男子サッカー・東京五輪グループステージ第1戦、日本vs南アフリカは、1-0で日本が勝利を収めた。

初戦は大事である。間違いない。目に残像が残りそうなくらい、その記事タイトルを見かけた。しかし、肩に力が入るとベストパフォーマンスが出ないように、「初戦は大事」を変に意識すると、初戦を大事に「行き過ぎて」しまう。

特に前半の日本は動きが固く、プレーのテンポが上がらなかった。省エネで90分をやり過ごそうとする南アフリカに対し、慎重になり過ぎて、相手のペースに合わせて戦ってしまった。自分たち優位の状況で、なぜか慎重になりすぎてしまう重苦しさは、相手が開始3分で10人になったロシアW杯の初戦、コロンビア戦の前半に通じるものがある。

正直なところ、あの消極的な戦い方をせざるを得なかった南アフリカと、0-0のスコアレスで終わっていたら、今大会は絶望的だった。

しかし、その不穏な空気を切り裂き、日本を救ったのが、久保建英の一撃だ。

後半26分、田中碧のサイドチェンジをピタッと止めると、フェイントを入れて切り返し、左足で強烈なシュート。ボールはファーポストを叩き、ゴールに吸い込まれた。すべてが0.5拍ずつ早い。シャープかつ完璧な仕掛けだった。

強化試合からずっと久保が好調をキープしているのは、非常に心強い。

後半の守備に大きな課題

一方、歓喜も束の間、1-0と先制した日本は、リードした後に不安定な試合運びが露呈し始める。

原因の一つは選手交代だ。後半27分にFW林大地に代わって上田綺世、SB中山雄太に代わって旗手怜央と、森保監督は攻撃的なカードを切ったが、その交代ボードが用意された瞬間に、久保の先制ゴールが決まった。このため日本は1-0とリードしながら、膠着を破るための選手を投入するという、あべこべな采配になってしまった。

その旗手は後半35分、17番テンド・ムクメラのロングドリブルで置き去りにされている。最後は吉田麻也が辛うじてクリアしたが、交代選手が守備のリスクになったことは否めない。日本は後半40分にDF町田浩樹を投入し、旗手を前線へ上げて修正を図ったが、それまでの15分間は危険な状態だった。

問題は旗手個人だけではない。左サイドは後半15分、三好康児に代わって相馬勇紀が投入されていたが、サイドハーフ、サイドバック共に入れ替わり、連係が不安定だった。特に後半32分は、大ピンチを迎えた。南アフリカのスローインから、日本の左サイドを8番タボ・セレにワンツーで切り裂かれ、最後は10番ルーサー・シンがシュート。決定機だったが、GK谷晃生がキャッチし、どうにか事なきを得た。

この場面、南アフリカは13番リープ・フロスラーが大外、8番セレが一つ内側のハーフスペースに立ち位置を取ったが、相馬も旗手も大外の13番フロスラーを見ており、8番セレが空いた。そこに遅れて遠藤航が引っ張り出され、ワンツーで突破されると、旗手の絞りも間に合わず、そのままペナルティーエリアに侵入された。

自陣深くのサイドの守備は、この試合に限らず、危うい。強化試合のホンジュラス戦でも、スペイン戦でも、交代した後の時間帯は必ず連係面で問題が起きた。

サイドハーフは特に消耗が激しいので、基本的には交代させたい。しかし、交代して連係不安が露呈するのは困る。これを解決しなければ、金メダルは厳しい。

ポイントは何を優先して防ぎ、何を捨てるかだ。日本の守備はそこがハッキリしない。

中を優先して防ぐのなら、相馬と旗手は中へ絞り、サイドへのアプローチが多少遅れてもOKとして、遠めのクロスは捨てる。逆にクロスを入れさせたくないのなら、外を消し、遠藤がもっと早くボールサイドのハーフスペースに寄る。それによって反対サイドが空いても、それは捨てる。

こうした守備連係を整理できないのであれば、もう3バック(守備時5バック)に変えたほうがいい。連係で解決するのを諦め、人を増やしてスペースを先に抑える。ホンジュラス戦、スペイン戦、南アフリカ戦と見てきたが、どうも交代選手が入った後は、それが上策に思える。U-24の選手たちは、チーム発足時から3バックで長くプレーしてきたので、馴染みやすいはず。

この点を日本はどうやって解決して行くのか。

この試合はレフェリングも大きな話題になったが、その件は下記で書いたので、ここでは改めて触れない。

http://legendsstadium.com/column/01/372/

今考えたいのは、メキシコなどの強豪にどう打ち勝ち、頂上へ進むかだ。今のところ、日本はまだ金メダルに相応しいチームではない。一戦一戦、大会中に成長を見せてほしい。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】