「韓流ドラマを観て」韓国に入国したミャンマー難民23人は幸せになれるか
「ドラマで韓国人がいい生活をしている姿を見て、韓国行きを夢見た」
そう話したのは先月7月25日、韓国・仁川空港に到着したミャンマー難民23人だ。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が推進する難民の第三国定住プログラムにより、韓国の受け入れが決まった。
彼らは本国ミャンマーで宗教や人種問題で差別を受けていたという。
宗教上の理由でミャンマーから離れた男性は「妻も家族もドラマなどで韓国のことをよく知っており、子どもたちは韓国で自動車整備士やサッカー選手、メーキャップアーティストなどになりたいという夢を持っている」と抱負を語っていた。
韓国ドラマが東南アジアで人気
「なぜ韓国か」という部分で韓国ドラマの影響が大きいというわけだが、実際に韓国ドラマは東南アジアで高い人気を誇っている。
例えば8月から“韓流専門チャンネル”が放送開始するタイでは、プラユット・チャンオチャ総理が自ら視聴したという韓国ドラマ『太陽の末裔』について触れながら、愛国心を鼓舞できるドラマを作成することを指示したらしい。
(参考記事:「モダンなライフスタイルの代名詞」!? 韓国ドラマが東南アジアを席巻しているワケ)
韓国ドラマが東南アジアで人気の理由はさまざまに考えられているが、「世界韓流学会」の理事は、日本の影響が大きいという。
「韓流はあくまでサブカルチャーにすぎません。サブカルチャーが世界に認められるためには信頼のある“媒体”が必要なのですが、その役割を担ったのが結果的に日本なのです」と指摘しているのだから、なんとも不思議だ。
(参考記事:【韓国識者インタビュー】世界韓流学会理事が語る、日本“経由”で世界に広がる韓流と嫌韓流)
そんな韓国ドラマの影響もあって、韓国行きを決め、実際に入国したミャンマー難民たち。
彼らは今後6カ月間、法務部傘下の出入国・外国人支援センターで韓国語と韓国文化、就業教育などの基礎的な適応教育を受けるという。
“ヘル朝鮮”という現実を指摘
韓国メディアは「23人の表情には見知らぬ韓国の地を踏む緊張と、ここで新たな出発を期待する希望が交差した」などと報じていたが気になるのは、報道に触れた韓国人の反応だ。
「ドラマはドラマ。韓国の現実は末期だ」
「難民を受け入れる前に自国民をなんとかしろよ」
「失業者がホームレスをかわいそうだと家に連れてくるようなもの」
といった否定的なコメントが大多数なのだ。
ただ、そう受け止めるのも無理ないかもしれない。
韓国には「出生率、世界最下位圏」「会社員の有給消化率、世界25カ国中最下位」「医療費増加率、OECD中1位」「老人貧困率、OECD中1位」といった現実がある。
若者たちが自国を“ヘル(地獄)朝鮮”と揶揄しているほどなのだ。
(参考記事:自国を“ヘル朝鮮”と揶揄する韓国の若者たち…彼らはなぜ絶望しているのか)
さらに多文化共生を謳いながら、実は韓国では外国人に対する偏見が未だに根強いとの指摘もある。それだけに今回韓国に入国したミャンマー難民たちにも今後、さまざまな試練が訪れる可能性は高いだろうが、どうか幸せになってほしい。
祖国を離れて来た彼らに戻る場所がない今、韓国は彼らを受け入れた以上、しっかりサポートしていくべきだろう。
彼らが韓国に無事に定着できるかどうか、注視したい。