若者にこそコロナ協力金を給付すべき

(写真:つのだよしお/アフロ)

先月7日に発せられた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が本日8日から1カ月延長される中、飲食店への営業時間短縮要請も継続されています。

時短要請に応じた飲食店には1日6万円、最大月180万円の協力金を支払うほか、飲食店に食材を納入する業者らには、一時金として、中堅・中小企業で60万円、個人事業主には30万円が支給されています。

ただし、企業規模にかかわらず6万円支給されるということで、「給付金バブル」の問題も指摘されるようになっています。

この協力金は、わたしたちが飲食店で飲食すると、特にお酒が入ったりする場合、唾液が飛び交う状況となり、それが新型コロナウィルスを拡散させ、新型コロナの罹患者を増加させるので、それを防ぐための措置とされています。

新型コロナ対策としては、飲食店への時短営業要請の他、不要不急の外出・移動(昼夜や平日・休日を問わず)自粛などもありますが、政府が問題にしているのが、若者の行動です。

特に、小池百合子東京都知事は、今月2日の会見で、「若者の皆さんへ」と特に若者を名指しした上で、

飲み会、家で友人との飲食もなし。社会人の方も歓送迎会、仕事の打ち上げもなし、でお願いします。イベント後の飲んで楽しく食事もなし。カラオケ、ゲームセンターもなしで」。さらに「学生の皆さんは卒業の季節ですが、追い出しコンパや謝恩会、今年はぜひなしで。友人との旅行、卒業旅行もなし、でお願い申し上げます

小池知事「追い出しコンパなし、卒業旅行なしで」(日刊スポーツ 2021年2月2日21時49分)

と、これまでも殊更若者に向けて注意喚起してきましたが、さらに細かく注文をつけています。家父長的政府ならぬ小姑的政府とも言えるでしょうか?

なぜ、若者をターゲットにするかと言えば、感染者の多くを若者が占めるからに他なりませんが、死亡率で見れば、若者よりも高齢者で高いことが分かります。

(出典)厚生労働省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000734265.pdf)
(出典)厚生労働省資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000734265.pdf)

つまり、高齢者を守るために、若者の行動を制限しているのです。

これは”弱者”を守るのが政府の役目なので、致し方ない面もありますが、入学式、卒業式、成人式、卒業旅行、追い出しコンパ、謝恩会、そして結婚式など、その多くが人生で一度きりのプライスレスな体験を奪われる若者からみれば、理解は出来ても到底許せるものではないと思います。

若者の多くは、まじめに感染症対策を行っているにもかかわらず、政府やメディア、有識者から新型コロナを広めている元凶と名指しされ、自由な外出もままならず、コンパも旅行も、カラオケも思い通りに出来ないわけですから、出会いの場も減り、出会いを深めることも出来ないでいます。婚姻率の低下も宜なるかなでしょう。

逆に言えば、若者からプライスレスな体験を奪っているにもかかわらず、さらに若者に不自由を強いるのであれば、当然、飲食店と同様、若者に協力金を支給するのが筋というものでしょう。

社会的に望ましい状態から外れる行動に対しては、罰則(課税)を与えるか、補助金を与えて、行動をかえ、社会的に望ましい状態を実現するのが経済学的には正しい方法となります。

飲食店に対しては協力金の支給を既に行っているわけですから、若者に対しても協力金を支給することで、その行動を変容させるのがよいでしょう(若者だけ罰則を課されるのは公平性を欠き到底理解を得られません)。

例えば、1日1万円、30代以下の国民に1ヶ月間、協力金を支給するとすれば、4361万人×1万円×30日=14兆円ほどの金額となります(対象を10代後半から30代までに絞れば必要な金額は10兆円弱になります)。

問題はこの財源ですが、赤字国債を充てることも考えられますが、結局、赤字国債を返済するのは若者達ですから、自分で自分にお金を渡していることになり、無意味です。

したがって、若者の行動自粛によって一番利益を受ける高齢者に若者への協力金の財源を負担して貰うのが合理的と言えます。

例えば、前回の特別定額給付金は60歳以上にはだいたい5兆円ほど支給されていますのでこれを回収し、残りの10兆円ほどは、新型コロナ対策でもっぱら便益を受ける高齢者向け社会保障給付58兆円弱(2018年度)を削ることで十分捻出できるはずです。

国も自治体も、新型コロナが比較的落ち着いていた夏から秋にかけて十分な時間があったにもかかわらず、季節的にも新型コロナの蔓延が容易に想定された冬期に向けて医療提供体制の確立・拡充を怠ったツケを、政治的な影響力が僅かしかない飲食店や若者に責任転嫁しているのですから、飲食店には十分とは言えないものの協力金を支給している現状に鑑みれば、新型コロナ対策によって、一生に一度のプライスレスな体験の多くの機会を、結果として若者から奪ったことに対して、そして行動を制限することに対して、協力金を支給するのが当然だと、私は思いますが、みなさんはいかがお考えでしょうか?