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IZ*ONEにも飛び火した『PRODUCE』投票操作疑惑。“被害者”は誰か

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
IZ*ONE(写真=SPORTS KOREA)

日韓合同ガールズグループIZ*ONEがデビュー以来最大の危機に直面している。10月29日にデビュー1周年を迎え、韓国では来る11月11日にファン待望の1stアルバム『BLOOM*IZ』をリリース予定だったが、それが延期となってしまったのだ。

韓国ではそれに合わせたカムバック・ショーケースライブの生放送が予定されたり、プロモーションを兼ねて多数の音楽番組やバラエティ番組の出演が予定されていたが、昨日11月8日にそのすべてが延期されることになった。

IZ*ONEのメンバーには宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美といった元AKB48グループの日本人メンバー加わっているだけに日韓で大きなニュースになっている。日本人メンバーたちは韓国でも人気だけに、日韓の“WIZ ONE”(IZ*ONEのファンたちを総称する言葉)も心配でやきもきしていることだろう。

(参考記事:【写真】48グループのおかげ? 宮脇咲良ら日本人メンバーが韓国で愛されるワケ)

日本と韓国で絶大な人気を誇る彼女たちがデビュー以来最大の危機に直面しているのは、彼女たちを生み出したオーディション番組『PRODUCE』シリーズが“疑惑の渦中”にあることと関係している。

韓国の音楽専門チャンネルMnetで2016年から始まった『PRODUCE』シリーズは、視聴者投票で決まるサバイバル・オーディション番組として人気を博していた。

第1シーズンでガールズグループのI.O.I、第2シーズンでボーイズグループのWannaOne、AKB48グループの運営を担うAKSとMnetがコラボレーションした第3シーズンでIZ*ONEを作り出し、今年夏に終わった第4シリーズではボーイズグループのX1が誕生したが、その第4シリーズ終了直後に視聴者投票結果の不正操作疑惑が浮上した。

警察も調査に乗り出し関係者の家宅捜査も数回行なったあと、11月5日についに『PRODUCE』シリーズを手がけたプロデューサーのアン・ジュニョン氏とチーフプロデューサーのキム・ヨンボム氏が、詐欺と偽計による業務妨害、背任罪などの容疑で拘束された。

それと前後して韓国のニュース番組などが、アン・ジュニョン氏が投票操作の事実を認めたと報道。しかも、俎上に載せられていた第4シリーズ(『PRODUCE X 101』)だけではなく、IZ*ONEを生んだ第3シリーズ(『PRODUCE 48』)でも投票操作を認めたことで、IZ*ONEの活動にもブレーキがかかったわけだ。

投票操作疑惑が浮上して以降、何かと疑惑の目にさらされたX1は8月27日のデビュー以降これといった活動はなかったが、デビュー1周年を迎えていよいよ待望のファーストアルバム発表を控えていたIZ*ONEのメンバーたちにとってはまさに「寝耳に水」だろう。

ただ、韓国の一部ネチズンたちは容赦ない。

韓国の大統領府が設置して韓国国民がオンラインで韓国政府に希望を申し出ることができるオンラインサービスの“国民請願”にはさっそく、「操作グループの地上波出演を禁止させてください」という書き込みが上がり、IZ*ONEの一部ファンたちは巨大ネット掲示板『DCインサイド』のIZ*ONEギャラリーに「順位操作疑惑を認めたと明らかになった以上、IZ*ONEの正当性は失われた」という声明文を掲載して解散すべきだとしている。

しかし、今回の件でIZ*ONEのメンバーたちを責めるのはお門違いだろう。彼女たちが投票操作をしたわけでも画策したわけでもないのだ。投票操作が事実なら、デビューを目指して必死に汗して涙も流した彼女たちもその純粋さを踏みにじられた“被害者”ではないだろうか。

いずれにしても、今後の捜査で投票操作が事実となれば、韓国芸能界に大きな波紋が広がることは間違いない。

ここ数年間、韓国ではサバイバル・オーディション番組が流行しており、近年は『PRODUCE』シリーズがその筆頭でもあったが、「あなたの〇〇に投票せよ」という謳い文句で視聴者たちを盛り上げた『PRODUCE』シリーズに投票操作があったとすれば、オーディション番組の信用は地に落ちて、視聴者離れも避けられないだろう。

本来ならばIZ*ONEのアルバムが発表される予定だった11月11日には、ソウル地方警察庁サイバー安全課がブリーフィングを開いて捜査内容を公開するという。そこで事実が明らかになるまで、引き続き動向を注視していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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