新型肺炎での日本経済の損失は消費税ショックよりは軽微

(写真:ロイター/アフロ)

新型肺炎の世界的な蔓延とそれにともなう世界経済の停滞を懸念して、24日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が前週末比1,031ドル安と歴代3位となる下落幅を記録、2万7,960ドルと急落しましたし、連休明けとなる東京株式市場でも日経平均株価は一時1000円を超える下げとなり、終値は前週末比781円33銭安の2万2605円41銭でした。新型肺炎のパンデミックの前に国際金融市場はすでにパンデミックの様相を示しています。

本記事では、新型肺炎が日本のマクロ経済に与える影響を機械的に試算してみたいと思います。ここで考慮する影響は、(1)中国の経済成長率が低下する、(2)世界経済の機関車である中国経済の成長が停滞することで世界経済の成長が停滞する、(3)中国経済や世界経済の停滞で日本経済の生産や輸出が低迷する、(4)中国人インバウンド消費が減少する、です。

まず、中国経済の停滞ですが、

国家金融・発展実験室(NIFD)の幹部は、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は同国の2020年国内総生産(GDP)成長率を最大で1%ポイント押し下げる可能性があるとの見方

出典:中国、新型肺炎が20年成長率を1ポイント押し下げも=シンクタンク(ロイター)

を示したとのことですので、ここでは▼1%を採用します。

続いて、IMF World Economic Outlook databaseから計算しますと、中国経済が▼1%低下すると世界経済は▼1.1%低下するとの推計結果が得られました。

さらに、同様に、世界経済が▼1%低下すると日本経済は▼0.79%低下するとなりました。

結局、中国経済が▼1%低下すると、▼1.0×▼1.1×▼0.79=▼0.87%、日本のマクロ経済が低下するとの試算結果が得られます。

この▼0.87%の減少を機械的に2019年の日本のGDP554.5兆円を掛け合わせますと▼6.1兆円の減少となります。これが中国経済の停滞による日本の生産や輸出が低迷することで被るマクロ的な影響です。

それに加えて、中国人の訪日外客数(観光客やビジネス客)が、1年を通じてSARSにより訪日外客数が一番悪化した2003年5月の減少率▼69.9%となってしまうと想定しますと、2019年の中国人インバウンド消費額1兆7,718億円×中国からの訪日客減少率▼0.699=▼1.2兆円の減少です。

なお、蛇足ではありますが、中国経済が1%低下する日本経済の影響は▼0.87%(▼6.1兆円)と試算されましたので、例えば中国経済が2%低下するとなれば2×0.87=▼1.73%(▼12.2兆円)、0.5%低下であれば0.5×0.87=▼0.44%(▼3.0兆円)などと計算できることになります。

したがいまして、中国を震源とする新型肺炎が世界的に蔓延することで日本経済が被る影響は▼7.3兆円と試算することができました。これは2019年GDP比で▼1.3%減に相当しますから、2019年10-12月期の消費税ショック▼4.9%減(名目・年率)よりは随分と小さいことが分かりますね。

こうした試算は新型肺炎のネガティブな影響が1年通して持続した場合であることに留意する必要があります。また、過剰なイベント自粛や外出の抑制が発生すれば、影響がもっと大きくなる可能性もあります。

ただし、経済的な影響が全てではもちろんありませんが、リスクに見合った行動を国に指図されるのを待つことなく自主的に取る心構えが必要な気も致します。

感染力が強いほど毒性は低くなるのがウイルスの特性だ。新型コロナウイルスの感染力は現時点では、季節性インフルエンザと同等で致死率は0・8%程度。2009年に国内で流行した新型インフルエンザよりは1桁高いが、重症急性呼吸器症候群(SARS)の10%、中東呼吸器症候群(MERS)の35%と比べると明らかに低い。中国でもダイヤモンド・プリンセス号でも、発症者の8~9割は軽症だったのも事実だ。

出典:「感染は拡大期」専門家に聞く新型肺炎 致死率、病院の態勢は?(西日本新聞)

現状では致死率はクスリのある季節性インフルエンザと遜色ないようですから、もちろん気を付けるにこしたことはありませんが、大騒ぎするほどのこともないとも思いますが、いかがでしょうか?