Yahoo!ニュース

「神童」「列島興奮」「日本の未来」。韓国が久保建英に注目している理由

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
U-20ワールドカップでの活躍が期待される久保建英(写真:アフロスポーツ)

久保建英が話題だ。FCバルセロナの下部組織で育った経歴、Jリーグ史上最年少出場記録を塗り替えた快挙、5月3日のルヴァンカップでトップチーム・デビューを果たしたことなど、何かとニュースになり話題となる。

中学生でU-19日本代表にも選出され、最近もU-20日本代表に飛び級で選出されたが、そうした久保の快挙の連続はお隣・韓国でも詳しく報じられている。「神童」とさえ言われているほどである。

(参考記事:「神童」「列島が興奮」「日本のメッシだ」…韓国メディアから見た天才・久保建英の長所とスゴさ)

韓国が久保に注目するのは、彼が若くて史上最年少記録を次々と塗り替えているからだけではない。記録だけならかつての平山相太や宮市亮のように「早熟の天才」と報じる程度の扱いだっただろう。

そうした扱いだけに止まらないのは、韓国にも久保と同じくバルサ育ちの有望株がいるからだろう。

久保と同じくバルサ下部組織出身が韓国にもいる

ペク・スンホとイ・スンウ。ふたりは小学生のときにバルサの下部組織にスカウトされ、現在もバルサに籍を置いているのだ。

(参考記事:韓国のイ・スンウとペク・スンホはなぜ、バルサの一員になれたのか)

ペク・スンホは2009年のU-14韓国代表スペイン遠征がキッカケでスカウトされた “韓国人選手バルサ進出第1号”で、2016年9月からはバルサBに正式昇格している。

一方のイ・スンウは日本のサッカーファンにも馴染みがある名前ではないだろうか。2014年9月にタイで行われたアジアサッカー連盟(AFC)U-16チャンピオンシップで、吉武博文監督率いるU-16日本代表は準々決勝でU-16韓国代表に敗れているが、その試合で2ゴールを決めたのがイ・スンウだった。

ふたりは今や韓国サッカー界の希望の星とされており、“バルサ・デュオ”とも呼ばれている。そんなふたりと同じバルサの下部組織出身ということで、久保は早くから韓国メディアの間で取り上げられてきたわけだ。

また、久保もU-20日本代表の一員として参加するU-20ワールドカップが韓国開催ということもあるだろう。

韓国メディアの多くが「U-20ワールドカップで注目すべきスター」という特集を組んでいるが、そこで久保のことを取り上げるメディアも多いのだ。

ちなみに韓国にも、久保のように飛び級で話題になっている選手がいる。

久保と同じ2001年生まれながら、U-18韓国代表に選出されたイ・ガンインである。別名は“シュットリ”。シユットリとは韓国で『キャプテン翼』以上の人気を誇ったサッカー漫画の主人公で、イ・ガンインは6歳の頃に同名のサッカーバラエティ『ナルアラ(翔べ)シユットリ』に出演していた。

(参考記事:『キャプテン翼』に感情移入できない韓国で人気が高い“意外な”日本のサッカー漫画とは?)

その当時から“サッカー神童”として注目を集めた逸材で、現在はバレンシアの下部組織に籍を置く。韓国メディアによると、レアル・マドリードも狙っていると噂されるレフティだ。ペク・スンホ&イ・スンウの“バルサ・デュオ同様に、今後の成長に注目してみると面白いかもしれない。

いずれにしても、久保は韓国も注目するU-20ワールドカップでどんな活躍を見せるだろうか。日本は1999年ワールドユースで準優勝の快挙を成し遂げているが、そのときの主力メンバーと韓国の選手たちが交流した“チェンマイの夜”のような出来事はなくとも、日本と韓国の若者たちが世界の舞台で光り輝くことを期待せずにはいられない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事