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EXOと防弾少年団。その比較データや対抗心まで飛び出す “K-POPライバル関係”の行方

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『ビルボード・ミュージック・アワード』で受賞した防弾少年団(写真:Splash/アフロ)

K-POP人気が勢いを増している。

例えばガールズグループTWICEは、6月に発売したデビューベストアルバム『#TWICE』が4カ月間にわたってオリコンデイリーアルバムランキングでトップ10にランクインしているし、彼女たちに続いたBLACKPINKも、デビューミニアルバム『BLACKPINK』がオリコン週間ランキングで1位を獲得した。

K-POPガールズグループが日本でここまで話題となるのは、少女時代・KARAの人気で沸いた2011年以来ではないだろうか。ただ、あのときと今とでは状況も、日韓関係の空気感も異なる。韓国メディアも時代が異なる2大ガールズグループの比較分析を展開しているが、最近の韓国では2つのボーイズグループの対決に関心が集中している。

EXOと防弾少年団だ。

データ比較までされてきたライバルの激突

そもそもEXOと防弾少年団は、韓国国内にとどまらず、日本をはじめ世界中でファン層を拡大させているアイドルグループだ。

EXOは最近、アジア最大級の音楽授賞式と言われる『Mnet Asian Music Awards』の最多受賞者としてギネス記録に認定されているし、メンバーが特別な意味を込めて本名で作詞を担当したという4thアルバム『THE WAR』(今年6月19日発売)は、全世界42地域のiTunes総合アルバムチャートで1位を獲得している。

一方の防弾少年団も、独自のルートで海外進出を成功させており、『ビルボード・ミュージック・アワード』で“トップソーシャルアーティスト賞”をK-POPアーティストとして史上初めて受賞するなど、人気は抜群だ。

(参考記事:EXOともGOT7とも異なる、防弾少年団が開いた海外進出の新たなルート

両グループは現在、K-POPを代表するアーティストと言っていい存在となっているわけだが、そんな2組がこの9月、韓国で直接対決を繰り広げている。

EXOは9月5日に『THE WAR』のリパッケージアルバム『THE WAR : The Power of Music』を発売。防弾少年団は本日18日に、5thアルバム『LOVE YOURSELF 承“Her”』を発表したのだ。現在はまさに、K-POPボーイズグループの頂上決戦の真っ只中にあるわけだ。

もっとも、これまでも2組はライバルとして比較されてきたし、さまざまなデータを基にして勝敗を判断されたこともあった。

(参考記事:EXOと防弾少年団、本当に人気があるのはどっち!? ビッグデータを基に大胆分析!!

しかし、実際に2組がアルバム・セールスで直接対決を行なうのは異例的なことであるだけに、韓国ではちょっとした関心事になっている。

メディアは先月のリリース発表時点から、「EXO・防弾少年団、深まる9月の音楽シーンは“爆炎注意報”」(『SBS funE』)、「防弾少年団vsEXO、勝者は…?」(『biztribune』)、「EXOvs防弾少年団、9月にビッグマッチ…これは実話か」(『ジョイニュース24』といった見出しを打って連日のように報道しているのだ。

平静を装いつつも“チャート操作”を行う二面性

興味深いのは、韓国のファンたちの反応だろう。

2組ともにコアなファンを獲得しており、防弾少年団に至っては、日本のアイドルでは想像もできないSNS上での濃密ファン・コミュニケーションが成功の要因とも言われているのだが、意外にも今回の対決には冷静な反応を見せているのである。

ネット上の反応を見ると、「なんでライバルという構図にするんだ」「自分が好きなグループが見られればそれでいい」「お互いのファンは比べられるのが嫌なのにメディアがほっといてくれない」「私は平和にオタク活動をします」といったコメントが大部分を占めている。

要するに、自分の好きなグループを応援できればそれでよく、2組の勝敗には関心を持っていないということだろうか。

ただ、さらに踏み込んでファンたちの動きを追うと、素直にそうとは受け取りにくい状況がある。

というのも、ファンたちのSNSでは、「音楽配信サイトで(EXO/防弾少年団の)新曲を再生しましょう。チャートが下がってしまいます」といった内容の書き込みが少なくないのだ。そればかりか、韓国のアイドルファンの間では、組織的な“チャート操作”さえも日常的に行われているのだという。

(参考記事:音楽配信全盛の韓国で大問題になっている“チャート操作”の驚くべき手法

つまり、推しているグループをトップに立たせたいという気持ち自体は持っているということだろう。それだけに、ファンたちが勝敗にこだわっていないと平静を装っているのも、負けたときのために保険をかけているように見えてしまう。

いずれにしても、今回の決戦の盛り上がりは、EXOと防弾少年団の人気を改めて証明したと言えるだろう。果たして9月のビッグマッチを制するのは、EXOか、防弾少年団か。K-POPボーイズグループを牽引する2組には、引き続き注目していきたいと思う。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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