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世界バレー仕様で人気の美女選手も補強。韓国女子代表は“死の組”をどう戦うか?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
アジア大会では3位だった韓国女子バレー代表(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

今日9月29日から日本で開幕する2018女子バレーボール世界選手権。

2010年大会以来、8年ぶりの日本開催となるバレーボール世界選手権だけに、24カ国で争われる今大会にも大きな関心が集まっているが、韓国も出場する。

女子バレー韓国の準備状況などは韓国でも多くのメディアで取り上げられており、大会の位置づけを強調する記事もある。

「世界選手権は、2年後の東京五輪の出場権獲得と組分けに大きな影響を及ぼす。韓国は前回世界選手権に出場しなかったため、現在は世界ランキング(10位)が低い。世界ランキングポイントがもっとも多く付与される世界選手権で結果を残し、2年後につなげたい」(『オーマイニュース』)といった具合だ。

もっとも、女子バレー韓国代表が置かれた状況は楽観視できるものではないという印象だ。

というのも、韓国が1次リーグで属したのは、“死の組”と呼ばれるC組。アメリカ(2位)、ロシア(5位)、タイ(16位)、アゼルバイジャン(24位)、トリニダード・トバゴ(34位)が属している。

特にアメリカとロシアは、言うまでもなく世界トップクラス。韓国Vリーグにはアメリカや東欧出身の人気外国人選手も多く、彼女たちを通じて日常的に免疫があるとはいえ、国レベルになると話は変わってくるだろう。

(参考記事:【画像】ミスコン受賞者も!! 韓国Vリーグ女子の“美しすぎる外国人選手”を集めてみた!!)

また、韓国にとってタイはアジア大会の準決勝で対戦し、セットカウント1-3で敗れている相手だ。

つまり、アジア大会では3位決定戦で日本を下して銅メダルを獲得した女子バレー韓国代表だが、世界選手権では厳しい戦いを強いられることになりそうなのだ。

(参考記事:「日本との違いも開きもクッキリ」韓国がアジア大会で突き付けられた厳しすぎる現実とは?)

美女選手ら8人を補強

不運な組分けとなった韓国だが、それだけに今年2月から韓国女子バレー史上初の専任監督としてチームを率いるチャ・ヘウォン監督も、“世界選手権仕様”でメンバーを揃えてきた。

例えば、守備に定評のあるリベロのキム・ヘランを新たに選出するなど、アジア大会メンバーから8人を補強している。

また、かわいらしいルックスから「ハムトリー(ハム太郎の韓国名)」と呼ばれ、ファンクラブも存在するレフトのイ・ソヨンも1年ぶりに代表に復帰。アジア大会では攻撃が単調だったと指摘されたが、イ・ソヨンが攻撃にリズムを作ると期待されている。

チャ・ヘウォン監督はメンバーの選出について、「世界の強豪と渡り合うために守備と高さ、レシーブの強化とセッターの安定性などを考慮し、チームを構成した」と韓国メディアに明かしている。

「Vリーグの公式美女」「バレーボール女神」とされるコ・イェリムは世界選手権メンバーからは外れたが、“死の組”での戦いを見据えた選出であることは間違いないだろう。

そんな韓国代表のなかでも、もっとも注目すべき選手は、レフトのキム・ヨンギョンだろう。

かつて日本でもプレーし、韓国がベスト4進出を果たした2012年のロンドン五輪ではMVPを受賞。2016年には欧州チャンピオンズリーグ準優勝も果たし、現在は上海国華人寿(中国)でプレーする絶対的エースだ。

韓国では“100年に1人の逸材”と呼ばれ、“韓国美女バレー選手ベスト6”にも選ばれる美貌も人気を集めているが、アジア大会では日本との3位決定戦で32得点を挙げるなど中心選手として活躍しただけに、今大会でもキム・ヨンギョンに寄せられる期待は大きい。

(参考記事:アイドル並みのかわいさ!? 韓国美女バレー選手“ベスト6”が美しすぎる!!

そのキム・ヨンギョンとセンターのヤン・ヒョジン、キム・スジら“黄金世代”と呼ばれる不動のメンバーたちが韓国代表チームの中心となることは間違いないだろう。

史上初めてVリーグ開幕を延期

中心選手も健在で、世界選手権のために新たに選手も補強した韓国。韓国はそんなメンバーを集めるために、Vリーグ女子の部の開幕を世界選手権後の10月22日に延期している。

男子部(10月13日開幕)よりも開幕を9日遅らせたわけだが、国際大会のために女子が男子と開幕日をずらしたのは、2005年のVリーグ発足後、史上初めてのことだというから、その本気度をうかがい知ることができるだろう。

いずれにしても、韓国も関心を寄せる女子バレー世界選手権。Vリーグの開幕を遅らせてまでベストメンバーを揃えたなか、女子バレー韓国代表が相当な覚悟で大会に臨むことは間違いなさそうだ。

大会は10月20日まで行われるが、“死の組”に入った韓国がどこまで勝ち進めるか注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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