韓流ドラマもウェブ漫画も「ストーリー」の時代へ。日韓コンテンツ・ビジネス最前線はいま

左からソン氏、ユン氏、コンテンツ振興院ファン氏、久保田氏(著者撮影)

コンテンツの強さは「ストーリー」にある。それを改めて実感させられたのは、韓国コンテンツ振興院が主催して、東京・新宿にある韓国文化院のハンマダンホールで行われた『2019 韓日コンテンツビジネスフォーラム』だった。

韓国コンテンツ振興院(以降、KOCCA)とは映像・音楽・ゲーム・漫画など韓国のコンテンツ産業の育成と支援を目的にした公共機関で、韓国はもちろん、アメリカ、中国、インドネシアなどにも拠点を持ち、そのひとつである日本ビジネスセンターが主催したのが『韓日コンテンツ・ビジネスフォーラム』だったが、その登壇者の顔ぶれが凄かった。

例えば最初に登壇したのはスタジオドラゴンのソン・ジンソン氏だ。

スタジオドラゴンは『トッケビ』や『秘密の森』などヒット作を数多く手がけてき韓国のドラマ制作会社だ。昨年は『ミスター・サンシャイン』も手掛け、今や韓国はもちろん、アジアやアメリカでもその名が轟いている。

(参考記事:【韓流タイムズ】世界の韓流ファン選定ドラマ1位は『ミスター・サンシャイン』、そのほかのドラマ順位は?)

そのスタジオドラゴンで企画チーム長を務めているソン・ジンソン氏が韓国ドラマ制作の最新トレンドや今後の事業計画を説明したあとに登壇したのは、韓国ウェブ漫画界の巨匠ユン・テホ作家だった。

その名を聞いてピンと来ずとも『イキ』『内部者たち』『未生』の原作者であると知ればピンと来るかもしれない。

『イキ』は『黒く濁る村』の邦題で日本公開されているし、『内部者たち』はイ・ビョンホン主演の映画『インサイダース/内部者たち』として韓国で大ヒット。韓国でドラマ化され社会現象を起こした『未生』は、Hey!Say!JUMPの中島裕翔主演の『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)として日本でリメイクされている。

そして、最後はそのリメイクを手掛け、最近は『最高の離婚』『空から降る一億の星』など日本ドラマの韓国リメイクにも携わってきたフジテレビの久保田哲史プロデューサーが登場し、日本と韓国のドラマ制作の違いから「日韓協力の未来像」について語ったのだ。

(参考記事:【2019年版】韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。えっ、あのドラマまで!?)

最後は3人揃って登壇してパネルディスカッションを実施。そのすべての内容を書き起こすとここでは収まらないので割愛するが、フォーラムの内容は盛り沢山だった。

個人的に特に印象的だったのは、3人のパネリストたちが「ストーリー」の重要性を語っていたことだ。

例えばスタジオドラゴンは良質で独創的なコンテンツ作りのために、韓国トップクラスの作家(脚本家)、演出家など100名以上と契約しており、日夜新たなドラマ作りや企画開発に励んでいるという。

『スポーツソウル』がテレビ、映画、音楽などの企画会社、コンテンツ制作会社、プロデューサー、マーケティング担当者など専門家100人を対象に実施した「韓流診断、専門家100人に聞く」でも、コンテンツの企画力やストーリー性が「韓流成長の動力にして長所」に挙げられていたが、韓国のドラマ制作会社は開発段階から莫大な資金と人員を動員しているわけだ。

(参考記事:「BTSが“顔”」現在の韓流をリードするコンテンツや支持層は?【専門家100人に聞く韓流】)

また、ユン・テホ作家はウェブ漫画の成功事例とIP(著作権などの知的財産)ビジネスの可能性を紹介しつつ、「出版漫画が主流の日本でもいずれウェブトゥーンが定着するし、日本のストーリーテイリングのレベルは高く潜在能力も計り知れない」と期待を寄せていた。

その日本のドラマ制作の良さと課題も知り尽くした久保田氏も、「日本と韓国が互いの良さを出し合いながらコンテンツを発展させていけば、それがいずれアジアのコンテンツ産業の発展にも繋がっていく」と語っていた。

3人のパネラーたちの話を聞いているだけで、日韓コンテンツ・ビジネスの協業ストーリーがさまざまなジャンルで浮かんできたが、5月22日には『K-STORY&COMIC in JAPAN』も開催される。

韓国のドラマ、映画、ウェブトゥーン、小説、公演など厳選10作品を日本のコンテンツ産業関係者に紹介するビジネスミーティングで、ここで話がまとまれば新たな日韓協議コンテンツが誕生するわけだ。

すでにIZ*ONEなど日韓合同アイドルグループが人気を博しているし、韓流スターたちは日韓だけでなく、世界各国で人気なのだ。日韓協業のコンテンツがもっと生まれてもおかしくはないだろう。

(参考記事:【韓流タイムズ】7500人に集計!! アジア各国別で最も人気の韓流スターは?)

何かと冷え込んで久しい日韓関係だが、ストーリーは人の心を動かす。日韓コンテンツ・ビジネスの協業ストーリーに期待したい。