東京で電車通勤を8割減らすのは困難かも

(写真:アフロ)

新型コロナの緊急事態を早期に収束させるには、人と人の接触を8割減らす必要があるとされています。この根拠となる試算を提示した西浦北大教授によれば、核心は通勤を減らすことのようです。

「今は積極的に接触を避けなければならない段階だ。通常出勤が続いているのは異常で、心配している」

出典:コロナ無対策だと85万人重篤、40万人死亡の恐れ…北大教授試算(読売新聞 2020/04/15 11:28)

しかし、ちょっと考えれば分かるように、学者がなんと言おうとも、ワイドショーのコメンテーターが上から目線でピントのずれまくった非難をしようとも、コロナ罹患のリスクを冒してでも、わたしたちの生活を守るために、出勤を続けてくださっている方々がいらっしゃることを絶対に忘れてはいけません。この方々はテレワークはまず無理です。

では、どのぐらいの方が、わたしたちの生活を支えるライフライン関連産業に従事されているのでしょうか?

ここでは、電気・ガス・水道、通信・インターネット、鉄道 バス・タクシー、運送業、郵便、コンビニ・スーパー・ドラッグストアなど、ガソリンスタンド、医療・福祉、ゴミ収集、警察、消防をわたしたちの生活を直接支えるライフライン関連産業とします。したがいまして、東京都で生活されている国会議員や都議会等の議員先生、国や地方の公務員、マスコミ、食料品製造業、医薬品製造業、金融業、警備業はライフライン関連産業から除外していることに留意してください。なお、データは、総務省統計局「平成28年経済センサス‐活動調査」及び総務所「平成30年度都道府県決算カード」を出典としています。

その結果は、下表の通りです。東京都で働く民間従事者と都庁の一般職員の合計約916万人のうちわたしたちの生活を支えるライフライン関連産業の従事者約186万人となりました。割合で言えばちょうど20%です。

表 東京都のライフライン関連産業従事者数((出典)筆者推計)
表 東京都のライフライン関連産業従事者数((出典)筆者推計)

もちろん、全員が電車通勤をしているわけではありませんが、国や地方の公務員、金融業、警備業、食料品製造業、医薬品製造業等に従事されている方をここでは除外していますので、通勤を8割減らすと、わたしたちの暮らしは成り立たなくなってしまうといっても過言ではないギリギリにあることが分かります。

逆に言えば、厚生労働省クラスター対策班西浦博北大教授が主張されるように人同士の接触機会を8割減らすには、欧米と同様、わたしたちは日常生活が成り立つか成り立たないかのギリギリのラインでの生活を進んで受け入れる覚悟を持たなければならないのです。