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アーチェリー強国の期待と注目を集める“神の弓”と“洋弓女神”たち

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
“神の弓”と呼ばれるキ・ボベ(写真:ロイター/アフロ)

リオデジャネイロ五輪開幕が近づくにつれて、いよいよ韓国も五輪ムードが高まりつつある。昨日7月19日にはソウル市内でリオデジャネイロ五輪に挑む韓国選手団の結団式(壮行会のようなもの)が行なわれた。

韓国がリオ五輪で目指すのは、“10-10”。「金メダル10個以上、総合10位以内」だ。金メダル13個・総合5位になった前回ロンドン五輪での成功を考えると、やや遠慮気味のようにも見えるが、すでにメダル獲得のソロバン勘定はしているらしい。大韓体育会は、金メダル候補リストや入賞候補者リストまで発表しているほどだ。

(参考記事:リオ五輪で「金メダル10個で総合順位10位以内!!」を掲げる韓国の皮算用)

その中でもっともメダル確実とされているが、アーチェリーだ。日本で韓国スポーツと言えばサッカーやテコンドー、最近はゴルフなどが有名だが、実は韓国は世界屈指のアーチェリー大国。アーチェリーが1972年ミュンヘン五輪で正式種目になって以来、金メダル19個、銀メダル9個、銅メダル6個を獲得しており、世界トップの座を守っている。

その韓国アーチェリーの絶対的エースと言われているのが、キ・ボベだ。前回ロンドン五輪では個人と団体で金メダルに輝き、別名“神の弓”と呼ばれている。色白の肌も有名で“韓国5大美女アスリート”のひとりにも数えられている。

(参考記事:韓国女子アーチェリー最強!! 色白美人の“神の弓”キ・ボベとは?)

このキ・ボベを含め、韓国の女子アーチェリーは選手層が厚く競走が激しいことでも有名だ。キ・ボベも五輪メダリストでありながら2014年仁川アジア大会では韓国代表を選抜する予選会で脱落。涙を飲んでいる。韓国アーチェリー界では「オリンピック金メダルより、韓国代表になるほうが難しい」とされ言われているほどだ。

また、韓国アーチェリー界は美女アスリートが多いこととでも知られている。最近では“美女弓師”の愛称で知られるチャン・ヘジンが人気で、彼女とキ・ホベ、チェ・ミソンら3選手は“ヤングン・ヨシン(洋弓女神)”とされ呼ばれ、一部の間では熱狂的なマニアもいるほどだとか。

(参考記事:ジェニファー・ローレンスも敵わない“美女弓師”チャン・へジンに注目!!)

興味深いのは、そんな“洋弓女神”たちが首に生きた蛇を巻きつけたまま走ったり、墓地で肝試しをしているということだ。なんでもメンタル強化の一環で、近年は雑音や野次が飛ぶプロ野球の球場でわざと罵声を浴びながら弓を射る“騒音訓練”なるものも行なわれているらしい。

そうやって胆力を鍛え、ちょっとのことでは動じない精神力と集中力を鍛えているというのだから面白い。

ちなみに韓国ではアーチェリーを得意とする芸能人も多く、最近はガールズグループSISTARのボラが、アイドル運動会で韓国代表並の実力]を見せつけて話題になったことがある。ボラは韓国芸能界でも有名な運動ドル”でもあるが、まさにアーチェリーは韓国でポピュラーなスポーツというわけだ。

(参考記事:韓国がアーチェリー強国になった本当の理由)

もっとも、日本のアーチェリーも着実に結果を残している。前回ロンドン五輪では女子団体で日本初の銅メダルに輝いた。その銅メダルメンバーのひとりである早川漣が韓国出身であることは有名だが、今回のアーチェリー日本代表には、かつて韓国代表としてシドニー五輪団体金メダルに輝いた金清泰氏がコーチとして加わっているという。

アーチェリー王国・韓国と、その韓国出身コーチを迎えたアーチェリー日本代表。リオの舞台でアーチェリー日韓対決が実現した暁には、いろいろと面白くなりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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