Go To キャンペーンで国民の分断が加速する

(写真:アフロ)

今月1日よりGo To トラベルに東京都が含まれ、またGo To イート事業も始まりました。この後も、順次、Go To イベント、Go To 商店街が開始されます。

TVなどマスコミは、いかにお得にGo To事業を活用するか、実際に、どれだけ値引きされるか、連日盛んに、政府のエージェントであるかのように宣伝しています。

しかし、ちょっと待ってください。

少し前までは、新型コロナ対策に伴う行政による人為的な経済圧殺によって貧困に落とされた方々に、本当に困っている人に、支援を速やかに届けるべきだと、政府批判を繰り広げていたのではなかったでしょうか?Go To トラベルについても、時期尚早だとしていませんでしたか?Go To トラベル開始時に除外された東京都の新型コロナ感染者数は、現在とほとんど違いはありません。また、Go To トラベルで全国で感染者数が爆発的に増加した事実もありません。

なぜ、いま、突然、手のひら返しのような評価になるのでしょうか?いまGo To トラベルに東京都を含めてもよいのなら、開始時から東京都を含めてもよかったはずです。

Go To事業は事業者救済政策ですが、すでに廃業・倒産してしまった企業は救済されません。失われた雇用も元には戻りません!

さらに、例えば、都心の一泊10万円する高級ホテルにGo To トラベルや東京都の上乗せを使って宿泊するとしても、数万円の支出が必要なわけですから、どんなにワイドショーに出ている浮世離れした芸能人が「お安いですねー」と煽っても、視聴者の多くは興醒めでしょう。いまに始まったことでもありませんが、TVとお茶の間の乖離が目立ちますし、無節操なメディアが国民の分断を煽ります。

そもそも、Go To事業は、トラベル、イート、イベントなどからなりますが、これらはどれも、選択的支出であり、生活に余裕がある者ほどより多くの金額を支出するものです。

要するに、様々なGo To 事業は、本当に困った方々への支援とは真逆の政策で、金持ちへの補助に過ぎません。

金持ちが政府から補助金を貰って様々なサービスを楽しみ、余裕のない労働者がサービスを提供させられる構図は、プレミアムフライデーの時にも見たのと同じ構図です。まぁ、元のアイデアの出所がどちらも同じ役所だと言えば、得心が行くというものでしょう。

恵まれた境遇で生まれ育ったエリート官僚が、自分たちのお仲間である国民の上澄みだけを見て政策を立案しているので、恵まれない境遇に置かれた人々の生活など知る由もありませんし、配慮すらできないのです。こうした状況では、政治不信、官僚不信、政策不信をいっそう深刻させ、政治家・官僚と国民の分断が大きくなるだけです。

しかも、この金持ち優遇策の財源は、赤字国債なのですから、消費税に軸足を移しつつある日本の財政においては、結局は、相対的に貧しい層では重い負担になってしまうのは不可避です。

費用負担の問題だけではありません。Go To 事業を利用するには、時間的な余裕も必要です。いくつも仕事を掛け持ちしてようやく生活が送れる方々は、おカネだけではなく、Go To 事業を利用したくてもその時間(暇)もありません。つまり、「カネ」「ヒマ」二重の意味で低所得層はGo To 事業とは無縁なのです。

確かに、Go To事業は、事業者救済の目的があり、その点では効果的な政策と評価可能ではありますが、利用者の視点で言えば、低所得層の負担によって、もっぱら高所得層が満喫できる非常に不公平な政策と言わざるをえないのです。

これまで、所得再分配と言えば、高所得層から低所得層へと再分配が行われることが期待され、実行されてきたわけですが、近年、低所得層から高所得層への「逆再分配」的な政策が目立ちます。

こうした不公平感の蓄積は、持てる者と持たざる者との間の分断を加速させることになってしまうでしょう。