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チャングム女優イ・ヨンエ、“韓国の吉永小百合”が14年ぶりに映画に帰ってきた!!

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『私を探して』記者会見のイ・ヨンエ(写真提供=SPORTS KOREA)

韓国時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』で主人公チャングムを演じ、日本でも人気を集めた女優イ・ヨンエが、14年ぶりに韓国映画に復帰した。

その映画とは、第44回トロント国際映画祭の公式招待作でもある『私を探して』(原題)。子どもの行方不明や虐待問題を扱ったサスペンスで、韓国公開を本日11月27日に控えている。

イ・ヨンエといえば、韓国では“国民的女優”、日本では“韓国の吉永小百合”と称されながらその存在感を放ってきた存在。

2005年にはパク・チャヌク監督の映画『親切なクムジャさん』で復讐に燃える女性を熱演し、清純派のイメージを覆すと同時に女優としての新境地を開いた。

(参考記事:【秘蔵写真】こんなイ・ヨンエ見たことない!! デビューから大胆な姿までフォトヒストリー)

ただ、『親切なクムジャさん』以降、開店休業状態に突入し、“引退説”が囁かれたこともある。

イ・ヨンエは当時の心境を、11月16日に発売された韓国の映画雑誌『CINE21』のインタビュー記事でこう振り返っている。

「『チャングム』と『親切なクムジャさん』で好評をいただいてからは、何も求めなくなりました。それ以上のいいもの(成功)を求めていくと私は家族を作れない。欲を出すまいと思ったのです」

ところが、イ・ヨンエは本人の望んだ通りに結婚(2009年)と出産(2011年)を経たあと、それまでと違う路線を歩き始めた。

プライベートを極力隠す“秘密主義”から脱し、ドキュメンタリー番組『イ・ヨンエの晩餐』(2014年)で二卵性双子の育児に奔走する姿を披露したり、初めてバラエティ番組にゲスト出演(2016年)したりと、メディア露出を増やしていったのだ。

そうこうするうちに40代後半になったイ・ヨンエが自ら出演を決めたのが、今回の映画『私を探して』である。

本作が長編デビューとなる新人監督の作品に二つ返事で出演をOKしたということもそうだが、イ・ヨンエが2児の母になってから初めて挑む母親役というところも話題になっている。

自分の不注意で息子を見失い、6年間探し回っていた主人公に扮するイ・ヨンエは、息子の目撃情報を頼りに駆けつけた小さな村で壮絶な奮闘を繰り広げる母親を演じる。

11月19日に行われた記者懇談会では、「母親になってみると、息子を見失った母親の気持ちというのがとても辛く、悲しくて演じるのが大変だった」とコメントしていたが、それほど“母性愛”に真正面から向き合ったという意味ではないだろうか。

映画の関係者は韓国紙『中央日報』の取材で「14年ぶりの映画だけに、イ・ヨンエが大きな愛情を示している。ラジオやバラエティ番組など、メディアを通じた宣伝活動にも積極的に臨みながら、できる限り観客とも直接顔を合わせようとしている」と話している。イ・ヨンエがここまで情熱を注ぐ本作が、韓国の映画ファンにどう評価されるか気になるところだ。

「40、50代の女優が主流映画でいくらでも活躍できるということを見せつけたい」(『CINE21』)とも語っているイ・ヨンエ。女優としてゆっくり、しかし着実に進化を続けるイ・ヨンエの今後の活躍から目が離せそうにない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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