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今度は美女チアリーダーで!! 「雑誌不況」の韓国で人気男性誌が完売するワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国の男性誌(写真=著者撮影)

2018年は雑誌業界にとって厳しい1年となった。休刊・廃刊となった雑誌も多い。思い浮かぶだけでも、『日経ビジネス・アソシエ』(日経BP社)、『新潮45』(新潮社)、『SAPIO』(小学館)など、大手雑誌の休刊・廃刊があった。

ただ日本と同じように、韓国も雑誌不況だ。韓国雑誌協会によると、2012年は1兆8625億ウォン(約1862億円)の市場規模を誇ったが、2014年には1兆3754億ウォン(約1375億円)と26%も減ったという。

とある韓国男性誌が“完売”を達成!!

今年も大小さまざまな雑誌が休刊となったニュースが入ってくる。日本のテレビ番組にも出演していた“マッスル美女”のイ・ヨンファが初代プレイメイトを飾った『PLAY BOY KOREA』も、創刊から8カ月で休刊となっていた。

そんななか、とある韓国の男性誌が快挙を成し遂げた。『MAXIM KOREA』の11月号が完売したというのだ。韓国の大手スポーツ紙『スポーツソウル』によれば、「歴代最短期間の売り切れ」だという。

表紙を飾ったのは、韓国プロ野球の斗山ベアーズやKリーグのFCソウルでチアリーダーを務めるソ・ヒョンスク。ファンの間では“ショートカット女神”と呼ばれる人気チアリーダーだ。

(参考記事:話題のチアリーダー、ソ・ヒョンスクが表紙の『MAXIM KOREA』品切れ続出!!

「こんなにも早く完売するとは思わなかった」と『MAXIM KOREA』関係者は話していたが、そこにはひとつ“仕掛け”があったようだ。それは、韓国プロ野球のリーグ優勝チームのチアリーダーを11月の表紙に持ってきたということ。

同誌関係者は、「来年からもリーグ優勝チームのチアリーダーを11月号の表紙にする」と話している。韓国には人気チアリーダーが少なくないだけに、来年以降の売り上げがどうなるのかも興味深い。

篠崎愛が表紙を飾って完売したことも

振り返れば過去何度か『MAXIM KOREA』は完売しているのだが、いずれも“仕掛け”があったと感じる。日本にも関係しているところでいえば、篠崎愛が表紙を飾った2016年2月号だ。

インターネット書店では発売前から予約が殺到し、韓国メディアも「買いたくても買えない篠崎愛のMAXIM表紙号」などと報じていた。以前、篠崎愛本人を取材したときに聞いたが、本人も「ビックリだった」そうだ。

(参考記事:篠崎愛が“日韓に楽しみを与える存在”として描く理想像とは?

韓国の雑誌である『MAXIM KOREA』は、当然ながら、韓国人女性が表紙を飾ることが多い。そんな慣例を打ち破って篠崎愛を表紙に抜擢する仕掛けが、見事に成功したわけだ。最近はカンヌ女優・ 唐田えりかなど、韓国でも人気の日本芸能界の美女たちが多いが、そういった中で篠崎愛を選んだというリサーチ力も見事だろう。

他にも、韓国の人気女子アナ、チョン・イニョンが表紙を飾った2014年1月号も完売している。

チョン・イニョンは2014年に『アイ・ラブ・ベースボール』のMCに抜擢されると人気者になり、“野球女神”の愛称で親しまれるように。さらにサッカー番組を務めてサッカーファンを虜にするなど、まさに韓国を代表する美人スポーツアナだ。

彼女にも取材したことがあり、そのとき『MAXIM KOREA』の完売について聞くと、「雑誌の内容が良かったので…。私が表紙だから売れたわけじゃないかもしれません(笑)」と謙遜していた。

ただ、そもそもアナウンサーが男性雑誌の表紙を飾ること自体が、当時の韓国ではほとんどあり得ず、その新鮮さが大きな話題になったことはたしかだ。もちろん、チョン・イニョン自身の魅力があってこそ、というのは言うまでもないが。

(参考記事:“美女スポーツアナ”チョン・イニョンが語る「韓国女子アナたちのヒミツ」

いずれにしても、あの手この手と工夫して、またひとつ新たな“完売伝説”を作った『MAXIM KOREA』。日本と同じく韓国でも雑誌不況は続くと思われるが、さらなる奮闘を期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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