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開幕した韓国プロ野球で美女チアリーダーの去就に注目が集まった理由とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真提供=SPORTS KOREA)野球場を盛り上げるチアリーダーたち

日本では3月29日のプロ野球開幕が近づく中で、各地でオープン戦が行われているが、韓国では日本より一足早く3月23日にプロ野球が開幕した。

KBO(韓国野球委員会)の発表によると、開幕戦5試合の総観客数は11万4028人。この数字は韓国プロ野球の開幕戦としては歴代最高の数字となる。

これまでの記録は2009年の9万6800人だったが、当時は4球場。今年はNCダイノスの新本拠地・昌原(チャンウォン)NCパークが新設されたことで5球場に増えて最高記録更新となった。

仁川(インチョン)をのぞく、釜山(プサン)、光州(グァンジュ)、ソウル、昌原でスタンドは満員だったそうだが、そんな観客たちの盛り上がりを手助けするのが各球団のチアリーダーたちだ。今季開幕前、そのチアリーダーの去就に関して韓国のプロ野球担当記者から意外な話を聞いたので、紹介したい。

“アイドル化”するチアリーダー

そもそも韓国では、チアリーダーの人気が高い。

韓国国内のプロ野球全10球団すべてがチアリーダーを導入しているが、そのなかにはテレビやCMに出演してタレント化するチアリーダーもいる。

(参考記事:“現役女子高生”に“完璧ボディ女神”も!! 「韓国美女チアリーダーTOP10」を一挙紹介!!【PHOTO】

昨年、斗山ベアーズの“ショートカット女神”と呼ばれるソ・ヒョンスクが、人気男性誌『MAXIM KOREA』の表紙を飾って完売を記録したことも記憶に新しい。

「チアリーダー」と「アイドル」を足して「チアドル」と称されることもあるほどだ。

興味深かったのは新シーズン開幕を控え、チアリーダーたちの移籍や加入情報に意外な注目が集まったということだ。

選手やコーチグスタッフの移籍ならなともかく、ファンの間ではチアリーダーの去就も話題になるほど韓国におけるチアリーダーの人気度は日本のそれとは異なることがわけだが、そもそも選手と違ってチアリーダーたちの移籍はそれほど多くないだろう。

韓国のチアリーダーたちの多くもマネジメント会社に所属して活動しており、応援するチームは所属会社と球団との契約によって決まる。

ただ、所属会社と球団の契約が解除されたり、契約先が変わったりすることはほとんどないため、チアリーダーが応援するチームも基本的には変わらないという。

しかもチアリーダーたちは、野球にバスケ、バレーボールなどのチームを掛け持ちをしているケースがほとんどだ。

10月にプロ野球シーズンが終わっても、今度はプロバスケやバレーボールのレギュラーシーズンが10月から3月中旬にかけて行われるため、休みはほとんどなく、競争も厳しい。

そのなかでファンに顔を覚えてもらい、人気を得るためには、同じチームを応援し続けることも重要なのだという。実際に、韓国最年長チアリーダーのペ・スヒョンなどは、SKワイバーンズを応援して16年目になるほどだ。

ちなみにペ・スヒョンはフィットネス大会で入賞してその健康美も注目されている。KIAタイガースのチアリーダーとして人気のチェ・ミジンもフィットネスモデルと並行してチアリーダーも務めてきた。2014年以降KIAタイカース一筋のチアリーダーだった彼女だが、この春、結婚することになりチアリーダーから引退。ファンの間では惜しむ声もあるほどだ。

ここ数年で目立った移籍といえば、妹の学費を賄うために移籍を繰り返したというキム・ヨンジョン(現ハンファ・イーグルス)ぐらいだろうか。

しかし、そんな中で今年は、人気チアリーダーの電撃移籍が発表されて話題になった。

大人気チアドルが電撃移籍

キウム・ヒーローズ(旧称:ネクセン・ヒーローズ)のチアリーダーであるアン・ジヒョンが、今季からロッテ・ジャイアンツへ移籍するというのだ。

アン・ジヒョンは、ガールズグループ「AOA」の人気メンバーであるソリョンに似ているとされるキュートなルックスが注目される人気チアリーダー。デビュー当時から「10代美少女チアリーダー」として関心を集め、昨年には男性誌の表紙モデルにも抜擢されていた。

(参考記事:大人気チアリーダーが“サンタコス”で魅了!! 韓国男性誌の表紙を飾る

そんなアン・ジヒョンがチームを移るだけに、メディアも驚きを隠せない様子だ。

「アン・ジヒョンがロッテ・ジャイアンツ移籍を電撃発表」(『マイデイリー』)、「キウムを去ってロッテへ移籍し、ファンたちを爆風嗚咽させた“エンジェルスマイル”のチアリーダー」(『Insight』)などと報じられている。

しかもロッテ・ジャイアンツには、“韓国NO.1チアリーダー”と称されるパク・キリャンが所属している。「ロッテは“新旧女神”を保有した」(『OSEN』)わけだ。野球ファンの間で話題になるのも当然だろう。

ちなみに、旧知の韓国スポーツ新聞の野球記者によると今年は珍しい話題もあったという。

フランス出身でモデルとして活動するドリス・ローランドが、今年からハンファ・イーグルスのチアリーダーとして活動するという。

2015年から斗山ベアーズで活動したパウラ・エッサムに続き、韓国プロ野球史上2人目となる外国人チアリーダーだが、釜山の道端でスカウトされたという経緯も関心を集めている。

いずれにしても、韓国プロ野球には欠かせない「応援文化」のひとつとして確かなポジションにある各球団のチアリーダーたち。

昨シーズンの韓国プロ野球の総観客数は、前年から約32万人減った807万3742人にとどまったが、今年は史上最多となる840万人の観客動員を目標に掲げている。開幕戦から幸先の良いスタートを切っただけに、チアリーダーたちが今後もその盛り上げに大きく貢献してくれることを、期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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