元WOWOW社長の佐久間昇二氏の新著を読んで

「イノベーションは「3+7の物語」で成功する」の表紙

松下電器で副社長、その後WOWOWで社長・会長を務めた佐久間昇二さんから、新著「イノベーションは「3+7の物語」で成功する」という本を頂いた。佐久間さんがWOWOWに来たのは自分が入社3年目、25歳の頃。30万人も社員がいる松下だったら顔を見る機会なんて全く無かったと思うが、社員200人の会社だったからか、若い自分にもよく話をしてくれた。佐久間さんの言葉や話は、今の自分にかなり影響を与えている。ともかく、債務超過だったWOWOWを再建していく過程を若い身空で見ていた自分にとって経営の師である。

佐久間さんがしてくれた話で今でも好きなのは、欧州に赴任して売れる商品が無いので困っていたら、松下幸之助(パナソニックの創業者)に「2年間まず理念を売って欲しいんや」と言われた話。「理念を売る?」って禅問答のようだが、松下って宗教ぽいなぁと思ったのを覚えている。

本でも強調されているが、こうした「理念」や「儀式=演出」の大切さは、今になってようやく理解できてきた。若かりし頃は「面倒クセェ~」と思っていたが。。。ともかく、褒賞制度や政治利用されるスポーツイベントを見るまでもなく、国家でも企業でも経営・統治の基本は「理念」と「儀式」なんだろう。

しかし、よく考えると「理念」と「儀式」だけでは新商品は出てこない。どこかでゼロからイチを生み出すアイデアが必要である。独立メディア塾6月号に佐久間さんと会って話した時のことを書いたが、こんなことを言っていた。

「戦後、サンヨー、シャープ、ソニー、松下の4社が飛び出した。その中で松下は売上8兆円いった。しかし、シャープもサンヨーも結局2兆円止まりで、今はあの凋落ぶりだ。その違いは何か?思うに、松下は電池や半導体や組立ロボットを内製で作っていた。サンヨーやシャープは組み立て工場だったんや。その違いやな」

出典:独立メディア塾 佐久間昇二氏の新著「イノベーションは「3+7の物語」で成功する」

ということだった。松下は部品でもなんでもまず自分たちで作り使ってみる。マネシタ電器と呼ばれたが、使ってみて良かったら他社にも売る。それが成長の素だったという。

他にも「入るを図りて、出ずるを制す」や「素直に聞き上手になる」と言った今でも自分に根付いている言葉がたくさん書かれている。この本は、イノベーション本というより、経営者の自伝であり、松下幸之助の言葉を伝導する物語でもある。