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浅田真央との因縁もある「小さなキム・ヨナ」。フィギュアNHK杯に臨むイム・ウンスとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦日本大会(NHK杯)が、本日9日から広島で開催される。

女子シングルでは、GP初戦スケートアメリカで大会2連覇を果たした宮原知子や三原舞依、紀平梨花など日本勢の活躍に期待が寄せられているが、個人的に注目しているのは、韓国から唯一出場するイム・ウンスだ。

ポケモン似のルックスと抜群のスタイル

イム・ウンスは、今季シニアデビューした15歳。GPも今回が初出場だが、韓国ではそのかわいらしいルックスも相まって、近年、急激に知名度を上げている。

(参考記事:韓国フィギュアの未来、イム・ウンスの美貌とスタイルの良さにファン惚れ惚れ

愛称は“コブギ”。“コブギ”とは、アニメ『ポケットモンスター』のキャラクター“ゼニガメ”の韓国名だ。

韓国ではポケモン人気が高いが、イム・ウンスの外見からゼニガメを思い浮かべる人が多いそうだ。

本人もそのあだ名を気に入っている様子で、ファンからはゼニガメのぬいぐるみをプレゼントされることも多いという。

抜群のスタイルも評判で、長い手足はキム・ヨナを彷彿とさせるとも言われてきた。

キム・ヨナは最近、世界的ランジェリーブランドの広告モデルを務めて話題になっているが、イム・ウンスはそのキム・ヨナよりもすらりとした印象で「フィギュアをするために生まれてきた」とも称されている。

(参考記事:「透け感ドレス」が話題。キム・ヨナが世界的ランジェリーブランドの最新グラビアを披露)

平昌五輪出場の美女選手を上回る

実力面でも着実に成長していると評判だ。

キム・ヨナに憧れて7歳からスケートを始めたイム・ウンスは、ジュニア時代からその才能を発揮してきた。

2016年10月のジュニアGP第7戦ドイツ大会では銅メダルを獲得。翌年9月のジュニアGP第2戦オーストリア大会では、銀メダルも手にした。

今年2月の平昌五輪には年齢制限で出場できなかったが、実力的にはイム・ウンスが代表入りしていてもおかしくなかったという評価も多い。

実際、平昌五輪の代表選考を兼ねて昨年12月に韓国で行われた国内大会「KB金融フィギュアスケート・コリア・チャレンジ」では、後に平昌五輪代表に選ばれたチェ・ダビンとキム・ハヌルを抑えて銅メダルを獲得している。

平昌五輪では、その美貌も人気を集めるチェ・ダビンが7位に入り関心を集めたが、韓国国内大会ではイム・ウンスがチェ・ダビンら代表選手たちを上回っていたわけだ。

浅田真央との“因縁”

ちなみに、同大会の1位は当時13歳のユ・ヨン、2位は14歳のキム・イェリムで、3位のイム・ウンスまでトップ3をジュニア選手が独占していた。

この3人は“リトル・ヨナ三銃士”とも呼ばれて期待を集めている。特にユ・ヨンは小学生の頃から「キム・ヨナの再来」として脚光を浴びた天才少女だ。

キム・ヨナの引退以降、これといった成果を挙げられずにいた韓国女子フィギュア界で、着実に若手が台頭してきていることは間違いないだろう。

その3人のなかで最初にシニアデビューを果たしたのがイム・ウンスだが、特筆すべきは、イム・ウンスが今年からアメリカでラファエル・アルトゥニアン氏から指導を受けていることだ。

アルトゥニアンコーチは、男子世界王者のネイサン・チェンや、女子の本田真凜らを教える指導者で、過去には浅田真央を指導したこともある。

周知の通り、浅田はかつてキム・ヨナとライバル対決を繰り広げ、日本と韓国のフィギュアファンの大きな関心を集めていた。

韓国では浅田のコメントが誤訳されて報じられ、炎上することもあったほどだが、そんな浅田を指導したコーチが“リトル・ヨナ”を教えているというのは面白い巡り合わせだ。

(参考記事:宮脇咲良、浅田真央、イニエスタ…「悔しい」発言で韓国で誤解される有名人たち

因縁もある世界的な指導者に師事していることが、さらにイム・ウンスへの期待感を高めていることは間違いないだろう。

今季はシニアデビューシーズンにして、「アジア・トロフィー」優勝、「USインターナショナルクラシック」2位という結果を残しているイム・ウンス。初出場のGPではどんな滑りを見せるか注目だ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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