バルセロナ下部組織出身で“韓国のメッシ”と呼ばれたFWイ・スンウの去就について何かと話題だ。

日本のサッカーメディアでも取り上げられ、一部では韓国メディアの報道をもとにアメリカや中東、さらには「Jリーグ進出の可能性」などについても触れられているが、『スポーツソウル』サッカー班の取材によれば、Jリーグ進出よりも韓国Kリーグにやってくる方向で傾いているという。

そもそもイ・スンウが所属するシント=トロイデンがイ・スンウとの契約解除を発表したのは11月23日。シーズン真っ只中の時期としては異例のことだ。

イ・スンウは2021-2022シーズンが始まってリーグ戦で1試合も出場できなかった。3試合でベンチ入りしたものの、実際にピッチに立つことはなかった。

これは今季に限ったことではない。2019-2020シーズンからの2年間で、イ・スンウはリーグ戦でわずか21試合の出場にとどまった。昨季途中にはポルティモネンセにレンタル移籍したが、後半戦でリーグ戦出場は4試合のみだった。つまり、2年以上もまともにプレーできていないのだ。

シント=トロイデンとシーズン途中に契約を解除したのは、ベルギーでの今後に希望を見出せなかったからだだろう。

実はイ・スンウは10月27日に自身のインスタクラムに意味深な投稿もしていた。写真にはスペイン語で「どんなに価値があっても間違った場所にいては輝くことはできない」という文章もあった。

(参考記事:消えた“韓国のメッシ”イ・スンウがSNSで意味深投稿「価値があっても間違った場所にいては…」)

このまま停滞期間が長くなれば、選手生命そのものにも大きく悪影響を及ぼす。つまり、契約解除は「出場機会が得られるチームを早く探したい」というイ・スンウにとっても強い希望だったわけだ。

では、イ・スンウの次の移籍先はどこになるか。複数の関係者によると、現時点で最も密接に対話を交わしているクラブはKリーグ1(1部リーグ)の水原(スウォン)FCだという。

実はイ・スンウのKリーグ移籍説は昨冬や今夏の移籍市場にも浮上した。全北現代や蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)などの上位クラブが候補に挙がったが、どちらもイ・スンウの技量に懐疑を示し、最終的に移籍は実現しなかった。

今回も全北現代、蔚山現代ともに「イ・スンウと交渉している事実はない」と認めている。そんな中で接触の事実を認めたのが、水原FCだ。

水原FCの事情に詳しい関係者も、「継続的に対話しているのは事実だ。まだどの段階まできたと明確に規定することはできないが、水原FCが獲得を進めているのは事実だ」と、『スポーツソウル』サッカー班に明らかにしている。

イ・スンウにとっても水原FCは馴染みあるクラブだ。というのも、水原FCのホームタウンである水原市はイ・スンウの故郷。水原FCもイ・スンウと縁が深く、オフシーズンにイ・スンウが韓国に帰国した際、水原FCで練習をしたこともある。当時の縁で、クラブオーナーのヨム・テヨン水原市長ともつながりがあるらしい。

そして、水原FCもイ・スンウ獲得の必要性を感じているようだ。Kリーグ1(Kリーグ1部)に昇格した今季、ファイナルA(上位グループ)進出を果たす快挙を成し遂げた水原FCだが、成績に反して国内における人気はあまり高くない。

そこで、ある程度ファンの多いイ・スンウを獲得できれば、クラブの新たな顔として話題を集められるものと期待している。

水原FCを率いるキム・ドギュン監督も、戦術面でイ・スンウの活用価値があると判断しているようだ。

シドニー五輪韓国代表のキャプテンで、かつて京都サンガでもプレーしたキム・ドギュン監督は柔軟な戦術変化を追求する指導者として、イ・スンウを2トップの一角、あるいはトップ下、ウィングでも起用できると見ているらしい。

直近2年間でまともにプレーできていないというリスクはあるが、キム・ドギュン監督は選手の価値を肯定的に評価しており、獲得を進めているという。

いずれにしても、イ・スンウとしては最も良い条件を提示してくれたチームのユニホームを着るだろうが、はたして。

ちなみに同じバルセロナ下部組織出身のMFペク・スンホは、欧州での出場機会減を受けて今年3月に全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに移籍すると、Kリーグでの活躍から韓国代表に2年ぶり復帰を果たした。

“韓国のメッシ”と呼ばれた時代を考えれば都落ち感は否めないが、かつての輝きを取り戻すためにも、また、課題とされるフィジカルの弱さを改めて鍛え直すためにも、Kリーグ復帰がもっとも望ましいのではないかと、筆者は思う。