本当の歴史を知れば10倍ドラマがおもしろくなる!? 韓国時代劇『雲が描いた月明かり』の場合

パク・ボゴム(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

毎週月曜~金曜の朝8時15分からテレビ東京で放送されている、韓国時代劇『雲が描いた月明かり』。韓国では最高視聴率25.3%を記録した人気ドラマだ。

イケメン俳優パク・ボゴムや、名子役として活躍してきたヒロイン役のキム・ユジョン、さらに時代劇初挑戦となるB1A4のジニョンなど、豪華キャストが人気の秘訣だろう。

『雲が描いた月明かり』の原作は、作家ユン・インスの同タイトルWEB小説だ。朝鮮王朝後期が舞台の作品で、累計閲覧数5000万レビュー、2015年に全5冊で発行された書籍でも20万部を突破したという。

韓国では近年、『ミセン-未生-』(日本リメイク版の題名は『HOPE~期待ゼロの新入社員~』)や映画『インサイダーズ』など、ウェブトゥーン(WEB漫画)の実写化が目立つが、今後はWEB小説もその対象となるかもしれない。

史実も知るともっとドラマが楽しい

そういった意味でも『雲が描いた月明かり』には注目なのだが、韓国の時代劇を楽しむうえでオススメなのは、史実の知識を持っておくこと。ドラマでは描かれきれていない歴史背景や人物関係を知ると、作品鑑賞にぐっと深みが増すからだ。

放送中の『雲が描いた月明かり』にも、同じことがいえるかもしれない。

例えば、パク・ボゴムが演じている世子(王位継承者)イ・ヨンは、史実の孝明世子(1809-1830)がモデルだ。

作中で「王」として登場する朝鮮王朝第23代王・純祖(1790-1834)の長男だが、史実では21歳でこの世を去った悲劇の人物で、王座にはついていない。

短い人生だったが1819年、10歳で神貞王后と結婚。その息子・憲宗(1827-1849)は、純祖の死んだ1834年に第24代王となっている。日本では第12代将軍・徳川家慶に政権が代わった頃だ。

あの「チャングム」も史実では…

韓国の時代劇では、歴史上で大きな功績を残した偉人だけでなく、ほとんど記録が残っていないような人物がピックアップされることも多い。

日本でも大ヒットしたあの『宮廷女官チャングムの誓い』の主人公、長今(チャングム)でさえ、史実に残された記録は数行だけだ。

(参考記事:スクープ!! 歴史書『朝鮮王朝実録』でチャングムが実在していたかどうか確認してみた

歴史的な記録がはっきりと残っていないからこそ、さまざまな解釈やアレンジを加えることができ、エンターテイメントとしてブラッシュアップされるのだろう。

ただ、そういったフィクションを時代劇ドラマに加えると、「歴史捏造だ」といった非難が集中することも少なくない。それどころか、一部の韓国時代劇は中国との歴史認識論争のために作られたとの見方もあるほどだ。

(参考記事:韓国時代劇『朱蒙』や『太王四神記』が制作された理由!? 中国と韓国の“歴史認識”論争とは

そういったトラブルを避けるためか、『雲が描いた月明かり』は「このドラマはフィクションです」とはっきりと明かしている。

史実ではイ・ヨンもその息子も短命

イ・ヨン(孝明世子)の父である純祖は、韓国時代劇『イ・サン』の主人公・正祖(1752-1800)の次男。聡明な父の後を継いで10歳で王となり、以降34年4カ月と在位期間こそ長かったものの、王権を発揮できなかった王という評価だ。

ちなみに孝明世子の息子で、純祖の次の王となる憲宗は、7歳で王位についている。500年続いた朝鮮王朝のなかで、最年少で王になった人物だ。ただ父・孝明世子と同じように、憲宗も22歳と短命だった。

その原因は、心労にあったかもしれない。封建時代の王といえば、自由でふんぞり返った生活をしているようなイメージがあるが、朝鮮王朝時代の王の一日は、イメージ以上に過酷なスケジュールだったからだ。

(参考記事:一日5食、ほとんど歩かない、講義漬け…意外に過酷だった朝鮮王朝時代の“王の一日”

いずれにせよ、史実を知ることで時代劇がもっとおもしろく、興味深くなるはず。放送中の『雲が描いた月明かり』を楽しむために、韓国の歴史に目を向けてみるのも一興かもしれない。