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キム・ヨナ、メガネ先輩、氷上女帝のその後。平昌から1年。あのスターたちはいま

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
メガネ先輩の愛称で日本でも有名になったキム・ウンジョン(写真:ロイター/アフロ)

明日2月9日は平昌(ピョンチャン)五輪開幕からちょうど1年となる。今から1年前、総額1226億ウォン(約122億円)をかけて作られたオリンピック・スタジアムで開会式が行われたと思うと、月日が流れるのは実に早い。

キム・ヨナは相変わらず、イ・サンファはタレント化

開会式のハイライトである最終点火者に予想通りキム・ヨナが登場し、全世界に大会の開幕を高々と宣言したものだ。キム・ヨナは相変わらず人気者で、最近もスポーツ・ブランドで現役時代と変わらぬ健康美を披露するなど話題だが、気になるのは開催国として平昌五輪を盛り上げた韓国アスリートたちのその後だ。

(参考記事:キム・ヨナが健康美あふれる姿を話題。現役時代から変わらず

日本でも話題になった韓国アスリートたちのその後を紹介したい。

まずは女子スピードスケート500mで小平奈緒と金メダルを争った“氷上の女帝”イ・サンファだ。小平とイ・サンファがレース後に見せた抱擁は「平昌五輪の名場面」だった。

イ・サンファは平昌五輪以降も各メディアに引っ張りだことなり、バラエティ番組にも多数出演しているが、今季はまだ選手としてリンクに立っておらず、ワールドカップはもちろん、韓国国内での大会にも姿を見せていない。現役引退こそ発表していないものの、今季は休息宣言している状態だ。

パワハラ告発のメガネ先輩のその後

日本で「そだねー」旋風を巻き起こしたLS北見と名勝負を繰り広げた女子カーリング韓国代表も今季はまだ姿を見せていない。

チーム全員が同郷で姓も「金(キム)」ということで“チーム・キム”の愛称で親しまれ、スキップであるキム・ウンジョンなどはその風貌から“メガネ先輩”と呼ばれて絶大な人気を得たが、昨年10月に韓国カーリング協会首脳部やコーチ陣からのパワハラがあったことを告発。その衝撃過ぎる暴露内容は韓国社会に大きな波紋を残したままだ。

(参考記事:女子カーリング“メガネ先輩”現象のキム・ウンジョンのその後

波紋を呼んだという点では、韓国のお家芸であるショートトラック・スピードスケート界で次々と明るみになった不祥事も波紋を呼んだ。特にコーチから高校2年のときから常習的な性的暴行を受けていたことを明かした金メダリスト、シム・ソクヒの涙の告発は衝撃的だった。

性的暴行を告白したメダリスト、沈黙破った“土下座スケーター”

シム・ソクヒは1月10日に韓国代表合宿に復帰して練習を再開させ、2月にドイツで行われたショートトラックW杯・第5戦に出場したが、メダル獲得はならなかった。トップ・コンディションを取り戻すためには、心身ともにまだ時間がかかりそうだ。

ちなみに、女子スピードスケートのマススタートで銀メダルに輝きながら、氷上で泣き崩れて土下座したことから、日本でも「土下座スケーター」として話題になったキム・ボルムも、今年になってふたたび波紋を呼んでいる。

キム・ボルムが平昌のリンクで土下座したのは、女子スピードスケート・団体パシュートでチームメイトを置き去りにしてゴールしたことが“イジメ走行”として問題視され、その騒動の謝罪の意味を込めての土下座だったと思われていたが、キム・ボルムは今年1月、事件に対して新たな真相を暴露。「いじめられていたのは自分のほうだ」と逆暴露して波紋を呼んでいる。

(参考記事:「いじめられていたのは私」韓国の“土下座スケーター”の驚愕発言が波紋

昨年の今頃は多くの人々を感動させたが、わずか1年にして騒動の渦に巻き込まれてしまった韓国の平昌五輪メダリストたち。ゴシップ記事やスキャンダルのネタとして登場する姿は見たくないというのが、正直なところだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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