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「桜の季節」に起こる論争…ソメイヨシノは“韓国起源説”に今年も巻き込まれるのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

桜の開花が始まっている。高知では3月19日に満開となり、統計が整った1953年以降では全国でもっとも早いソメイヨシノの満開だという。

今年の開花は全国的に例年よりも早いそうだが、それは韓国も同じだ。

「麗水(ヨス)市で今年初の“桜”が30日に咲く…例年より3日早い」(『ニューシス』)という記事が報じられているように、韓国でも全地域で「例年より1~5日ほど早いと気象庁は見ている」そうだ。

毎年ソメイヨシノ起源論争が起きる韓国

春を告げる明るいニュースだが、韓国で毎年この時期、ひとつの議論を巻き起こすのが桜の話題だ。というのも、日本に広く分布するソメイヨシノの起源が韓国にあるという主張が、どこからともなく湧き出てくるのだ。

(参考記事:済州島には樹齢265年の桜も!? 韓国が「ソメイヨシノ」の“起源”を主張する根拠

なんでも韓国には樹齢200年を超えるソメイヨシノがあるようで、日本が起源ではないという話がほぼ毎年、出てくるのだ。

そもそも韓国でソメイヨシノと呼ばれている桜と、日本のものとは別物という研究結果もあるが、今年も同じ議論が巻き起こってしまうのかと心配になる。日本と韓国の意見衝突が、桜の美しさを台無しにしてしまうのではないか、と。

ただ、このソメイヨシノの起源だけに限らず、韓国と日本で「起源」の主張が異なるものは少なくない。

日本の「折り紙」と韓国のジョンイジョプキ?

例えば、「折り紙」についても似たような議論が出たことがある。

折り紙といえば「スシ(寿司)」「サケ(酒)」と同じように、世界中で日本語読みのまま認知されている伝統文化だが、韓国にはそこに一石を投じようという動きがある。

『聨合ニュース』は以前、「韓国のジョンイジョプキ、折り紙と全面対決」という記事を報じていた。韓国にも固有のジョンイジョプキ(韓国の折り紙)文化があり、「その完成度は日本の折り紙に引けを取らない」という主張だった。

(参考記事:日本の「折り紙」の起源は韓国!? 世界進出を目論む韓国伝統文化“ジョンイジョプキ”とは

また、平昌五輪で銅メダルを獲得した日本の女子カーリング代表が「韓国のイチゴがおいしい」とコメントして、ネット上で騒動になったことも記憶に新しい。

彼女たちは試合後半戦の作戦会議「もぐもぐタイム」で、韓国で購入したイチゴを食べていたわけだが、その多くは日本の品種をもとにしたものといわれているからだ。

カーリング女子日本代表の藤澤五月は韓国でも人気女優パク・ボヨンに似ていると注目を集めていただけに、多くのメディアが「日本女子カーリングチームが感嘆した韓国イチゴは日本の品種?」など見出しを打って報じていた。

女子カーリングで話題になったイチゴ問題

実際に農林水産省は、韓国産イチゴの9割以上は日本の品種を交配して生産されたものとしており、日本のイチゴ業界が5年間で最大220億円分の輸出ができなかったと推計したこともある。

しかし、韓国の立場はすでに「解決済み」というもの。2015年時点で「韓国産イチゴ、日本産イチゴに痛快な逆転勝ち」(『TV朝鮮』)という報道が出ているほどだ。

(参考記事:「パクリだ!!」vs「解決済み」…日本と韓国の起源をめぐる“イチゴ戦争”が勃発してしまうのか

いずれにしても、日本と距離が近いためか、何かと起源の主張でぶつかることが少なくない韓国。今年も桜の話題とともに、起源に関する議論が巻き起こってしまうのか、心配だ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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