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強く美しく頼もしい。女子ゴルフUSオープンに挑む“テグッナンジャ”たちとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
2011年に優勝したユ・ソヨン(写真:ロイター/アフロ)

5月30日から開幕するアメリカ女子プロゴルフ・ツアーの今季メジャー第2戦となる『全米女子オープン』。アメリカを主戦場とする畑岡奈紗はもちろん、鈴木愛に新垣比菜など日本からも多くの選手が出場することが決まっているが、韓国勢も多く出場する。

アメリカ・ゴルフ協会(USGA)によると、その数、23名。今年の全米女子オープンには28ヵ国149名が出場予定だが、そのうち15%以上が韓国人選手ということになる。

これにリディア・コやミンジ・リーといった韓国系選手たちも含めれば、コリアン勢はかなりの勢力になることは間違いだろう。

(参考記事:「実はあの美人プロもそうだった!!」世界で活躍する韓国系の女子ゴルファーたち

それだけに韓国メディアの期待も大きい。ゴルフ専門メディアの『ゴルフ韓国』も「US女子オープンを揺らす“テグッナンジャ”たち」という特集を組んでいる。

ちなみに“テグッナンジャ”を漢字にすると「太極娘子」となり、アメリカの舞台で活躍する女子プロゴルファーたちを意味する。イ・ボミ、キム・ハヌル、アン・シネらが含まれた“韓国美女ゴルファー神セブン”よりもポピュラーで凛とした頼もしさを感じさせる総称だ。

日本の「なでしこジャパン」に近いニュアンスと思っていただければと思うが、“太極娘子”はこれまでも全米女子オープンで多くの優勝を手にしてきた。

始まりは1998年のパク・セリだ。史上最年少20歳9か月でいきなり優勝した快挙は、18番ホールでの“裸足のショット(裸足で池に入って打ったアプローチ)”とともに今でも語り草となっている。

このパク・セリ優勝後、キム・ジュヨン(2005年)、パク・インビ(2008年、2013年)、チ・ウンヒ(2009年)、ユ・ソヨン(2011年)、チェ・ナヨン(2012年)、チョン・インジ(2015年)、パク・ソンヒョン(2017年)が全米女子オープンを制してきた。

(参考記事:日本だけじゃない!! アメリカで活躍する“韓国女子ゴルフ”ツヨカワ10傑を一挙公開

韓国の“太極娘子”の歴史は、全米女子オープン優勝の系譜でもあると言っても過言ではないほどなのだ。

それだけに今年も韓国勢の優勝が期待されている。

今季はチ・ウンヒ(1月、ダイヤモンドリゾートトーナメント・オブ・チャンピオンズ)、エイミー・ヤン(2月、ホンダLPGAタイランド)、パク・ソンヒョン(3月、HSBC女子チャンピオンシップ)、コ・ジンヨン(3月、バンク・オブ・ホープファウンターズカップ、4月、ANAインスピレーション)、キム・セヨン(5月、LPGAディヒール選手権)と、韓国勢がすでに6勝を挙げた。

(参考記事:米国女子ツアーは“韓国女子プロゴルフ”が天下、なぜ?

そうした好調ぶりもあって、前出の『ゴルフ韓国』も「今季も恐るべき気勢と情熱を見せている韓国勢を見ると、その錚々たる流れが全米女子オーブンでも影響を及ぼすだろう」と展望している。

特に4月8日に初の世界ランク1位になって以来、先週5月21日まで7週連続して世界ランキング1位をキープしているコ・ジンヨンには、4月のANAインスピレーションに続くメジャー制覇の期待がかかる。

果たして韓国勢は今年の全米女子オープンでも気を吐くのか。5月30日からアメリカ・サウスカロライナ州のチャールストンCCで始まる熱戦の行方に注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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