「山口メンバー」と「山口容疑者」に呼称が分かれたTOKIO山口達也へのマスコミ報道

TOKIO山口達也さん謝罪会見。背後が矢田弁護士(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 4月26日午後2時過ぎからAbemaTVでTOKIO山口達也さんの涙の会見を思わずリアルタイムで最後まで見てしまった。ジャニーズ事務所の“強面”顧問弁護士とされる矢田次男さんが本人の後ろで、もらい泣きしていたのが印象的だった。

 この事件、スポーツ紙など芸能マスコミを始め大きな報道がなされているのだが、多くの人が違和感をもったのが「山口達也メンバー」という呼称だろう。ネットでは結構大きな議論になっている。

 「○○メンバー」という呼称で思い出すのは、稲垣吾郎さんの事件の時のことだが、ジャニーズ事務所といえば「○○メンバー」という呼称が定着してしまった感がある。稲垣さんの事件の時は、テレビがジャニーズ事務所に配慮して「容疑者」呼称を避けたのではということで大きな批判があったが、今回も「これはジャニーズ事務所への忖度(そんたく)なのか」と思った人は多かったろう。

 ただ、今回は逮捕はなされておらず書類送検の事例だから、実は呼称をどうするかはなかなか難しい。ジャニーズ事務所でなければ「○○社長」などと社会的肩書をつけるケースではないだろうか。そもそも社会的影響力の大きいタレントだからこそこういう大報道になったわけで、一般人なら報道もなされないケースだから、当然、報道に当たっての扱いをどうするのかという問題が出て来ることになる。

 当初、テレビが「山口メンバー」と呼ぶのは、ジャニーズ事務所への忖度かと思ったが、4月26日の朝刊を見ると、朝日新聞や東京新聞含め新聞もほとんどが同じ呼称を使っている。報道現場は苦慮したのだろう。

読売新聞は「山口容疑者」と報道(筆者撮影。以下も)
読売新聞は「山口容疑者」と報道(筆者撮影。以下も)

 その中で話題になっているのは、在京紙では読売新聞だけが「山口容疑者 強制わいせつ」という見出しで、「容疑者」呼称を行っていたことだ。記事中も「山口容疑者」で統一しているから、読売新聞なりの判断によるものなのだろう。

 もうひとつ目についたのは「しんぶん赤旗」で、これも見出しが「TOKIO山口容疑者 強制わいせつ書類送検」だ。赤旗も独自性を貫いたかと思ったが、ただ記事中では「山口メンバー」という呼称にしている。

赤旗は見出しだけ「容疑者」呼称
赤旗は見出しだけ「容疑者」呼称

 

サンスポは見出しに小さく「メンバー」と
サンスポは見出しに小さく「メンバー」と

 スポーツ紙を見ると、サンスポは見出しに「TOKIO山口」と大きく掲げて、山口の文字に「メンバー」という表記を小さく被せるという表記。記事中は全て「山口メンバー」だ。

 

多くのスポーツ紙は呼び捨て呼称だ
多くのスポーツ紙は呼び捨て呼称だ

 逆に少し意外だったのは日刊、スポニチ、報知など他のスポーツ紙が「TOKIO山口達也」などと呼び捨てであることだ。見出しもそうだし、記事中も呼び捨てで統一している。

 歴史的に見ると、昔は逮捕段階で容疑者は呼び捨てで、それを改めて「容疑者」呼称が使われるようになったのだが、スポーツ紙が今回、ほとんど「呼び捨て」なのにも驚いた。ただもしかするとこれはタレントにはいちいち敬称をつけない、という考え方に基づくのかもしれない。

 こういう呼称問題は、複数のメディアを比べないと違いに気づかないものだから、いちいち理由の説明はなされないのだが、でも可能なら報道のあり方をめぐってはできるだけ紙面で説明を心がけたほうがよいと思う。

 例えば座間事件のように、警察発表があった時に実名・顔写真を大々的に報じながら、遺族からの申し入れを勘案して、匿名に一斉に切り換えるといったことが行われても、紙面でその理由を説明しないのはどうなのかと思う。

 以前は報道をめぐる考え方についてはなるべく紙面で説明しようという考え方がもう少し新聞などにあったように思うのだが、今はあまりにもそういう配慮がなされていない。確かにいちいち説明するのは煩雑だが、読者にある程度理解をしてもらう努力も必要だと思う。

 今回、読売新聞だけが「容疑者」呼称にした理由など、ぜひ聞いてみたいと思うのだが。