪に対しては厳罰化の流れができつつあるというわけだ。

  性犯罪の厳罰化は、時代の流れに即したものだろう。そのことに異議はないが、ただこの間の法改正をめぐる議論で、目を向けるべき問題があまり取り上げられないことが気になった。

ほとんど知られていない性犯罪再犯防止への取り組み

 薬物依存と並んで性犯罪についても、処罰だけでなく治療を行う必要があるという声が日本でも広がりつつあり、法務省を中心にいろいろな取り組みがなされている。ただ、その具体的な内容はほとんど知られていないのだ。

 そこでこの1~2年、手紙のやりとりを続けてきた、ある性犯罪者の話を紹介しよう。懲役13年という重い刑に服してきた男性で、実は間もなく出所予定だ。

 私は、幾つかの薬物事件に関わる過程で、再犯が繰り返されるのをなくすためには、厳罰を科すだけでなく、治療や社会的取り組みが必要だと痛感するに至った。それは性犯罪についても同じで、実際にいろいろな取り組みが行われていることについても具体的に見聞きする機会を得た。

 その問題に関心を抱くようになったのは、2004年に起きた奈良女児殺害事件をきっかけに、2006年から性犯罪の治療プログラムが刑務所に導入され、10年以上を経ていろいろな成果をあげていることを耳にしたからだった。

奈良女児殺害事件については、何度もヤフーニュースに記事を書いている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20161117-00064547/

 奈良女児殺害事件の小林薫死刑囚(既に執行)は、事件を起こす前から性犯罪を繰り返し、その事件の鑑定で小児性愛と診断されていた。彼は、もう生きていても仕方ないからと自ら死刑を求め、2006年の一審死刑判決の後、自ら控訴を取り下げてしまうのだが、その1年近く、私は彼と密に関わり、奈良に毎月足を運んでいた(その経緯は拙著『ドキュメント死刑囚』参照)。

 小林死刑囚は裁判の間、奈良少年刑務所に在監しており、私は毎月何回もそこに面会に通っていたのだが、2006年に同刑務所が治療プログラムをいち早く導入したと聞き、そのプログラムがどういうものか取材してみたいと思っていた。

 その後、そのことに再び関心を持ったのは、2015年夏、寝屋川で起きた中1少年少女殺害事件の後だった。法務省が発表した犯罪白書で、性犯罪治療プログラムが導入から10年を迎え、その成果を調査していることや成果が報告されたからだ。法務省では、性犯罪者で治療を受けた者とそうでない者を3年間追跡調査して成果を検証するということを行っていたらしい。そしてその結果、治療を受けた者は受けない者に比べて再犯率が5分の1に減少したという成果をあげたというのだ。この数字については、その後、統計の取り方に多少疑問を呈する向きもあるのだが、性犯罪者への治療が効果をあげていることは確からしい。

 奈良女児殺害事件の小林死刑囚自身は、その後死刑が執行されたし、治療プログラムを受ける機会はなかったのだが、彼と一時密に関わった私から見ると、通りすがりの女児を誘拐して殺害したという凄惨なこの事件が、10年後にそんな影響を残していたことを知って、それがわずかな救いのような感じがしたものだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20151114-00051453/

伊藤詩織さんの著書『Black Box』に対する性犯罪者の感想

 その後、私は法務省などから資料を取り寄せるなどするうち、そのプログラムを実際に受けている人に具体的な話を聞きたいと思うようになった。そして、その頃から手紙のやりとりを始めたのが、今回取り上げる受刑者だ。

 薬物犯罪については、その後、刑の一部執行猶予制度など、治療に重きを置いた施策が次々と導入されていくのだが、性犯罪をめぐるこうした取り組みについては、ほとんど具体的な報道が行われておらず、実態はほとんど知られていない。

2017年12月6日付の毎日新聞記事
2017年12月6日付の毎日新聞記事

 ここに掲げた新聞記事は2017年12月6日付の毎日新聞だが、再犯防止のプログラムをめぐる現状を説明している。それによると、性犯罪再犯防止指導は全国68刑務所のうち19カ所で実施されているが、受講の必要ありとされる受刑者に比して態勢が追い付かず、受講待機者が年々積みあがっている状況だという。

 いったい再犯防止のプログラムとは、どんなことが行われているのか。性犯罪で服役している受刑者に具体的に書いてもらうことにした。それは月刊『創』2018年2月号に掲載したが、やや専門的な内容でもあるので、一般誌に載せるだけでなく、ネットで公開して、その内容に関心のある人がアクセスできるようにしておきたいと思った。性犯罪治療や再犯防止に関心のある人には貴重な資料になると思うからだ。

 その男性は、最近、伊藤詩織さんの著書『Black Box』を弁護士に勧められて読んだらしい。そして性犯罪被害女性が顔を出して告発するのが難しい状況の中で、詩織さんが思い悩み、最終的に実名と顔を出して告発を行ったことに心を揺さぶられたという。それは裏を返せば、手記を公表するに際しても匿名であり続ける自分に対する忸怩たる思いだという。最近受け取った手紙には、被害者が実名で告発しているのに、加害者である自分が匿名であることに恥じ入るばかりだと書いていた。

以下、その性犯罪で服役中の受刑者が書いた手記の主な部分を紹介しよう。全文を読みたい人は下記にアクセスしてほしい。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180427-00010000-tsukuru-soci

 ちなみにこの男性は間もなく出所するのだが、性犯罪者が社会復帰へ向けて苦闘する経緯を記録にして社会に問題提起したいので、そういうことに興味を持っていそうなマスコミか映像関係者を紹介してほしいと言ってきた。そこであるテレビ関係者に紹介することにした。だからあと1年後くらいに、もしかすると何らかの形で報道されることになるかもしれない。

 ただこれはそう簡単なことではないだろう。性犯罪を犯した者の社会復帰は、他の犯罪以上に厳しい気がする。奈良女児殺害事件の時も、日本でもミーガン法を導入せよという議論が起きた。性犯罪者は個人情報を公開させて監視すべきだという考え方だ。

 そういえば以前、元ヒステリックブルーのナオキの出所を前にした手記を掲載し、大きな反響を得た。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20160706-00059689/

元ヒステリックブルーのナオキが出所を前に獄中12年の心情と事件の真相を手記に綴った

 彼が有名なミュージシャンだったためだが、その後も時々マスコミなどから問い合わせが入る。本当は、彼がミュージシャンとして社会復帰する様子もフォローして報告しようと思っていたのだが、現実は簡単ではない。一度罪を犯した者、特に性犯罪者が社会復帰することは相当大変なのが現実だ。

 だからここで紹介する男性についても楽観はできないのだが、ともあれ、出所を前にした性犯罪受刑者が、自分が刑務所でどんな再犯罪防止プログラムを受講してきたか。その手記の主な部分を紹介しよう。彼は樹月カインというペンネームで、これまでも幾つかの出版社に手記を寄稿してきた人物だ。

懲役13年の判決に「人生が終わった」と

 懲役13年の判決を宣告されたとき、「人生が終わった」と感じました。「こんな長期の刑を科されるほど酷(ひど)いことはしていない」と加害責任を否認し、「13年も服役させられたら、更生できるものもできなくなってしまう」と、刑事司法制度を批判しました。塀の中での13年という時間の重みを想像できなくて、自分のほうが被害者であるかのような思考に陥っていたのです。

 何の落ち度もない被害者の人生を決定的に傷つけておきながら、自分の人生を守ることで精一杯になっていたなんて、鬼畜にも劣る卑劣漢だと非難されて当然です。しかも当時の私は、自分が身勝手で、ものごとを自分に都合よく解釈していることさえ自覚できていませんでした。

 こうした歪んだ思考のことを、性犯罪治療では「認知の歪み」と呼び、徹底的な修正が求められます。一般的に性犯罪は、性衝動の高まりや、偏った性的嗜好が原因と理解されがちですが、実際には、認知の歪みや親密な対人関係の不足、不適切な情動統制の習慣、共感性の不全などの要因が、複雑に影響しあって発生する行動だと言われています。こうした性犯罪につながる様々な要因(リスク)に対し、認知行動療法などの科学的アプローチによって介入を行い、再犯を防ぐための新たな行動様式を習得していく取り組みが「性犯罪治療」です。

 2017年7月、性犯罪の厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が施行され、メディアでも大きく報じられました。以前に比べれば、被害の実情に沿った刑罰を科せられるようになりましたが、個人的には、性犯罪がまんえんする社会の現状は変化しないだろうと感じています。刑法が影響を与えられる範囲は「被害の事後」に限られており、加害の抑止という点ではほぼ無力だからです。そもそも、事後対策ばかりに目が向いて、加害を防ぐ対策がおろそかになっている時点で「加害者の思うツボ」です。事後対策の拡充と並行して、加害を未然に防ぐ対策も強化しなければ、「未来の被害者」は守れないのではないでしょうか。

 加害者に治療や更生の機会を提供することは、「加害者支援」に映ってしまうのかもしれません。被害者支援も不十分な中、加害者に手を差し伸べるなど時期尚早だというご意見もあろうかと思います。しかし性犯罪は被害者に、長期にわたって深刻かつ広汎なダメージを与え続ける極めて悪質な犯罪です。加害者の分際で恐縮ですが、性犯罪対策は「事後では遅い」と思います。

「加害者に恩恵など与えてたまるか」と考えるのか、未来の被害者を無傷のまま守ることを優先するのか――。社会で議論していただきたいと願っています。

通称「R3」という治療プログラム

 刑務所では2006年から、性犯罪受刑者を対象にした治療プログラムが実施されています。「性犯罪再犯防止指導」(通称:R3)と呼ばれるこのプログラムは、全国77施設のうち、19の施設で運用されています。私の場合は2015年5月に、現在服役している刑務所から広島刑務所に約1年間移送され、再犯リスクが高いと判定された受刑者向けの「高密度用プログラム」を受講しました。

 高密度用プログラムは約8カ月のプログラムで、グループワーク形式で実施されます。個別のカウンセリングなどは原則実施されません。

 グループは30代から60代までの受刑者7名と、2名のスタッフ(男性グループリーダーと女性カウンセラー)で構成されました。このメンバーが週2回、それぞれが就業する工場での作業を抜けて集合し、1回100分のセッションを全64回行います。

 私はR3を受講する6年半ほど前から、社会内の専門家と連携した自主的治療を開始しており、R3にはある程度の知識をもって臨みました。グループに治療経験者が含まれていることは、他のメンバーにも刺激となっていたようです。

 セッションは、受刑者とスタッフが車座になって行います。刑務所では、管理する側の職員と管理される側の受刑者という「縦の関係」が強調されがちですが、R3では、できる限りスタッフと受刑者の垣根を取り払う工夫が施され、対等で協働的な「横の関係」を築くように促されます。

 考えてみれば、仮釈放や懲罰をちらつかせて受刑者を服従させる刑務所の処遇モデルは、暴力や脅迫、ワイロなどを用いて他者を性的に支配する性犯罪者の行動原理とどこか似ています。R3は刑務所内で実施されながらも、刑務所がその実効性を体現する支配的な対人関係をリスクとみなし、刑務所的文化に対抗する「向社会的文化」を受刑者に体験させるプログラムなのです。

 グループには当初、3つの「ルール」が用意されていました。真剣に話す、真剣に聞く、秘密を守るというものです。後にこのルールには、私たちのグループ独自の4つ目のルールが付け加えられることになります。

 じつは私たちのグループでは、26回目のセッション時に、メンバー間の意見の伝え方をめぐって大紛糾が起きました。その日は「性にまつわる認知の歪み」という重要単元に取り組む予定だったのですが、この紛糾によって、プログラムの進行がストップしてしまったのです。

 こうした事態に対しては、スタッフが刑務所的な介入をして収束を図ることもできたのだと思います。しかし、そこで強権を発動していれば、「対等で協働的な横の関係を大切にする」というR3の価値観は瓦解していたことでしょう。そうした手段を執らず、グループの互助力に解決を委ねたスタッフを私は心から尊敬します。

 かくして私たち受刑者は、この紛糾をきっかけに、グループワークに取り組むことの意味と、グループの一員としての自己の役割を自らに問い直すことになりました。その結果生み出されたのが、「仲間の再犯防止を互いに支える」という私たち独自のルールです。

 私はこのルールをグループの総意で編み出せたことを誇りに思います。仲間との横のつながりを持てると、こんなに素晴らしい気持ちになれるんだという生きた体験を経たことは、性犯罪につながる支配的な対人関係を自ら手放し、対等で協働的な人間関係を築いていこうとする原動力になっていると感じます。

5科目で構成されたテキストとワークブック

 私が受講した高密度用プログラムは5科目で構成され、科目ごとにテキストとワークブックが用意されています。その日学習するテキストの単元を読み合わせた後、グループ討論に移るのが、セッションのおおまかな流れです。

 ワークブックの課題は、各自が刑務作業を終えて、居室に戻ってから取り組むように指示されます。

 テキストの内容は多岐にわたるので、その全容を網羅することはできそうにありません。ここでは私自身のエピソードも交えながら、そのエッセンスだけでもご紹介させていただければと思います。

●第1科『セルフ・マネージメント(自己管理)』  

 この科では性犯罪につながる28のリスクを学び、それに対するマネージメント方法を検討します。また「自分史」や、加害に及ぶまでの行動と思考の連鎖を記録した「行動ステップ分析」を作成して、自身のリスクと性犯罪を引き起こすトリガー(引き金)の同定を行います。

 そのうえで、リスクが生じてきたことに気づくための方法や、トリガーへの対処方法などを「セルフ・マネージメント・プラン」(SMP)と呼ばれる再犯防止計画書にまとめていきます。このSMPがR3の最終成果物になります。「自分史」「行動ステップ分析」「SMP」は、グループ内で発表の機会が与えられ、メンバーからのフィードバックを受けて各自が更新作業を繰り返します。

 私は自分史作成の過程で、10代の頃の性的ではない問題行動と、これまでに起こしてきた性犯罪行動の数々が、ほぼ同一の行動原理に根差していることを発見し、自分のことながら慄然(りつぜん)としました。

 高校1年生のとき、私は仮病を使って長期入院をしています。進学した高校への不適応感を募らせていた私は、身体的症状を次々と捏造して入院を長引かせ、検査のための手術まで受けました。当時の私にそこまでの自覚はありませんでしたが、今から思えば、家族やクラスメイトに注目されるのが嬉しくて、芝居を打つことをやめられなくなっていたのだと思います。これは、「ミュンヒハウゼン症候群」と呼ばれる病態に近いかもしれません。

 一方で事件は、架空の人物を装って被害者を脅し、自身は脅迫者から被害者を守る存在として姿を現す手口で行いました。私は脅迫者を騙って性行為を強いながら、あたかも自分が被害者を守っているように見えるよう巧妙に振る舞う。被害者から見れば、目の前にいるのは自分を守ってくれる存在なので頼りにしてしまう。被害者を助ける態(てい)を装って接近し、加害に及ぶという点では、神奈川県座間市の9人殺害事件とも手口が通底する、自作自演の悪魔的な犯罪です。

 これは、母親が子どもに毒を盛りながら、かいがいしく看病する姿を演じることで存在感をアピールしようとする「代理ミュンヒハウゼン症候群」の病態と酷似しています。つまり私の問題行動は、10代の頃から一貫して、自己の存在価値を示すために行われてきたことになります。

 私は長年、自分が犯した罪の意味を理解できずにいましたが、ここにきて、ようやく自身が性犯罪に求めていたものの本質を感得しました。ミュンヒハウゼン症候群が代理ミュンヒハウゼン症候群にエスカレートしたという仮説は私自身にとっても衝撃的でしたが、『存在感の危機に直面すると、それを払拭するための不適切行動を起こす』という特定のパターン(トリガー)を発見できたことは、非常に大きな収穫だったと思います。

 こうしたトリガーの同定から、存在感の危機に直面したときの対策として、「性犯罪者の自助グループに参加して仲間の再犯防止に貢献する」や、「セックスや他人を傷つけない方法でも存在感を発揮する方法があることを思い出す」、「たとえ存在感が脅かされても、そんなことは誰にでもよくあることだとセルフトークをする」などの対処をSMPに盛り込みました。こうして雑誌に掲載する原稿を綴ることも、ある意味では比較的穏当な方法で存在感を発揮する実践の一環と言えるかもしれません。

注:以下、第2科~第5科と説明が続くが割愛する。読みたい人は前述したサイトをご覧いただきたい。手記の最後のくだりを紹介して一文を終えることにする。

塀の中での治療が社会内でどれほど効力を発揮するのか

 宣告されたときには絶望的に思えた懲役13年でしたが、塀の中での丸10年の治療を経て、私は2018年に満期出所を迎えます。長期の治療で、私のパーソナリティーは曲がりなりにも変化を見せ、人生が格段に回復している手応えを感じています。私にとっての懲役13年は「人生の終わり」などではなく、人生を再生するための得難い「転機」となりました。しかしこの治療と回復が、被害者の犠牲の上に成立している不条理を思うと、途轍もない罪責感を覚えずにはいられません。

 また、現状では、出所後の帰住先も、生計を立てる手段のあてもなく、再犯リスクが最も高くなるパターンでの社会復帰となる可能性が濃厚です。塀の中での治療が社会内でどれほど効力を発揮するのかも未知数で、私は今なお多くのリスクを抱えていることを進んで認めないわけにはまいりません。こんな私が出所することに社会の皆様は同意してくださるのか、社会の声を聴かせて欲しいという思いもあります。認知行動療法だ、再犯防止スキルだと言ったところで、生活基盤がなければ絵に描いた餅でしかなく、強い危機感を抱いています。

 出所後の帰住先や就労については刑務所にも相談を願い出たのですが、「その種の相談には今後も応じない」と一蹴されてしまいました。

 再犯防止に対するプログラムの効果が15%前後であるのに対し、生活基盤などの環境が与える効果は約40%と言われています。2016年12月には再犯防止推進法が施行され、政府や各自治体が各種の施策を打ち出している情勢を考えると、旭川刑務所の対応は些か杜撰なようにも思われます。とはいえ、刑務所からの心ない対応を受けても、私の更生にかける意欲は微塵も揺らぎません。

 私には罪の経験を活かして、性犯罪を防ぐ社会に貢献する責任があると思います。その責任を果たしていくことが、罪人である私の『存在価値』です。

 いつか、自身の回復を進めながら、同じ問題を抱える仲間たちを支えるための場所を作り、運営に携わりたい。そうした活動を広げていくことでしか、未来の被害者は守れないと私は信じるのです。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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