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美女セッター人気で序盤は好調も、新型コロナで“春バレー”なく終わった韓国Vリーグ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・ダヨン(写真提供=スポーツソウル)

本来なら今ごろは男女バレーボールの年間王者が決まるはずだった。日本のVリーグのことではない。韓国Vリーグのことだ。

韓国では毎年この時期、男子部と女子部があるプロバレーボールのVリーグが佳境を迎え、5戦3先勝方式のチャンピオンシップを戦うこの時期を “春バレー”と呼ぶのだが、今年は新型コロナウイルスの影響で“春バレー” もなくなってしまった。

男子部は昨年10月12日に、女子部は10月19日にリーグ戦が開幕したが、新型コロナウイルス拡散の影響で第5ラウンドを消化した時点で暫定的に中止となり、3月23日にはプレーオフも行われないままシーズンが早期終了となった。

今季は開幕前に女子バレー韓国代表が東京五輪出場を決め、その中軸選手のひとりであるイ・ダヨンが“美人セッター”として連日SNSも記事になるほど注目を集めるなど、Vリーグ人気がさらに盛り上がっていた矢先だけに残念だ。

(参考記事:「あの美女選手は誰?」女子バレーボール韓国代表の“双子姉妹”は何者か」)

実際、今季の韓国Vリーグは例年にない人気を集めた。

男女合わせて13チームがある韓国Vリーグは今季、男子部112試合、女子部80試合の計192試合を消化したが、男子部は21万8732人、女子部は17万3599人の観客数を記録。新型コロナウイルスで無観客試合体制となる前までは男女ともに歴代最多をマークしていた。

特に女子部の人気は著しく、テレビ視聴率は史上初めて平均1%台を突破している。

一見すると少なく感じるかもしれないが、韓国Vリーグはケーブルテレビで放送されており、韓国ケーブルテレビ業界では視聴率1%を超えれば、大ヒットとされている。新型コロナウイルス問題がなければ、間違いなく最高視聴率をマークしていただろう。

それだけになお残念なのだが、それでも大きなトラブルがなく終えただけでも幸いか。

というのも、新型コロナウイルスの感染が深刻化した3月、サムスン火災ブルーファングス(男子)のアンドレス・サンタンジェロ(イタリア)、水原KEPCOビッグストーム(男子)のギャヴィン・シュミット(カナダ)、IBK企業銀行アルトス(女子)アドラー・アナエ(アメリカ))が、新型コロナウイルスへの心配を理由に契約解除を申し出てそれぞれの母国に帰国してしまった。

外国人選手たちの相次ぐ韓国脱出は「コレクジット(「Korea」と「Exit」を合わせた造語)」と呼ばれ、Vリーグの今後も心配された。

早期終了なので優勝チームは存在せず、第5ラウンド時点の成績を基に男子はソウルウリカード・ウィビー、女子は現代(ヒュンダイ)建設ヒルステートがリーグ1位となったが、あのままシーズンを続行していれば、さらに「コレクジット」が相次いでいたかもしれないと思うと、シーズンの早期終了も致し方ないといったところだろう。

そのVリーグは昨日4月9日に、記者投票で選ばれたMVPや新人王、ベスト7を発表している。

男子部のMVPはウリカードのナ・ギョンボクが受賞。女子は現代建設ヒルステートのベテラン・ミドルブロッカー、ヤン・ヒョジンが選ばれた。ヤン・ヒョジンのチームメイトである前出のイ・ダヨンは、MVP候補にも挙げられていたが、その栄誉は先輩に譲り、自身初のベスト7に選ばれた。

史上初めて“春バレー”がなかった韓国Vリーグだが、来年はふたたび百花繚乱の“春バレー”で盛り上がることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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