消費税10%への引き上げの一番の負け組は30歳より若い・低所得層-所得階層別世代会計による試算-

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

やはり関心の高い消費税の影響

前回の記事(消費税依存で進む世代内扶養機能の弱体化-所得階層別世代会計による試算-)では、消費税への依存が進むことで、今後、(1)現在世代内の世代間格差が拡大、(2)現在世代と将来世代の間の世代間格差は縮小、(3)同一世代内の所得再分配機能は弱体化、することを指摘しました。

この記事は、やや専門的でテクニカルな内容であった割には、幅広い層の読者にご覧いただけたようで、消費税の影響に対する関心の高さが分かります。

そこで、本記事では、昨年10月の消費税率8%から10%への引き上げによって、どの世代がより多くの負担を負い、どの世代が負担が軽くなったのかを、所得階層別に明らかにしてみたいと思います。

所得階層ごとの世代間格差の行方

(1)低所得層

70歳世代(団塊の世代)と0歳世代の生涯純税負担率の格差で測った世代間格差は、消費税率を8%に据え置く場合では54・2ポイント、消費税率を10%に引き上げた場合は56・8ポイントであり、消費税率を引き上げた方が世代間格差は2・6ポイント悪化する。

(2)低中所得層

70歳世代と0歳世代の生涯純税負担率の格差で測った世代間格差は、消費税率を8%に据え置く場合では30・6ポイント、消費税率を10%に引き上げた場合は32・8ポイントであり、消費税率を引き上げた方が世代間格差は2・2ポイント悪化する。      

(3)中所所得層

70歳世代と0歳世代の生涯純税負担率の格差で測った世代間格差は、消費税率を8%に据え置く場合では22・3ポイント、消費税率を10%に引き上げた場合は24・1ポイントであり、消費税率を引き上げた方が世代間格差は1・9ポイント悪化する。

(4)中高所得層

70歳世代と0歳世代の生涯純税負担率の格差で測った世代間格差は、消費税率を8%に据え置く場合では18・4ポイント、消費税率を10%に引き上げた場合は20・1ポイントであり、消費税率を引き上げた方が世代間格差は1・7ポイント悪化する。

(5)高所所得層

70歳世代と0歳世代の生涯純税負担率の格差で測った世代間格差は、消費税率を8%に据え置く場合では0・4ポイント、消費税率を10%に引き上げた場合は2・1ポイントであり、消費税率を引き上げた方が世代間格差は1・6ポイント悪化する。

図1 所得階層別・現在世代の生涯純負担率の改善幅((出典)筆者作成)
図1 所得階層別・現在世代の生涯純負担率の改善幅((出典)筆者作成)

以上から、現在世代内で影響を見れば、各所得階層とも、世代間格差が悪化することが分かります。

同一世代内の格差

続けて、消費税率10%への引き上げによって、同一世代内の生涯純税負担率がどの程度変化したのかを見たものが図2です。

同図からは、全ての世代において、より低所得なほど、今般の消費増税による生涯純負担率の増加幅が大きくなっていること、しかも、より若い世代ほど増加幅が大きくなっていることが分かります。

図2 所得階層別・世代別生涯純負担率の増加幅((出典)筆者試算)
図2 所得階層別・世代別生涯純負担率の増加幅((出典)筆者試算)

将来世代について

なお、将来世代については、低所得層▼5・8ポイント、中低所得層▼3・7ポイント、中所得層▼2・9ポイント、中高所得層▼2・4ポイント、高所得層▼1・7ポイントと、低所得層の負担軽減が大きいことが分かります。

図3 所得階層別・将来世代の生涯純負担率の改善幅((出典)筆者作成)
図3 所得階層別・将来世代の生涯純負担率の改善幅((出典)筆者作成)

まとめ

以上から、低所得層で世代間及び世代内の格差が一番悪化したことが確認できました。一方、将来世代に関しては低所得層の世代間格差軽減が大きくなっていました。

つまり、消費増税の一番の負け組は30歳より若い低所得層の若者なのです。

蛇足

蛇足ながら付け加えますと、筆者は、同一世代内の所得再分配を強化しつつ、現在世代内の世代間格差と現在世代と将来世代の間の世代間格差を是正するためには、消費増税は必要ですが、それだけではダメで、低所得層への再分配を強化しつつ、中・高所得層の各世代の負担の増加と給付削減を同時に進めていくべきだと考えています。