今度は王者・全北現代に審判買収疑惑。Kリーグはなぜこうも不祥事を続けるのか

審判買収発覚で揺れる中、ACLに挑む全北の選手たち。心理的悪影響がなければいいが(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

Kリーグ2連覇中で絶対王者とされてきた全北現代モータースが疑惑の目にさらされている。韓国の釜山地検は5月23日、全北現代のスカウトがKリーグの審判2名に金品を渡して試合で有利な判定をするよう嘆願し、審判2名も1試合あたり100万ウォンの現金を受け取っていたとして、3名を在宅起訴したことを発表したのだ。これを受けて全北現代はすぐさま公式見解を発表したが、その言い分にはかなり無理があり、メディアやファンから失望を買っている。

(参考記事:Kリーグ連覇中の全北現代に審判買収容疑!! クラブは公式見解を発表したが・・・・・・

それにしても呆れてしまうのは、今季Kリーグで相次ぐ失態の数々だ。日本ではあまり詳しく報じられなかったが、今年4月には仁川ユナイテッドがかつて所属していた現役・元選手ら10名から出場給及び勝利給の未払いを理由に支払訴訟も起こされた。

仁川ユナイテッドと言えば、かつては前園真聖氏などもプレー。今はもう引退したがキム・ナミル(元神戸、元京都)、イ・チョンス(元大宮)らJリーグで活躍した選手たちも所属し、現在は1990年代後半にヴィッセル神戸でプレーしたキム・ドフンが監督を務めている。

クラブは“市民クラブ”として2003年に設立され、かつては黒字経営で「Kリーグ市民クラブの成功例」とされていた。近年は財政難で苦しんでいたことは知っていたが、選手への出場給支払いが滞り、選手から集団訴訟を起こされる失態を露呈してしまったのだから情けない。

さらに言えば先日のACLグループリーグ浦和レッズ対浦項スティーラーズ戦後に起きたテーピング放り投げ行為も、失態だろう。浦項の関係者や放り投げ行為に至ったキム・グァンソクは、「無礼を働いた意識はなく、文化の違いや萎縮する同僚たちを叱咤する意味合いがあった」としているが、受け取る側(日本側)を不快にさせてしまったことは否めない。もちろん、浦項とキム・グァンソクなりの言い分はあるのだろうが、「Kリーグはマナーが悪い」という心証を与えてしまったことは、残念であり遺憾だった。

何よりも残念でならないのが、今回の一件でKリーグにふたたびダーティーなイメージが降りかかってしまったことだ。

というのも、Kリーグは2011年5月に八百長事件が発覚。それもチェ・ソングッ(元柏レイソル)やキム・ドンヒョン(元大分トリニータ)など、韓国代表経験者を含む47人が起訴され、現役選手1人、元選手1人、元監督1人が自殺する一大スキャンダルにまで発展した前例がある。事態を深刻に受け止めた韓国プロサッカー連盟は謝罪会見を開き、Kリーグ全クラブの選手、コーチングスタッフ、チーム関係者約1100人を一堂に集めた1泊2日のワークショップを開催。参加者全員に “賭博及び不正絶交誓約書”を提出させたほどだった。

にもかかわらず、その後もKリーグでは「審判買収」という不正が蔓延していたわけだ。しかも、Kリーグで審判買収が発覚したのは今回の全北現代が初めではない。昨年12月にも慶南FCの審判買収が発覚。慶南FCはKリーグ・チャレンジ(2部リーグ)降格の危機にあった2013年と2014年に、あろうことかクラブ代表が審判に有利な判定をするよう持ち掛け、金品を渡していた。それに関わった審判5名は昨年12月に永久追放になったばかりだった。

(参考記事:韓国プロスポーツ界で多発する“八百長”、根本原因はどこにあるのか

この慶南と全北現代の審判買収は2013年に行なわれていた。つまり、八百長スキャンダル発覚から2年後だ。全北現代の公式見解通り、スカウト個人の単独行動だったとしても、それはそれで問題ではないか。Kリーグ関係者全員に提出させた“不正絶交誓約書”は何だったのだろうか。

プロクラブ、それもKリーグの絶対王者とされてきた全北現代に浮上した審判買収疑惑。検察当局と韓国プロサッカー連盟は今後、さらに本格的な調査究明に乗り出すとしているが、果たして……。

近年、Kリーグはその存在意義を問われることが多くなっている。「企業からお荷物扱いされ、地方自治体からも愛されないKリーグ」と指摘されても仕方ない状況にある。それでもACLなどで結果を残して「アジア最強」を示すことでその存在意義を示してきたが、昨今はそれも難しくなってきた。そんな中で、今度はKリーグの常勝軍団だった全北現代にまさかの審判買収疑惑が持ち上がったのだ。メディアもファンも失望感を隠せないでいるのは言うまでもないだろう。

本日5月24日にオーストラリアのメルボルン・ビクトリーをホームに迎え、ACL決勝トーナメント1回戦・第2戦に挑む全北現代。どんな結果で終わろうとも、不祥事の波紋は今後さらに続きそうだ。