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“小さなナッツ姫”まで登場!! 事件から丸4年、韓国の「財閥叩き」は続くのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
“ナッツ姫”こと大韓航空の元副社長・趙顕娥(チョ・ヒョナ)(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

今からちょうど4年前の12月5日に起きた「ナッツリターン事件」を覚えているだろうか。

“ナッツ姫”こと大韓航空の元副社長チョ・ヒョナ(趙顕娥)がニューヨーク発・仁川(インチョン)行きの大韓航空機のファーストクラスに搭乗した際、皿に盛られて出されるはずのナッツを袋のまま提供されたとして激怒。動き始めていた航空機をリターンさせて責任者を降ろし、仁川への到着を11分遅らせたという前代未聞の事件だ。

ナッツリターン事件以降、韓国ではナッツ姫ばかりでなく、財閥一族の傲慢さを指摘するメディアや世論の声が強さを増し、”財閥叩き”が加速した。そしてその流れは、「ナッツリターン事件」から4年が過ぎた今も変わっていない。

10歳の“小さなナッツ姫”が登場!?

例えばつい先日も、韓国の代表的メディア『朝鮮日報』社長の孫娘の暴言が議論を巻き起こした。10歳の小学生が50代の運転手に「お前はクビ」「死んでほしい」などと暴言を吐いていたことがスクープされたのだ。まさに“小さなナッツ姫”だ。

(参考記事:“小さなナッツ姫”か!? 韓国財閥の10歳孫娘が運転手に「お前はクビ」などの暴言で炎上

この騒動によって韓国では一気に批判の声が高まり、朝鮮日報を厳重に処罰してくれという国民請願まで登場する事態に。孫娘の父親は、『TV朝鮮』の代表職を辞任している。

ただでさえ財閥一族には厳しい目線が向けられている昨今において、あきれてしまう事件だが、財閥への批判が社会的なイシューになるということは、韓国における財閥グループの存在感の大きさの裏返しでもあるといえるだろう。

“大企業依存”が深刻化する韓国

日米韓3カ国の売り上げ上位10社の年間売上高を調査している経営成果評価サイト『CEOスコア』によると、日本の上位10社の年間売上はGDPの24.6%を占めるという。

一方で韓国の上位10社の売上は、韓国のGDPの44.3%にも上る。GDPのほぼ半分を大企業が占めるほど、韓国は“大企業依存”が深刻なのだ。

(参考記事:韓国の“大企業依存”が深刻化…売り上げ上位10社が同国GDPの44.3%を占める

それだけにサムスンやヒュンダイ、LG、ポスコをはじめとする財閥グループに関するニュースは、その良し悪しにかかわらず何かと注目を集めることになる。トラブルやスキャンダルとなれば、“財閥叩き”が始まるわけだ。

そんな韓国の“財閥叩き”の流れを作ったナッツ姫は、その後どうしているのか。

ナッツ姫が6億ウォンの密輸!?

ナッツリターン事件によって、第1審で懲役1年を宣告された彼女だが、2015年5月の控訴審で懲役10月、執行猶予2年を宣告されて釈放されている。釈放後は社会奉仕活動などを行っていたと報じられていた。

しかし今年に入ってから、妹で大韓航空専務を務めていたチョ・ヒョンミンのパワハラが発覚。日本では“水かけ姫”と揶揄され報じられたかと思えば、父で韓進グループ会長のチョ・ヤンホ(趙亮鎬)も株の不正売買などの容疑を受け、母イ・ミョンヒ(李明姫)も暴行容疑を受けた。

夏にはチョ・ヒョナ自身が6億ウォン(約6000万円)台の密輸の疑いを受けて、またもや世間の注目を集めた。

(参考記事:6億ウォン台の密輸の疑いを受けた“ナッツ姫”、検察の判断は?

関税庁が12月中にナッツ姫ら一家4人を起訴され検察に送致するとも報じられており、未だに彼女やその一家は世間から冷たい視線を浴びせられている状態だ。

ただ、ナッツ姫の妹、父、母はいずれも逮捕状の請求が棄却されており、一部では「過剰な財閥叩きではないか」という声も上がっている。

いずれにしても4年前のナッツリターン事件をきっかけに、財閥に対する厳しい世論が続いている韓国。今後もその流れが続くのか、注目してみたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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