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大ヒットドラマ『逃げ恥』のパクリ疑惑が持ち上がった韓国の人気ドラマとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『逃げ恥』の世界観は今どきの韓国の若者たちにも共通するが…(写真:ロイター/アフロ)

昨年の今頃にTBSで放送され、最終回では視聴率20.8%を記録するなど大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。

「恋ダンス」が社会現象になったことも記憶に新しいが、放送終了から約1年が経ったいま、お隣・韓国で『逃げ恥』がちょっとした注目を集めている。

韓国でも放映されて話題に

そもそも『逃げ恥』は昨年末の放映時に韓国のケーブルテレビ局『チャンネルW』で放映。日本から1週間遅れて放送されていた。しかも、日本との放映の時間差を少しでも短縮するために、毎週金曜日に最新話を字幕なしで放送していたほどだ。

(参考記事:『逃げるは恥だが役に立つ』が実は韓国でも注目されているワケ)

ただ、放映終了から1年が経って韓国でふたたび注目を集めるようになった理由はいただけない。ケーブルテレビtvNで今、毎週月曜・火曜に放送中のドラマ『この人生は初めてなので』が、『逃げ恥』とそっくりだと言われているのだ。

ケーブルテレビ局放映のドラマとしては異例とも言える3.8%の高視聴率記録している『この人生は初めてなので』は、IT企業に勤める草食系男子ナム・セフィ(イ・ミンギ)が、“家なし職なし”の文系女子ユン・ジホ(チョン・ソミン)と契約結婚を交わすストーリー。

ナム・セフィは、論理的かつ無感情に話をする、コミュニケーションが苦手な男性だ。異性に関心がなく、結婚にも否定的だった彼がユン・ジホとの契約結婚を決断した理由の一つは、彼女が掃除オタクであることだった。

「放送を重ねるごとに過熱した盗作疑惑」

こうしたストーリーや登場人物のキャラ設定は、どこか『逃げ恥』を想起させるが、似ている点はほかにもある。劇中には、主人公の二人がバスの中で結婚について相談するシーンや、会社の同僚たちが偽装結婚を疑う場面も登場するのだ。

それだけに韓国メディアも、「『この人生は初めてなので』、日本のドラマを書き写した?」(『文化日報』)、「『この人生は初めてなので』、放送を重ねるごとに過熱するパクリ疑惑」(『スポーツ京郷』)と、『逃げ恥』との類似性にスポットライトを当てている。

韓国では何かと日本作品と類似した作品が俎上に載せられるが、『この人生は初めてなので』もその疑惑がかけられたのだ。

(参考記事:「キムチヒロだ」vs「どこが似ているのか」!! 『千と千尋』に“瓜二つ”の韓国アニメ映画『月光宮殿』

同作に盗作疑惑が持ち上がった一因には、脚本を担当したユン・ナンジュン氏が、過去にも同様の疑いをかけられてきたこともあるだろう。

2010年に放送されたドラマ『カタツムリ考試院』は高野秀行の小説『ワセダ三畳青春記』と、同年放送のドラマ『偉大なケチュンビン』は、奥田英朗の小説『空中ブランコ』の盗用だと批判されていた。

韓国には、過去にも三島由紀夫作品の盗用疑惑にさらされた大物女性作家がいたが、ユン・ナンジュン氏も同じように盗作疑惑がかけられているのだ。

放送局は「リメイクでも盗作でもない」と反論

もっとも、翻って言えばそれだけ韓国における『逃げ恥』の知名度が高いとも言える。実際、視聴者からは「『逃げ恥』がなかったとしたら、このドラマ(『この人生は初めてなので』)は生まれていただろうか」との感想も寄せられている。

韓国で『逃げ恥』が放映されていた頃、「35歳の独身男、就活に失敗した妄想女、世話焼きの叔母に優雅な独身貴族など、韓国でも通用するキャラ設定がいい」という声があったが、いっそのこと、「このドラマは『逃げ恥』のリメイク」としたほうが、いらぬ疑惑も招かなかったような気もする。

韓国では日本ドラマのリメイクが多いだけに、そのほうが余計にスムーズだったのではないか、と。

(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?)

ただ、tvN側は「リメイクでも盗作でもない」と反論しているが、それでもドラマを見た視聴者は『逃げ恥』を思い浮かべてしまう。盗作疑惑の真相は知る由もないが、いずれにしても、いまなお韓国において『逃げ恥』のインパクトが強烈に残っているということは間違いなさそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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