新型コロナ危機で失われる雇用はリーマンショックの3倍強の可能性も

(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

1.はじめに

この度、筆者が所属する公益財団法人社会経済研究所では、新型コロナウイルス感染症が、わが国の雇用に与える影響を試算したレポート「新型コロナウイルス感染症が全国・中部圏の産業別の雇用に与える影響について」を公表しましたので、その内容を紹介させていただければと思います。

なお、本記事のなかの意見にかかる部分は、全て筆者個人の見解であり、筆者が所属するいかなる組織の見解とも一切関係はありません。また、引用などの際には、必ず元のレポートを参照し、直接引用してください。

2.試算の前提

試算の前提は、4月25日の記事「新型コロナウイルス感染症は2020年度の日本のGDPを85兆円押し下げ、10%以上のマイナス成長も」における試算結果「新型コロナウイルス感染症は2020年度の日本のGDPを85兆円押し下げる」を利用します。

※詳しくは、中部社研経済レポートNo.25「新型コロナウイルス感染症が 2020 年度の全国・中部圏 に与える経済的な影響について」をご覧ください。

3.最大で▼301.5万人の雇用が失われる

試算の結果、新型コロナ危機により失われる雇用は▼301.5万人と試算されました。なお、2019年度の雇用が6733万人でしたから、全体の▼4.5%分の雇用が失われることになります。

4.産業別では卸売・小売業が▼84.5万人。減少率では宿泊・飲食業が最大の落ち込み

産業別では、失われる雇用の大きい順に、卸売・小売業▼84.5万人、製造業▼61.4万人、宿泊・飲食サービス業▼58.9万人と、行政による「自粛要請」という名の実質的な経済ロックダウンの影響を強く受けた産業であることが確認できます。

なお、減少率では宿泊・飲食サービス業の▼14.1%が最大の落ち込みとなっています。

5.新型コロナ危機で失われる雇用はリーマンショックの3倍強

いわゆるリーマンショックによって失われた雇用は▼95万人、全体の▼1.5%に過ぎず、今回の新型コロナ危機で失われる雇用▼301.5万人(▼4.5%)と、新型コロナ危機で失われる雇用はリーマンショックの3倍強!と圧倒的に大きいことが分かります。

産業別では、リーマンショック当時は、特に製造業で雇用が大きく失われていまして、▼69万人(▼6.0%)減少しました。一方、非製造業のなかには医療福祉など雇用を増やした産業が多く、今回との比較で言えば、宿泊・飲食サービス業では+7万人(+1.9%)雇用が増加していました。要するに、リーマンショック当時は非製造業が製造業の雇用減少の受け皿となっていたのです。

リーマンショックと新型コロナ危機での最大の違いは、新型コロナ危機では製造業も非製造業も全般的にネガティブな影響を受けていて、失われた雇用の受け皿となる産業が見当たらないことにあると言えます。

最後に蛇足的に付け加えますと、リーマンショックは、サブプライムローンバブルの破裂というバブルとは言え純粋な経済活動の結果もたらされた経済危機でしたが、今般の新型コロナ危機は、経済活動の自粛要請に伴う人為的な需要急減=人災であることも忘れてはなりません。