“禁韓令”から丸1年…中国人観光客が半減した韓国の「強気」と「嘆き」

(写真:ロイター/アフロ)

早いもので“禁韓令”が発動されて1年が過ぎた。“禁韓令”とは、韓国がTHAADミサイルを配置したことで中国がその報復処置としてとった様々な方策を、韓国メディアが命名したものだ。

中国人の韓国への団体旅行を制限していることも“禁韓令”のひとつとされているが、その“禁韓令”が発動して丸1年となったことで、多くの韓国メディアが「サード報復1年」「禁韓令1年」とタイトルをつけて関連記事を報じているが、楽観的な見方は少ない。

禁韓令の影響は、はっきりと数字にも表れているからだ。

中国人観光客は半分、旅行収支は過去最悪の赤字に

というのも、韓国観光公社によれば、2017年に訪韓した中国人観光客は416万953人で、前年比で48.3%減と急減したという。実に、韓国を訪れる中国人が半分になってしまったわけだ。

中国人観光客の急減は、韓国国内の経済にも悪影響を与えている。

韓国銀行は禁韓令によって中国人観光客が400万人ほど減った場合、約5兆ウォン(約5000億円)の損失が生じると推算していた。韓国銀行は昨年10月、禁韓令で韓国の経済成長率が0.4%ポイントも落ちると予測したこともあった。

この流れは2018年に入っても変わっておらず、韓国観光公社の「2018年1月の外来観光客統計」によると、今年1月の訪韓中国人観光客は30万5127人だったという。前年同月比46%減となっているのだ。

韓国の1月の旅行収支はマイナス21億6000万ドルとなっているのだが、この数字はちょっと深刻だ。何しろ過去最悪の赤字なのだ。

「中国人は来なくていい」

とはいえ、ネットの世界を見渡してみると、韓国の強気な意見が目に付く。

韓国ネット民たちは、「中国人が来ないと静かで良い」「中国人による汚染が嫌だ」「前年に比べて減っているだけで、損失が出ているわけではない」などとコメントを残しており、強気な印象だ。

振り返れば、年間800万人の中国人が韓国を訪れたことで、“嫌中感情”が異常に高まったこともあった影響だろうか。

(参考記事:「韓国人が嫌いな国」2位に浮上した中国…韓国で“嫌中感情”が異常に高まっているワケ

禁韓令以前から「もう二度と韓国旅行はごめんだ!!」の声も

一方で「禁韓令だけが理由ではない」「特に見るものがないから中国人が来ないのだ」といった意見があるのも実情だ。

実際に禁韓令以前から、訪韓した中国人観光客が「もう二度とごめんだ!!」と嘆いていた事例がいくつもあっただけに、理由を政治的な葛藤にばかり求めるのはお門違いな部分もあるだろう。

(参考記事:「もう二度とごめんだ!!」 中国人観光客が韓国にガッカリする理由とは

“禁韓令”の引き金になったのはサードをめぐる中国との政治問題だが、市民たちの間にはそれだけではない複雑な感情があるわけだ。

ただ、“禁韓令”によってさまざまな業界がダメージを負っていることは間違いない。

例えば韓国国内の免税店も大きなダメージを受けている。

2017年の韓国免税店全体の売り上げは、前年よりも20.8%増の128億ドルで、過去最高となっているが、「割引競争によって収益性は落ちている」(『聨合ニュース』)のが現実だ。

実際に、ロッテ免税店の昨年1~3分期の営業利益は、前年同期比87.8%も急減。新羅免税店の営業利益も前年比25.8%も減少しているのだ。

免税店、化粧メーカーなどにも打撃

免税店だけではない。

化粧品や食品など、中国に進出した韓国企業も大打撃を受けている。韓国の化粧品メーカーであるアモーレパシフィックの売り上げは前年比10%減、お菓子メーカーのオリオンの中国法人の売り上げも前年比33.2%減となっている。

『聨合ニュース』は、「財界では直接的な売り上げ下落以外にも、事業機会の損失なども含めると、ロッテグループが受けた被害規模は約2兆ウォン(約2000億円)に達すると見ている」と報じていたほどだ。

そんな韓国とは対照的に、インバウンド事業が好調なのが日本でもある。

日韓のインバウンド事業はますます対照的に…

今年1月の訪日外国人観光客は、前年同月比9.0%増の250万2000人。昨年1月より20万人以上も上回っており、「1月として過去最高」(日本政府観光局)となっている。

日本と韓国が対照的なのは、訪れた外国人観光客の“リピート率”に差があるからとの見方もあるが、韓国の場合、中国の禁韓令によってインバウンド事業がうまくいかない部分も否定できないだろう。

(参考記事:日韓を訪れた外国人観光客の“リピート率”に大きな差が出たワケ

果たして禁韓令はいつまで続くのか。韓国の悩みは尽きない。