女子ゴルフ開幕の韓国。日本で放映もあるKLPGA関係者が“恩人”とした日本人とは?

開幕前日の昨日はフォトコールも(写真提供=KLPGA)

韓国女子プロゴルフの2021年がスタートする。本日4月8日から済州島(チェジュド)・西帰浦(ソグィポ)市のロッテスカイヒルCC で行われる『ロッテレンタカー女子オープン』で新しいシーズンがスタートする。

昨年は新型コロナウイルス感染症によって開幕が遅れて5月にスタートしたが、今季は例年通り、4月の上旬に開幕できた。昨日はパク・ヒョンギョン、キム・ジヒョン、チョ・アヨン、チェ・ヘジン、イ・ソヨン、ユ・ヘランなど、人気と実力を併せ持ちKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)広報モデルも務めるスターたちのフォトコールもあった。

(参考記事:あの美しき広報モデルたちも!開幕戦フォトコールで6選手が笑顔披露【PHOTO】)

それにしても改めて実感するのはKLPGAツアーの成長ぶりだ。

今季海外での開催大会を含め計31の大会が行われる予定で、賞金総額は287億ウォン(約28億7000万円)となった。

この額はKLPGA史上最大規模だ。2009年度は18試合・69億3000万ウォン、2010年度は21試合・96億4000万ウォン、2011年度は19試合・99億8000万ウォン、2012年度は20試合・111億6000万ウォン、2013年度は22試合・131億5000万ウォン、2014年度は27試合・165億600万ウォン、2015年度は29試合・185億4700万ウォン、2016年度は32試合・211億ウォン、2017年度は207億ウォン、2018年度は28試合206億ウォン、2019年度は29試合226億ウォンと、毎年のようにその規模を大きくしてきたKLPGAだが、今年はついに300億ウォンに迫るほどの規模となった。

しかも、今季は11月最終週に台湾、12月第一週にベトナム、12月第二週にはシンガポールでも大会が予定されている。そうしたこともあり、今季はタイのゴルフ専門チャンネル『Golf Channel Thailand』、ベトナム国営放送『VTV』でもKLPGAの大会が全試合中継される。

日本でもCS放送の『スカイA』が日本国内での放送権を獲得。今日から行われる「ロッテレンタカー女子オープン」や「KLPGAチャンピオンシップ」といったメジャー大会を含めた計6試合を放映。そのほかの試合も同社の専用サイトで配信するという。

この事実を聞いて思い浮かんだのは21年以上も長きに渡ってKLPGAの首席副会長を務め、現在はKLPGT(韓国女子プロゴルフツアー)株式会社の代表を務めるカン・チュンジャ氏が教えてくれたエピソードだ。

80年代に日本でもプレーし、樋口久子らとも親交があるカン・チュンジャ氏は、KLPGAの過去・現在・未来を記した拙著『イ・ボミはなぜ強い? 女王たちの素顔』の中で、こんなエピソードを明かしてくれた。

KLPGAツアーの今日の繁栄の陰には、いつもJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)ツアーの助言やアドバイスがあったとカン・チュンジャは振り返る。

「ツアーの規定だったり、プロたちの資格条件だったり、KLPGAはさまざまな部分でJLPGAのそれを参考にしてきました。プロゴルフの歴史は日本のほうが韓国よりも断然長く、その分、さまざまなことを経験してきたので、日本は規約などもしっかり整備されている。我々が参考資料や情報などを要請すると、日本ツアーは快く応対してくれます」

国同士では何かといがみ合う間柄だが、協会同士では頻繁に交流しているわけだ。それどころかカン・チュンジャによると、KLPGAに今日の繁栄をもたらすヒントを授けてくれたのも、日本だったという。

「KLPGAの主な収入源となっているのは、スポンサー料やギャラリーたちの入場者収入ですが、もうひとつの柱があるんです。それはテレビ中継権料なのですが、それは日本の樋口久子さんのアドバイスとアシストが大きく作用したんです」

カン・チュンジャによると、KLPGAでは1990年代後半までは特定のテレビ中継局がなく、試合が放送されることも少なかった。1992年から専務理事としてKLPGAの運営に携わっていた彼女にとっても悩みの種だったが、ひとつのヒントを示してくれたのが当時、日本女子ゴルフ協会の会長職にあった樋口久子だったという。

「人気がないからといってタダで売ってはダメ。前例を作ってしまうと、のちのち立ち行かなくなる。たった100ウォンであっても、中継権料をもらいなさい」

樋口久子はそう言いながら当時のKLPGA会長にも掛け合い、特定のテレビ局と中継権契約を交わすよう促したという。その結果、KLPGAは2000年に韓国の民放テレビ局SBSと初めて中継権契約を交わし、その関係は今も続いている。

2016年8月には1年・64億ウォン(約6億4000万円)の5年契約・計320億ウォン(約32億ウォン)の大型契約を交わした。

この額は韓国のプロバスケ (30億ウォン)、プロバレー(40億ウォン)、プロサッカー(60億ウォン)をしのぎ、韓国プロスポーツ史上2位である(1位は360億ウォンのプロ野球)。こうした中継権料の倍増も、樋口久子の助言がなければなかったとカン・チュンジャは言う。

「苦しくても目先に走らず、常に将来を見据えることの大切さを樋口さんは教えてくれたと思います。そういった姿勢を学び、中継権などで得た収益を未来に投資しています」

(『イ・ボミはなぜ強い? 知られざる女王たちの素顔』(光文社) 第4章 韓国女子プロゴルフ協会が描く未来図)

日本でお世話になった恩人のアドバイスをもとにテレビと付き合いその規模を大きくしてきたKLPGAが、これからは日本でも放映される。日本に学び追い越せと走り続けてきたKLPGA関係者たちからすると、感慨深い日本進出だろう。

そのKLPGA関係者たちが数年前から掲げているスローガンがある。

「国内一位が世界一位だ」。選手のレベルはもちろん、プロツアーとしての規模やステイタスでも世界の頂点に立つことが目標だという。歴史や伝統ではアメリカや日本よりも後発の韓国女子ゴルフが世界ナンバーワンになるためには、賞金規模などまだまだ解決しなければならない課題も多いが、昨今の韓国女子ゴルフの勢いを見ていると、その夢も決して絵空事ではないような気がする。

今日から始まる新シーズンではどんなドラマが生まれ、スターが出現するだろうか。今年は日本でも見られるので、韓国ゴルフの強さに興味があるファンにはぜひ視聴をおすすめしたい。