トイレットペーパーや紙おむつの中国依存度は高々2%。買い占めは無意味。しかし、国民はパニック寸前?

日本では事あるごとにトイレットペーパーの買い占めが起きるようです。前回は消費増税の駆け込み需要で高値でつかまされた事例も数多く報告されていましたね。

新型肺炎が猛威を振るいつつある今回も、SNSで「中国のトイレットペーパー工場が止まった」とか「マスクと同じ原料」なので、トイレットペーパーが品薄になるなどのデマが流れ、スーパーやドラッグストアなどの店頭からトイレットペーパーやティッシュなど紙製品が消えてしまっています。

実際、筆者も最寄りのスーパーに行ってみましたが、見事に陳列棚から無くなっていました...。

しかし、

トイレットペーパーのメーカー各社で作る日本家庭紙工業会の林廣文会長は、(中略)、日本の市場に流通しているおよそ97%は国内産」

出典:「トイレットペーパー 在庫は十分」買いだめの動きに工業会(NHKニュース)

と指摘されています。

業界団体の会長さんがおっしゃっておられるので確かにその通りだと思うのですが、本当は危機的な状況なのに「嘘も方便」で国民を安心させるためにそう言わざるを得ない状況かもしれず、疑い深い筆者は、念のため、入手可能なデータから試算してみました。

まず、総務省統計局「産業連関表」により紙などの輸入依存度を見ると5%で、そのうち中国からの輸入依存度は、財務省「貿易統計」からは、43.3%でした。したがいまして、トイレットペーパーよりは範囲が広いので過大評価となりますが、トイレットペーパーの中国依存度は、高々、2.2%(=0.051×0.433)に過ぎないことが分かります。なお、紙おむつに関しても同様の試算をすると、やはり高々、2.3%(=0.054×0.433)に過ぎません

中国での生産が止まったとしても、日本のトイレットペーパーや紙おむつの供給には全く影響を与えないことが分かります。つまり、買いだめに走っても意味がありません。

ただし、数字上はまさにこの通りなのですが、残念ながら、すべての国民が数字を元に冷静に合理的に行動できるわけではなく、頭では分かっていても、実際にお店の陳列棚からトイレットペーパーが消えてしまっていると、合理的な人でも、突如不安に駆られて、確保に走ってしまう可能性もありますし、いざ必要なときにトイレットペーパーが切れてしまうと、大変困ったことになってしまいますので、やはりとりあえず確保しておくのが合理的となってしまうのです。

テレビなどでトイレットペーパーの買いだめの様子を盛んに流しつつ、一方でトイレットペーパーは充分足りてますと報道しても、不安は解消されないでしょう。逆に、不安が増します。

我が家もテレビの報道ではじめてトイレットペーパーの買い占めが起きてることを知った次第ですし、しかも、現に目の前からトイレットペーパーが消えているわけですから、実際には品切れにならないと言われても、マスクの事例もありますので、なかなか信用できないのも理解できます。

蛇足ですが、最寄りのスーパーからは、トイレットペーパーなどの紙製品の他、お米、レンチンご飯、パスタ(及びパスタソース)、インスタントラーメン、うどんなどの乾麺などが消えていましたね...。東日本大震災後を思い出しました。

まぁなんと申しますか、現在までの経緯をまとめますと

新型肺炎発生→ダイヤモンドプリンセス号の悲劇→マスコミが連日新型肺炎の致死率を無視して不安を煽るだけ煽る→政府が専門家会議の見解を超えて過剰な要請を行う→国民「これはほんとにヤバイのかも?」と心配になる→大災害に準じた買いだめ行動を取る

という感じでしょうか?

今後、わたしたちの不安や恐れにつけこんだ悪質なデマや真偽不明な情報などがSNSやマスコミを通じて拡散し、全国的に本格的なパニックに陥らないことを祈るばかりです。