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ドラマ『逃げ恥』出演キャストは韓国でどれほど人気があるのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国で知名度が上がる『逃げ恥』出演者たち(ペイレスイメージズ/アフロ)

巷で話題の「恋ダンス」がついに韓国でも記事になって報じられた。韓国メディアの『NEWS PIN』は12月6日、海外芸能コーナーで「恋ダンス」のことをフューチャーしたのだが、その見出しがスゴい。

「列島を平定したTBSドラマ『逃げ恥』のエンディングダンス熱風、日本の国民的ダンスに登録」

記事は「日本のトップスターである新垣結衣と星野源が出演する『逃げ恥』が中毒性の強いダンスでジャックポットを叩いている」とし、「学生、主婦、サラリーマン、あげくには老人たちまでそのダンスを踊る、ひとつの社会的イシューになっている」と報じた。

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が韓国のケーブルテレビで1週間遅れで放映されていることは以前に本欄でも紹介したが、ドラマだけではなく「恋ダンス」のことまで韓国で取り上げられているのだから興味深い。

今年は、映画『君の名は。』が日本で起こした社会現象が韓国でも話題になったりもしたが、『逃げ恥』が起こす社会現象に韓国も注目しているようだ。

(参考記事:“ポスト宮崎駿”の声も!? 韓国ファンも期待する『君の名は。』の可能性

そこで気になって出演キャストが韓国でどれだけ知られているかについても調べてみた。

例えば主演の新垣結衣と星野源である。韓国のニュースポータルサイトで2人の名前を検索してみると(2016年12月6日時点)、新垣結衣は230件、星野源は27件と新垣結衣が圧倒的に多い。

ただ、それも無理はない。新垣結衣は映画にも多数出演しており、『ワルボロ』『フレフレ少女』『恋空』などは韓国でも公開されてきた。

韓国では日本映画も頻繁に公開され、日本映画専門の映画祭も行われていることもあって、日本ドラマ好きだけではなく一般の映画ファンたちの間でも、新垣結衣はもともと知名度があった。「日本の清純美女の代表格」と言われているほどなのだ。

そんな新垣結衣には及ばないものの、最近になってその名が突如として記事になったのは“百合ちゃん”役を演じる石田ゆり子だ。

といっても『逃げ恥』効果ではなく、韓国でこの秋話題になったドラマ『今週、妻が浮気します』に関連して、その名が記事になった。

同作は日本でも人気のアーティストBoAが“干物女”を演じていることなどでも話題だが、実は同作は2007年にフジテレビ系列で放映された同名ドラマのリメイクなのだ。

そのヒロインを務めていた石田ゆり子と、韓国版の主演女優ソン・ジヒョを比較しながら、「原作は日本小説のドラマ、石田ゆり子vsソン・ジヒョ異なる魅力」(『韓国スポーツ経済』)という記事が報じられた。

韓国では日本ドラマのリメイクが多く、今週からは日本映画『ソロモンの偽証』をリメイクした同名ドラマも始まる。日本と韓国のキャスト比較はしばし行われるが、石田ゆり子も思わぬかたちで知名度を韓国でも上げたと言えるだろう。

(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?

もっとも『逃げ恥』効果で最も知名度を上げたのは、“風見さん”演じる大谷亮平だろう。前出のニュースサイトでヒットした記事数は、なんと1万3992件もあったのだ。

その内容は、「大谷亮平、日本TBSドラマで“現地人気UP”」(『news1』)、「大谷亮平、日本でも通用した!!」(『韓国経済TV』)と、彼の日本での成功を大歓迎するものが多い。

もともと韓国で長く活動し、「骨のある俳優」として人気を集めていたこともあるが、『逃げ恥』のヒットで韓国でも取り上げられることが多くなった印象だ。

(参考記事:『逃げ恥』俳優・大谷亮平はいかにして韓国で人気者になったか

いずれにしても『逃げ恥』効果で出演キャストの人気や知名度が、日本だけではなく韓国でも高まることは喜ばしいかぎりであることは間違いない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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