「コインチェック」の流出事件も話題…なぜ韓国人は仮想通貨に“熱狂”しているのか
日本の仮想通貨取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨が流出した事件は、お隣・韓国でも注目を集めている。
「日本で史上最大の仮想通貨ハッキング、“5600億(ウォン)蒸発”…“技術が上がるほど影も発展”」(『東亜日報』)、「日本5600億ウォン仮想通貨ハッキングの犯人、東ヨーロッパなど海外サーバー経由」(『聨合ニュース』)などと、大手メディアが事件発生からその後の経過まで、詳しく報じている。
さらに流出を報じる記事だけではなく、「5600億(ウォン)の仮想通貨ハッキング、犯人の追跡に出たハッカーは17歳の女子高生?」(『ソウル新聞』)といったツイッター上の話題を取り上げた記事や、「歴代最大“仮想通貨ハッキング事件”、コインチェック代表の和田とは誰?」(『SNSニュース』)といった人物像に迫る記事まで出ているのだから、注目度の高さが伺えるだろう。
仮想通貨、特にビットコインに熱狂する韓国
そもそも韓国でも、仮想通貨は高い関心を持たれている。
韓国国内の株式市場における一日の平均取引額は3兆ウォン(約3000億円)ほどだが、仮想通貨の取引額は6兆5000億ウォン(約6500億円)にも上るという。
特にビットコインは、アメリカの『ブルームバーグ』が「他の国では類例のないビットコイン旋風が韓国を魅了している」(A Bitcoin Frenzy Like No Other Is Gripping South Korea)という記事を掲載したほどだ。
『ブルームバーグ』が報じたところによると、昨年12月6日、世界のビットコイン取引の21%が韓国で行われたという。韓国が世界経済に占める割合が1.9%に過ぎないことを踏まえると、いかに多くの取引が行われたかわかる一例だろう。
(参考記事:世界のビットコイン取引の21%も!! 韓国がビットコインに熱狂している理由)
日本の仮想通貨流出事件によって、韓国国内では自国のセキュリティ問題が問われている。
というのも昨年末、韓国放送通信委員会が同国内の主要仮想通貨取引所を対象に行ったセキュリティ点検で、すべての取引所が“落第点”となったことがあるからだ。
放送通院委員会は当時、「取引サイトだけ開いておいて、基本的なセキュリティ措置すら遵守されていないところが多い」と指摘していた。
『朝鮮日報』は「日本は昨年4月に資金決済法改正を施行し、取引所の登録を義務化する最小限の規制装置を置いているが、韓国は通信販売会社に申告さえすれば誰でも運営することもでき、別途の保安規定もない」と指摘。韓国でも日本同様の流出がいつ起きてもおかしくないと警鐘を鳴らしている。
これが事実であれば、仮想通貨に熱狂する韓国でも早急な対策が必要名のは明らかだろう。
韓国の若者が仮想通貨にハマる理由
良くも悪くも韓国でも仮想通貨は話題を集めているわけだが、今回ばかりは熱しやすく冷めやすい韓国人の“鍋根性”気質というわけではないかもしれない。
というのも、仮想通貨にのめり込んでいるのは主に若者たちだからだ。
韓国のアプリ分析会社「ワイズアプリ」が調査したところによると、ビットコインの取引や相場照会を行うアプリ利用者の年齢層は、30代が32.7%でもっとも多い。
続いて20代(24.0%)となっており、20~30代で全体の半数以上を占めているのだ。韓国のビットコイン旋風を牽引しているのは20~30代の若者ということがわかる。
日本でも人気のK-POPボーイズグループであるBlock Bのパクキョンもビットコインの購入を告白している。
Block Bのパクキョンと言えば、「BBC Newsコリア」の公式ホームページにアップされた衝撃告白が話題となったが、最近はとあるラジオ番組で「ビットコインを購入した。僕もうまくできると思ったが、教訓を得た」と、意味深なことを語ったことで話題になった。
(参考記事:「人生そのものが無力になる…」デビュー8年目のアイドルが語る“K-POPアイドルの大変さ”)
韓国の若者が仮想通貨にハマっている理由を、『聨合ニュース』は「“人生を逆転したくて”仮想通貨に熱中する20・30代…“投機の認識もない”」という記事で解説していた。
要約すれば、彼らは仮想通貨を人生逆転の“機会”と捉えているということになる。
韓国は日本に比べると、ビジネスで成功して億万長者になるというビジョンを描きづらいという。だからこそ、仮想通貨に若者がのめり込んでいるわけだ。
(参考記事:日本と韓国の大富豪は何が違う? 億万長者の成り立ちに見る韓国の経済格差)
いずれにしても、韓国も注目している史上最大級の仮想通貨流出事件。その波紋は今後も広がっていきそうだ。