松坂桃李の主演作に話題の『82年生まれ、キム・ジヨン』は“映画の秋”を盛り上げるか

左から『82年生まれ、キム・ジヨン』『新聞記者』韓国ポスター

毎年この時期になると、韓国は「釜山国際映画祭」の開催で世間が賑わう。韓国では“芸術の秋”改め“映画の秋”と言ってもいいかもしれない。

アメリカ映画協会(MPAA)の発表によると昨年の韓国映画市場規模は北米、中国、日本、イギリスに次ぐ世界5位。

もともと映画好きの国として有名だったが、特に今年はポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が第72回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞するという明るい話題もあり、例年より映画業界が活気付いた感じがする。

最近では少女時代ユナが主演の『EXIT』や、北村一輝ら日本人俳優も出演する『鳳梧洞戦闘』、日本でも公開中の問題作『ジョーカー』などがヒットを飛ばしているが、この10月、韓国映画ファンの反応が気になる3本の映画が公開されるので紹介したい。

まずは6月28日に日本で封切られ、SNSを中心に話題となっていた『新聞記者』だ。

松坂桃李と韓国の若手女優シム・ウンギョンがダブル主演を務めた作品で、国家権力の闇に迫る新聞記者と、現政権に不都合なニュースを操作するエリート官僚の対峙を描いた社会派映画だ。

現政権を批判する大胆な内容もさることながら、日本でもリメイクされた映画『サニー 永遠の仲間たち』と『怪しい彼女』で演技力を絶賛されたシム・ウンギョンが、本格的な日本進出を果たしたとして韓国からも関心が寄せられ、10月17日に韓国公開が決まった。

(参考記事:日本映画で主演! 女優シム・ウンギョンの演技は、どれほど凄いのか)

ネット上では「これは必見」「今の時期に必要な映画だ」「シム・ウンギョンが主演なら信用できる。早く観たい」といった声が見受けられる。韓国国内では安倍政権に対して厳しい見方をする声も多いこともあって、映画に対する期待も高いようだ。

もう一つの映画は、『82年生まれ、キム・ジヨン』。

韓国で100万部を突破した同名のベストセラーの映画化で、小説は日本でも14万部を超えるヒットとなっているのでご存知の方も多いだろう。

30代の韓国女性が生まれながらにして受けてきた性差別の数々がリアルに描かれたこの小説は、ちょうど韓国で男性による女性嫌悪(ミソジニー)や男女対立が深刻な社会問題になった2017年頃、絶賛と批判を同時に浴びた。

当時、K-POP人気女性アイドルが「この小説を読んだ」と発言しただけで一部の男性ファンから反感を買ったりしていたが、当然のように映画化の知らせにも男女が激しく対立。主人公キム・ジヨン役に抜擢された女優チョン・ユミも、誹謗中傷を浴びている。

この映画に限っては日本でも公開される可能性が高いのではないだろうか。とりあえず、韓国での反応を見届けたい。

そして10月30日には、新海誠監督のアニメ映画『天気の子』がいよいよ韓国公開される。

7月から勃発した“日本不買運動”の影響で公開が延期されたことは以前も紹介した通りだ。

新海監督の前作『君の名は。』は韓国で異例の大ヒットを飛ばしているが、今夏に公開された『名探偵コナン:紺青の拳』などは興行不振に終わっている。

そのため、『天気の子』はどんな反応が返ってくるか依然として見当がつかない状態だが、いずれにしても公開前から話題性バツグンの『新聞記者』と『82年生まれ、キム・ジヨン』と『天気の子』。これらの作品が韓国の“映画の秋”をどう盛り上げるか、動向を注視したい。