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F-1が廃止を決定!? 美しき“レースクイーン”たちが活躍する韓国も衝撃を隠せない

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国グランプリのグリッドガール(写真:ロイター/アフロ)

F-1がグリッドガールの廃止を決定したというニュースは、韓国でも話題になっている。

ただ、その報道に際して韓国で使われている用語は、グリッドガールではなく、日本のように「レースクイーン」でもない。「レーシングモデル」だ。

「F-1からグリッドガールが消える」(『京郷新聞』)、「F-1の華“グリッドガール”の退出確定」(『東亜日報』)といったものもいくつかあるものの、「F-1、今季からレーシングモデルを廃止」(『文化日報』)、「“レーシングモデルをなくす”…世界最大の自動車レース大会の意味ある宣言」(『SBSニュース』)といった具合だ。

韓国の美しすぎるレースクイーンたち

韓国では「レースクイーン」のことを「レーシングモデル」と呼ぶためだが、多くのメディアが今回のF-1の決定について報じているのは、韓国国内への影響を踏まえてのものだろう。

韓国でも1987年からモータースポーツが行われており、サーキットを彩るレーシングモデルは少なくない。そのナンバーワンを決める「韓国レーシングモデル・アワード」なる表彰式が開かれているほどだ。

例えば、2016年の同表彰式で優秀賞を受賞したムン・ガギョンなどは、韓国レーシングモデル界の「No.1美貌」と呼ばれ、インスタグラムのフォロワー数も60万人近い人気者である。

(参考記事:【画像あり】韓国レーシングモデル界の「No.1美貌」ムン・ガギョンの絶品写真に注目!!

また、2014年の「韓国レーシングモデル・アワード」で大賞に輝いたホ・ユンミも、韓国を代表するレーシングモデルだろう。ファンからは「まるでスポーツドリンクのように爽快で鮮やか」といわれており、動画配信などでも反響が大きい。

その人気は韓国国内にとどまらないようで、彼女は以前「とある日本人ファンの方が私のフェイスブックに載っていた出演スケジュールを自分で翻訳されて、わざわざ韓国まで私を見にきてくれるんですよ」と明かしたこともあるほどだ。

ただ、韓国のレーシングモデルたちの生存競争は厳しい。

弱肉強食の世界、きっかけに飛躍も

韓国のレーシングモデル専門サイトである『ミスタカ』の集計によると、韓国でレーシングモデルとして活動しているのは150数人。

そのうち、モータースポーツに力を入れているタイヤメーカーや自動車部品メーカーの専属モデルとして契約している人は3分の1にも満たず、ほとんどが所属事務所を持たないフリーランサーたちだという。

(参考記事:セクシーで華やかなのに生存競争がエグい韓国レースクイーンのリアルな現実

また、とある業界関係者によると、「食えないレーシングモデルたちは“チャリョンフェ”で稼いでいる」という。

チャリョンフェとは「撮影会」のことで、レーシングモデルには1回あたり40~60万ウォン(4~6万円)のギャラが手に入るらしい。

弱肉強食の厳しい世界だが、だからこそ晴れて人気者になれば、レーシングモデルとしての人気をきっかけに多様な道が開かれることも事実だ。

2015年にレーシングモデルとしてデビューしたユ・ダヨンは、下着ブランドのファッションショーでモデルを務め、その名がレース・ファン以外にも広まったケースだ。

もともと「F-1級ボディ」といわれた抜群のプロモーションを誇っているだけに、韓国メディアも「ランジェリーファッションショーで披露した完璧なスタイル」などと絶賛していた。

格闘技のラウンドガールやゲームショウでも活躍!!

他にも韓国の総合格闘技イベント「ROAD FC」のラウンドガールも務めるチェ・スルギや、フィッティングモデルや女優と活動の幅を広げているキム・ジナなどなど、多様な活動を行うレーシングモデルは多い。

韓国最大級のゲーム祭典である「G-STARゲームショウ2017」では、普段はレースの現場に姿を見せる彼女たちがコンパニオンになって、ゲームのキャラクターに扮したコスプレイヤーに変身することもあって、韓国のスポーツ・メディア各紙がグラビア特集などを組むほどでもある。

(参考記事:【画像あり】韓国最大級のゲーム祭典を盛り上げる“美女コンパニオン”たち

そんな事情を持つ韓国だけに、今回のF-1の決定にも注目が集まるのだろう。

韓国では2010年から2013年までの4年間、全羅南道(チョンラ・ナムド)に作られたサーキットで「韓国グランプリ」が開催されたこともあるだけに、余計に気になるのかもしれない。

何しろ前述した通り、レーシングモデルたちの競争は激しいのだ。有名になればさまざまなイベントに駆り出されるが、フリーランスの場合は登壇できるステージも限られてくる。レース場こそが彼女たちの仕事場なのだ。

そして、今回の決定でその仕事場が失われてしまうのではないかと危惧する声もあるという。世界最高峰のF-1でのグリッドガール廃止の影響を受けて、韓国のレース業界でもレーシングモデルの是非が問われるのではないかと、心配しているのだ。

友人の韓国のスポーツ新聞記者も言っていた。

「F-1ではなく、格闘技のラウンドガールやプロ野球のバットガールも“女性を商品化している”として廃止されるかもしれない。そうなったとき、それを生業とする女性たちはどうするか。課題は多いと思いますよ」

今回のF-1の決定を受けて韓国でもレーシングモデル廃止という声が高まるのか、また現役の彼女たちの今後がどうなるのか、注目していきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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