本田圭佑、強さと賢さの両立が呼び込んだゴール
4日に行われたブラジルワールドカップ最終予選、日本代表対オーストラリア代表は1-1の引き分けに終わった。その結果、日本がブラジルワールドカップ本大会出場を決めている。
日本は81分の失点で一気に追い詰められたが、終了間際、右サイドのショートコーナーからボールを受け取った本田圭佑がクロスを蹴り、これが相手選手の手に当たって土壇場でPKを獲得した。
空中戦の強いオーストラリアに対しては、正直にポーンと放り込むよりも、ショートコーナーで揺さぶりをかけ、マークのずれを誘発してからクロスを入れる戦術が有効だ。なぜ、前半からやらなかったのか不思議なほどだ。しかも本田が蹴ったボールは、低めの軌道でニアサイドの香川真司をねらった。これも、空中戦に強いオーストラリアの長所を出させないための有効なボールだ。
この切羽詰まったシチュエーションで、本田は恐ろしいほどの冷静な判断力を見せた。
本田は少しも諦めていなかった。決して「神頼みのクロスが運を呼び込んだ」といった類のPK獲得ではない。理論的にもケチのつけようがない、素晴らしい状況判断だった。
たしかに、PKをど真ん中に蹴り込む胆力にも恐れ入った。それはみなさんも衝撃を受けたはずだ。しかし、あの場面はそれだけではなかった。
判断力と精神力。強さと賢さ。豪胆さとしなやかさ。頭とハート。それらが両立したPK獲得であったことは言っておかなければならない。
しかもそれを、誰も経験したことのないプレッシャーの中でやってのける。正直、「すごい」という感想よりも「こんな人間は考えられない」という気持ちのほうが先立った。脱帽だ。