平昌五輪の開会式会場で観客が「寒さで救急車」のハプニング。本番は大丈夫か
開幕まで100日を切り、聖火リレーも始まった平昌五輪。そのトップバッターには“キム・ヨナ2世”とも言われる女子フィギュアの新星美少女イ・ヨンが務めてちょっとした話題になったが、ここにきて新たな問題が浮上している。
というよりも、想定されていた問題が現実化したといったほうが正しいかもしれない。
開幕式が行われる会場で問題発生
平昌五輪の開幕式が行われる「平昌オリンピックプラザ」で11月4日、K-POPアイドルのコンサート「2017ドリームコンサートin平昌」が開かれたのだが、観客が低体温症になり病院に運ばれたというのだ。
コンサート会場となったオリンピックプラザは、以前から問題視されていた。現地を取材したスポーツライターの大島裕史氏の取材によると、「3万5000席のうち大半は仮設」だという。
(参考記事:五輪開幕が近づく平昌に行く。国民性ゆえの過剰投資も…平昌は今、工事中)
そんな平昌オリンピックプラザに同日、K-POPアイドルを見に来た数万人の10代ファンが訪れたのだが、彼らは4時間あまりの間、寒さに震えながらコンサートを観覧した。というのも、開会式場には屋根が設置されていないのだ。
本来、平昌オリンピックプラザはドーム型にすることが検討されたが、予算の削減やオリンピック後の撤去が前提ということもあり、屋根が設置されなかった。それによって寒さや雪、雨の影響などを不安視する声もあったが、今回、その不安が的中してしまった格好だ。
複数の韓国メディアによると、10代4人と50代1人が低体温症になって救急車で病院に運ばれたらしい。
コンサートは夕方5時から始まり、午後7時の気温は4度前後だったという。オリンピックが行われる平昌の2月の平均気温は、マイナス4.8度だ。今からこのような事態が発生しているようでは、本番当日が心配になってくる。
平昌五輪に関心がある韓国人は39.9%
今回、オリンピックの“開幕前”に問題が起きてしまったわけだが、平昌五輪には“開催中”と“閉幕後”の問題も指摘されている。
まず開幕まで100日を切った現在も、韓国国内はいまいち盛り上がっていない。韓国文化体育観光部(日本の省に相当)が発表した「平昌冬季五輪及びパラリンピック国民世論調査」によれば、平昌五輪に関心があると答えた人は39.9%にしかならなかったという。
また、会場に足を運ぶと答えた人は、わずか7.1%。平昌五輪組織委員会が10月11日に発表したところによると、これまで売れたチケットは約32万枚で、目標の129万枚の24.8%にすぎないという。
平昌五輪のメダルデザインは「国際オリンピック委員会から歴代大会の中で最も新鮮でクリエイティブなデザインだと絶賛された」(平昌五輪組織委員会)そうだが、肝心の国民たちの関心は上がってこないのが現状なのである。
自国選手よりも“羽生頼り”!?
韓国国民の関心が集まらない理由は、スター選手の不足にあると考えられる。
実際に、冬季オリンピックで注目を集める男子フィギュアでは、韓国人選手が有名ではないせいか何かと日本の羽生結弦の名前が登場する。
例えば、彗星のごとく現れたチャ・ジュンファンに対しては、コーチを務めるブライアン・オーサーが「羽生に似ている」と絶賛したことが大きく取り上げられていた。
(参考記事:羽生結弦の師ブライアン・オーサーがチャ・ジュンファンを「羽生と似ている」と絶賛する理由)
閉幕後は毎年142億ウォンの赤字
さらに“閉幕後”も、平昌五輪の爪跡は残るという指摘も尽きない。
韓国メディア『中央日報』によれば、平昌五輪の施設は閉幕後、毎年142億ウォン(約14億2000万円)ほどの赤字を出すことになるという。
(参考記事:大会後は冷凍倉庫に…!? 平昌五輪の競技場が毎年14億円以上の赤字になる理由)
オリンピック憲章には、「オリンピック競技大会の有益なレガシーを、開催国と開催都市が引き継ぐよう奨励する」と明記されているが、すでに“負の遺産”が計算されているのだから心配でならない。
いずれにしても今回の事態によって新たな誤算が発覚してしまった平昌五輪。早急な改善が求められているが、その対処に韓国が万全を期すことを信じたい。