ベルリン映画祭主演女優と有名監督との恋は「韓国版ゲス不倫」なのか
韓国のとある映画監督と女優の“不倫”が注目を集めている。渦中の人物となっているのは、ホン・サンス監督と女優キム・ミニだ。
女優キム・ミニが2月18日(現地時間)、第67回ベルリン国際映画祭で女優主演賞を受賞したことで、今現在さらに2人の関係にスポットライトが当たっている状況だ。
そもそも2人の不倫説が浮上したのは昨年。複数の韓国メディアによると、2015年の映画『今は正しくあの時は間違い』での出会いがきっかけで、不倫関係に発展したという。
22歳の年の差もさることながら、ホン監督をめぐってキム・ミニと監督の妻がもめたことが知らされ、世の主婦たちが激怒した。ちょうど映画『お嬢さん』でブレイク中だったキム・ミニは、不倫騒動以降CMを打ち切られ、広告業界の“ブラックリスト”に載ったとか。まさに、日本の“ゲス不倫”顔負けの騒動に見舞われているわけである。
そんなスキャンダルをものともせず、ホン監督は映画『夜の海辺で一人』でキム・ミニを主演に起用した。
ちなみに同作は、既婚男性との関係に苦しむ女優の物語を描いたストーリーになっている。なんとも意味深な作品とも言えるが、その作品が世界的にも評価され、ベルリン国際映画祭で主演女優賞を射止めたのだからスゴい。
しかも、韓国人女優がベルリン国際映画祭で主演女優賞に輝いたのは史上初のこと。1990年代後半にモデルとして芸能界デビューし、以降、着実にキャリアを積み重ねながら、女優として世界的評価を得たのだから、あっぱれとしか言いようがないだろう。
だが、韓国のネット住民たちは厳しい。キム・ミニはその喜びを「私が今日受けたこの喜びは、すべてホン・サンス監督のおかげ。尊敬し、愛している」とコメントしが、韓国ネット民たちからは「見ていて不快」「家庭破壊犯、そのまま消えればいいのに」「自分たちの両親に申し訳ないのか」などと非難轟々が相次いでいる。
そんな批判もなんのその。ホン・サンス監督とキム・ミニは現地で「2人は手を握り合うなど、より仲の良い姿を見せた」(『東亜日報』)そうだが、なぜ、ふたりは批判を浴びてもそこまで堂々とできるのだろうか。
気になって韓国のスポーツ新聞芸能記者の知り合いに尋ねてみたところ、ひとつは「姦通罪」が廃止された点にあるのではないかという。
姦通罪とは、配偶者がいる者が配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合、処される犯罪だ。しかし同法は2015年2月に廃止となった。
「国民の性的自己決定権を侵害する」などとして廃止されたが、その影響は少なくなく、韓国が“不倫共和国”になりつつあるという指摘もあるらしい。
(参考記事:“不倫共和国”になりつつある!? 姦通罪廃止から丸2年、韓国社会に現れた変化とは)
その流れに沿って近年は、性売買を行った者を取り締まる「性売買特別法」まで見直すべきという声が上がっているが、職業選択の自由を侵害するとして違憲性があり、 売春婦1000人がデモを行うほどだった。施行から10年以上が過ぎたことで、問題点が表面化している状況なのだ。
(参考記事:施行から丸10年が過ぎて見えた、韓国「性売買特別法」の功績と“罪過”)
ホン・サンス監督とキム・ミニが堂々としているまた別の理由として、今回のベルリン国際映画祭の主演女優賞受賞も関係しているのではないかという意見もあった。
国際的な女優賞に輝いたことで、韓国社会での世論が変わる可能性があるからだ。実際に「女優キム・ミニが“ホン・サンスの女”から“ベルリンの女王”というイメージ反転に成功した」と報じる韓国メディアもあったほどだ。
『中央日報』も「ベルリンの女王キム・ミニ、映画のような人生」という記事で、「ホン・サンス監督との不倫騒動、映画で突破?」などと書いている。
韓国は国際的に権威の高い賞を非常に重要視する社会的雰囲気がある。日本では毎年のように受賞者がいる「ノーベル賞」はその典型で、未だに平和賞以外を受賞していない韓国は“ノーベル賞コンプレックス”に苦しんでいるという指摘が尽きない。
(参考記事:“ノーベル賞コンプレックス”に苦しむ韓国に世界的科学誌が突きつけた厳しい指摘とは?)
ホン・サンス監督と女優キム・ミニは今後、韓国でどういった評価をなされるのか。ひとまず、映画『夜の海辺で一人』は、3月に韓国公開される予定だ。