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日本映画の名作がなぜか13年ぶりに韓国で再上映。その背景を探っていくと……

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国でリメイクされた映画『いま、会いにゆきます』(写真=著者撮影)

4月19日から韓国で日本映画『いま、会いにゆきます』が公開される。市川拓司の同名小説を原作に、竹内結子と中村獅童が主演を務めた恋愛映画の名作だ。日本では2004年に公開され、興行収入48億円を記録した。

韓国でも2005年3月に公開されているが、それが13年ぶりにふたたび劇場公開されるに至った背景には、3月14日から韓国でロードショウが始まったリメイク版の好評があるからだろう。

韓国の歴代“国民の初恋”にも名を連ねるソン・イェジンと韓流スターとして日本でも人気のソ・ジソプのコンビで制作された『いま、会いにゆきます』の韓国リメイク版は、公開1カ月で258万9395人の観客動員を記録(韓国映画振興委員会4月17日発表)。スマッシュヒットしているのだ。

そうした人気を受けてオリジナル版が再上映となったわけだが、韓国で日本映画がリバイバル上映されるのは『いま、会いにゆきます』が初めてではない。

1998年の「日本大衆文化開放」以降、韓国では数多くの日本映画か公開されてきたが、人気作品は長きに渡って愛されてきた。日本の小説やドラマをもとにした韓国映画も多く作られてきた。

(参考記事:【スクリーン・コリア】韓国で映画化された日本の原作小説・ドラマの“本当の評判”と成績表)

有名なところでは岩井俊二監督の『Love Letter』が2013年、2016年、2017年と3度もリバイバル上映されているし、最近では日本のアニメ映画『君の名は。』が、今年1月に韓国公開1周年を記念してアンコール上映されている。

『君の名は。』は韓国語吹き替え版もあり、ヒロインの三葉役には“清純美少女”と呼ばれる若手人気女優キム・ソヒョンが務めたが、ファンの根強い要望を受けて韓国語吹き替え版ではなく、日本語オリジナル版がアンコール上映されたほどである。

このように韓国でも日本映画の人気は根強く、2016年からは『Japan Film Festival』というものも開催されている。その名の通り、日本映画祭りで今月4月5日〜11日には『第3回Japan Film Festival 』が開催されており、多数の日本映画が公開されている。

ざっと上げると、オープニング作品となった『今夜、ロマンス劇場で』を皮切りに、『君と100回目の恋』『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』『俺物語!』『ヒロイン失格』『彼女の人生は間違いじゃない』など多ジャンルが公開された。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』4部作も公開されるなど、マニアも唸るラインナップだった。

(参考記事:“ガンプラオタク”が意外と多い!? 韓国の『ガンダム』人気はどうなってる?)

そうした盛り上がりの中で、リバイバル上映される『いま、会いにゆきます』オリジナル版。オリジナル版のファンたちはふたたび感動を味わうために劇場に足を運ぶだろうし、リメイク版のファンたちも、オリジナル版に興味を持つことだろう。

もちろん、リメイク版はオリジナル版との比較からは逃れられず、オリジナル版もリメイクの再解釈に圧倒されてしまうことも多々あるが、世代も国籍も超えてひとつの作品世界を共有できることは魅力的であり、醍醐味ではないだろうか。

いずれにしても、最近は映画だけではなく、ドラマでもリメイクが盛んだ。フジテレビ系列で放映中の『シグナル』も、韓国ドラマのリメイクである。

(参考記事:坂口健太郎の主演ドラマ『シグナル』だけじゃない!! 意外と多い日韓ドラマ・リメイク)

リバイバル上映されるオリジナル版とスマッシュヒットしているリメイク版の『いま、会いにゆきます』が、日韓エンタメ交流をさらに盛り上げてくれることを期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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