ブンデスリーガとセリエAで異なる『ビデオ判定』の方式

2017年コンフェデレーションズカップで映像をチェックする主審(写真:ロイター/アフロ)

クラブワールドカップやU-20ワールドカップなど、いくつかの国際大会でテストされた『ビデオ判定』。2017-18シーズンからは、ドイツ、イタリア、ベルギー、ポルトガルなど、世界16カ国のリーグやカップ戦で試験導入が始まっている。

特に注目度が高いのは、ドイツのブンデスリーガとイタリアのセリエAだ。ただし、この2つのリーグは、判定システムの方式が異なる。前者は集中方式、後者は分散方式だ。

集中方式とは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)やオペレーターを、1カ所に集めるやり方のこと。ブンデスリーガではケルンにマッチセンターが設置され、全スタジアムからすべてのカメラ映像が、ファイバーネットワークを介して集結する。それをVARがチェックしている。

この方式のメリットは、1カ所で責任者が見て、管理できるため、VARの判定基準をそろえやすいこと。また、審判やオペレーターに対する教育やトレーニングも集約でき、試合ごとに移動する必要がない。長期的にはランニングコストの低下も見込める。合理的なやり方だ。

逆にデメリットは、初期投資が大きいこと。サッカーは場面がどんどん流れるスポーツなので、通信に5秒もディレイがあれば話にならない。各スタジアムとケルンのマッチセンターが、安定的な高速通信を実現するために、高価なファイバーネットワークを構築する必要がある。

また、試合後に振り返って「実はこんな角度の映像もありました」という事態があってはならず、30カメラのフィードすべてが、0.5秒以内にマッチセンターに入る仕組みを備えている。潤沢な資金を持つブンデスリーガだからこそ、選択できた方式とも言える。通信環境が整わなければ集中方式は難しいが、今のところビデオ判定を導入していないプレミアリーグでも、マッチセンターの準備は進めている。

悩ましいのは、通信トラブルだ。ブンデスリーガ開幕節の土曜日、同時刻にキックオフした5試合のうち、3試合ではビデオ判定システムが機能せず、その原因はファイバーネットワークにあるようだ。まだ始まったばかりなので、本番で想定外の事態が起こるのは仕方がない。今後の改善は期待できるが、とはいえ集中方式の場合、通信網が機能しなければ、すべてがゼロになるのは泣き所だ。障害に対する柔軟性がない。

一方、セリエAが導入した分散方式は、各スタジアムの一室、あるいは周辺に専門のバンを置き、その中にVARとオペレーターがスタンバイする。

メリットとデメリットは、集中方式とは反対だ。準備作業や審判のトレーニングは、集中方式よりも大変になる。また、各地域でバラバラに行われているので、進め方や内容について一元管理するのも難しい。

しかし、機動性があるので、何かあったときに柔軟な解決策を見出しやすいのはメリット。また、各スタジアムで設備が独立しているため、ブンデスリーガのように一気に3試合が不調、といった事態にはならない。

今シーズンが終わる頃には、この2つの方式について、さらなる実証結果が得られるだろう。