現役世代が減る中、巷では消費意欲も旺盛で、人口も増加するアクティブシニアを代表とする「シルバー消費」(60歳以上の消費支出額を指す)が代わって日本のマクロ消費を牽引するとの期待も高い。

そこで、本記事では、総務省統計局「2019年全国家計構造調査(かつての全国消費実態調査)」の世帯主年齢別消費支出額(総世帯)及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」のデータを用いて、現役世代の消費と高齢世代の消費を推計し、日本のマクロ消費の今後の動向を占ってみたい。

まず、推計のもととなる総務省統計局「2019年全国家計構造調査」の世帯主年齢別消費支出額(総世帯)を見ると、世帯主の年齢が上がるとともに世帯消費額は増加し、50~54歳でピークを迎えた後は減少していくことが分かる。

図1 1か月あたり世帯主年齢別消費額(単位 万円)(総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに筆者作成)
図1 1か月あたり世帯主年齢別消費額(単位 万円)(総務省統計局「2019年全国家計構造調査」をもとに筆者作成)

次に、世帯数の将来推計を国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」より、60歳未満世帯を現役世帯、60歳以上世帯を高齢世帯と区分し直すと、総世帯数は減少を続け、2035年までには高齢世帯数が現役世帯数を上回ることが分かる。2020年と2040年の対比でみると、総数では▼6.2%減少、現役世帯は▼19.6%減少であるのに対して高齢世帯は+9.6%となる。

図2 現役世帯と高齢世帯の将来推移(単位 十万世帯)(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」をもとに筆者作成)
図2 現役世帯と高齢世帯の将来推移(単位 十万世帯)(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」をもとに筆者作成)

以上のデータを用いて、将来消費を推計する。具体的には、2019年の世帯主世帯当たり消費額を固定し、各年の世帯主年齢別の世帯数を掛け合わせることで、推計した。

その結果、確かに、シルバー消費は年々増加していくことが分かる。しかし、現役世帯の消費の減少を補うには十分ではなく、マクロでみた消費総額は減少していくことが分かる。つまり、シルバー消費はマクロの消費を下支えはするものの、現役世帯の消費のテコ入れをしなければマクロの消費は減少してしまうのだ。

図3 現役世帯消費とシルバー消費の今後の推移(総務省統計局「2019年全国家計構造調査」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」をもとに筆者作成)
図3 現役世帯消費とシルバー消費の今後の推移(総務省統計局「2019年全国家計構造調査」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2018年推計)」をもとに筆者作成)

マクロ消費の減少は、要するに、企業の総売上額が減少することを意味するので、場合によっては、日本の企業は日本市場に見切りをつけ海外に移転するか、整理・淘汰の憂き目を見ることも考えられる。それは同時に、日本での雇用機会の喪失も意味するので、日本経済はこのままいけばジリ貧となってしまう。

このように、総務省統計局「2019年全国家計構造調査」を用いた推計結果によれば、アクティブシニアによるシルバー消費が増えたとしても、現役世代の減少を補うには力不足であり、日本のマクロ消費の先行き見通しは極めて暗いことが分かった。

マクロの消費を増やすには、やはり現役世代を増やすか、彼ら彼女らの所得を増やすほかなく、そのためには需要側ではなく、マクロの生産性(全要素生産性)向上を図るなどして供給側へのテコ入れが喫緊の課題となる。